“アカデミー賞作品賞の行方”という記事で、
『スラムドッグ$ミリオネア』が受賞した方がインド人が喜ぶと書いたが、
実際には一概にそうとは言えないようでした。
<産経新聞より引用>
「米アカデミー賞で作品賞など8冠に輝いた英国映画『スラムドッグ$ミリオネア』は、
インド国内に“スラムドッグ論争”とも呼べる現象をもたらした。
映画のタイトルや宗教、貧困の描写がやり玉に挙げられ、
その是非をめぐって新聞やインターネット上で論議を呼んでいる。
さらに、旧宗主国・英国出身の監督が、インドの日常風景であり、
“インドの暗部”ともいえるスラム街を描いて映画界最高の評価を得たことは、
「ボリウッド」と呼ばれる映画大国・インドに複雑な思いを残した。」
(記事全文はコチラ)
一方でスラム街の子供たちは、受賞に歓喜したと言うのだから、
記事にあるとおり、複雑な感情が渦巻いているようだ。
でも、こういう抗議が出るのは、全くの嘘の描写があったからか、
本当のこと、つまり痛いところを突かれたからのどちらかのケースが多いように思う。
同記事には、
「いまだに人口の42%に当たる4・5億人もの人々が1日1ドル25セント(約117円)以下で暮らしている。」とある。
格差社会が激しいインドで、映画界に影響力を持っているのは、勿論、富裕層。
記事にはインド人映画プロデューサーの否定的なコメントが書かれているけど、
ハリウッドに出資をしている映画関係者たちはどう捉えているのかな?
ハリウッドの映画関係者は、
「やべ、怒らせちゃった?
でも、『スラムドッグ$ミリオネア』はイギリス映画。
ハリウッド映画じゃないんで、引き続き出資よろしくお願いしまーす」
って言っていたりして。
ハリウッドにとってプラスにしろ、マイナスにしろ、
今後何らかの影響はありそうだ。
やはり、今年のアカデミー賞は興味深い。
コメント (2)
「スラムドッグ・ミリオネア」はイギリス・アメリカ合作映画ですよ。
ハリウッド資本も入ってます。
アメリカでの配給は20世紀FOXジャパンの子会社FOXサーチライトです。
投稿者: たま | 2009年04月20日 00:49
>たまさん
コメントありがとうございます。
『スラムドッグ$ミリオネア』は伊藤の調べた限りでは、非アメリカ資本のイギリス映画です。劇中に登場するクイズのライセンスを保有しているイギリスのセラドール社の映画部門(Celador Films)が製作です。コピーライトを見るとイギリスの公共テレビ局チャンネル4とあるので、昔から映画製作に携わってきた同局が出資しているのでしょう。
アメリカの配給は確かにフォックス・サーチライトですが、これはあくまでアメリカでの配給権であり、映画制作自体に出資はしていません。そもそも『スラムドッグ$ミリオネア』は、全米でワーナー・インディペンデント・ピクチャーズが配給する予定でしたが、同社が閉鎖に追い込まれ、アメリカでは公開されずにDVDストレートで終わる可能性もありました。そんな中、『スラムドッグ$ミリオネア』の評判を聞き、以前よりインディペンデント映画を積極的に配給・製作していたフォックス・サーチライト社がアメリカ国内での配給に乗り出しました。その結果は周知の通りです。
ただ、「ワーナー・インディペンデント・ピクチャーズが1400〜1500万ドルの製作費で“制作”していたが、編集段階で会社が閉鎖になった」と記述している記事も読みました。
“衣”がついていない“制作”という表記なので、出資ではなくあくまで“作る側”と解釈できます。
またダニー・ボイル監督の記者会見やインタビューを読んでみると、“当初ワーナー・インディペンデント・ピクチャーズが制作(衣なし)したけど”という記述がある一方で、“元々はワーナー〜が配給する予定だったんだけど”という表現もあり、記述にバラツキがありました。
映画情報サイトでもそれぞれ「イギリス」、「アメリカ=イギリス」、「インド=イギリス」など、製作国の表記がマチマチです。
このように曖昧な部分は確かにあるのですが、配給会社から配られる公式資料には「イギリス映画」と明記されていますし、更に配給の方に確認したところ「イギリス」とのことでした。
投稿者: 伊藤P | 2009年04月20日 11:43