3/14より全国東宝系にて 配給会社:東宝 (C)2009 フジテレビジョン/電通/ROBOT |
大学生のレオは、見た者に最高の祝福をくれると言われる“月の虹【ムーンボー】”を探し求めて、
恋人とハワイ島ホノカアに訪れるが、彼女と噛み合わないギクシャクとした旅となってしまう。
半年後、彼女に振られたレオは、大学を休学してホノカアの町に再びやって来る。
町にある映画館の映写技師として働き始めたレオは、
ちょっと風変わりなホノカアの人々と出会い、その優しさに触れる。
特に映画館の名物スイーツ・マラサダを作っているいたずら好きのおばあさんビーは、
レオにとって特別な存在となっていく。
とにかくお腹が減る映画だった。
マサラダの材料を届けたレオは、ビーさんが作り置きしていた料理をこっそりとツマミ食いする。
そのあまりの美味しさに驚くレオを見たビーさんは、
“毎日ご飯食べて行きなさい”と言う。
言われるがままにビーさんの家にやって来ては、
ビーさんが作る手料理を美味しそうに食べるレオ。
料理、料理、料理のオンパレード。
18:30からの試写で見たので、そこそこ空腹状態だったんだけど、
ビーさんの料理のどれもが本当に美味しそうで、
いつ腹の虫が試写室に鳴り響くかとビクビクした。
早くに夫を亡くしたビーさんは、
自分の作った料理を心の底から“美味い!”と言ってくれるレオが嬉しかったんだと思う。
やはり作った料理を喜んでもらえるのは、嬉しいよね。
逆に食べた側は、心を込めて料理を作ってくれた人に対しての感謝の気持ちを忘れてはならない。
“いただきます”、“ご馳走様でした”は、大切だ。
“食”が人と人との繋がりの大切なアイテムとなるという点では、
荻上直子監督の『かもめ食堂』、『めがね』に通ずるものがある。
しかしながら、
この2作品よりも『ホノカアボーイ』の料理の方が美味しそうと思ったのはなんでだろう?
レオが働く映画館で売られているマラサダは別として、
ビーさんが作る料理には“商売っ気”がなかったからかな?
そんな美味しそうな料理を作るビーさんを演じた倍賞千恵子が良い。
ちょっといたずら付きでお茶目。
おばあちゃんなのにレオに対してちょっと恋心を抱いちゃう。
そんな可愛らしさを持っているのに、
レオが若い女の子を連れてくると、嫌がらせをする。
幾つになっても嫉妬心を持つ女性。
しかも、その対象が孫ぐらいの歳なのに・・・
ちょっと怖い。
ビーさんを筆頭に町の人々との出会いと別れによって、
ちょっとずつ成長するレオを演じた岡田将生も良かった。
『天然コケッコー』、『ハルフウェイ』に引き続き、はっきりしなくて、頼りない役だ。
“地”の部分があるのかもしれないけど、やっぱり優男がはまる。
演技に嫌味がないんだよね。
更に、映画館の女主人として松坂慶子が出ているのも見逃せない。
『男はつらいよ』シリーズの2作にヒロインとして出演しているけど、
倍賞さんとの共演シーンはあったのかな?
他にも共演作があるのかもしれないけど、
伊藤Pは、2人の大女優が同じシーンに納まっているのを始めて見たので、
ちょっとワクワクした。
とても静かで穏やかなやり取りなのが素敵だった。
あとは、レオがホノカアの町で恋したマライア役の長谷川潤も、
エロ爽やかでとても印象に残った。
男はああいう気まぐれで、天真爛漫そうな女に振り回されるのを好む生き物なのさ。
で、やっぱり脚ですな。
脚。
キレいっす。
ちょっとマリエ、森泉と被るけど。
景色が綺麗で、海が美しくって、夜空が輝いていて、のんびりしている。
そして、料理が美味しそうで、人がみんな優しい。
自然の美しさ、人と人の出会いの大切さ、
生きること、食べることの素晴らしさを改めて教えてくれる作品でした。
オープニングとラストの“来る”“行く”の対比も良かった。
因みにこの作品のプロデューサーは亀山千広さん。
「踊る大走査線」シリーズのプロデューサーとして有名だけど、
他には『それでもボクはやってない』、『誰も守ってくれない』とかがある。
『ホノカアボーイ』もそうだけど、テレビドラマの映画化作品以外は、
結構、良質な作品を世に送り出している。
『ホノカアボーイ』
※岡田将生 インタビュー テキスト
※岡田将生取材記