3/20よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて 配給会社:東宝東和 (C)2008METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC. ALL RIGHTS RESERVED. |
第二次世界大戦末期。
ヒトラー率いるナチス政権の政策や思想に疑問を抱いたシュタウフェンベルク大佐は、
祖国ドイツの未来のため、ヒトラー暗殺計画<ワルキューレ作戦>を立案する。
そして、同志と共にその作戦を実行するが・・・
ナチス政権下で、実際に企てられたヒトラー暗殺計画を題材にしている。
“実際に起きた”わけで、“計画が失敗する”という結末は分かっているから、
如何に失敗までの過程をスリリングに描けるか?がこの作品のポイントとなる。
爆弾を仕掛けるシーンとか、それなりにドキドキしたし、
その後の攻防もなかなかスリリングだったから、その点はクリアしていたと思う。
しかしながら、本作には決定的にカタルシス(悲劇に因る心の浄化)が足りない。
悲劇的な展開にも関わらず、心をえぐるような何かがない。
もしも、この時点でヒトラーがこの世からいなくなっていたら、
世界は大きく変わったかもしれないという無念さもあまりない。
大金つぎ込んだ作品なんだし、
せっかくトム・クルーズとブライアン・シンガー監督が組んだんだから、
もう少し深みがあっても良いのでは?と思ってしまった。
十分楽しめる娯楽大作だけど、あまり記憶には残らない映画の様な気がする。
次いで、本作の見所となるのは、シュタウフェンベルク大佐を演じるトム・クルーズだ
随分前に“俺様ムービー”について書いたけど、
『ワルキューレ』の日本版ポスターを見れば、
トム・クルーズは未だに“俺様”なのが良く分かる。
しかしながら、劇中では、いつもの自意識過剰気味な演技は比較的抑えられていた。
「ワルキューレ」作戦が、「ミッション・インポッシブル」シリーズとは違い、
最後までチームプレイで成り立っているから、あまり“トム様、俺様”になっていないのかも。
あと、トム・クルーズ以上に演技力と存在感のある俳優が、
大量に出ているというのもあるかな。
ケネス・ブラナー、ビル・ナイ、テレンス・スタンプ、
トム・ウィルキンソンといった超名優たちだけでなく、
ポール・バーホーベン監督作『ブラックブック』のカリス・ファン・ハウテン、
『戦場のピアニスト』のトーマス・クレッチマンらも出演。
これじゃ、トムが霞むわな・・・
US版のポスターは日本版と異なり、トム様一人押しのヴィジュアルではない。、
トム様も少しずつ“俺様ムービー”から脱却を試みているのかもしれない。
それにしても、トム・クルーズは大丈夫なのかな?
サイエントロジーや奇行が原因となって、パラマウントから契約を切られてから、
あまりパッとしない。
製作費35,000,000ドルの『大いなる陰謀』は、全米興行成績15,002,854ドルと大コケ。
(全世界の成績だと黒字)
続く『ワルキューレ』は、製作費75,000,000ドルで、全米興行成績82,914,244ドルと、
赤字ではないが1億ドルに至っておらず、ちょっと寂しい数字。
集客力が落ちているのは、明白だ。
先述のUS版ポスターは、他力が必要な兆候という悪い見方さえ出来てしまう。
次回作も正式にアナウンスされていない中、
トム様に新作オファーが殺到しているというニュースを読んだけど、本当かな?
中学生の時、『トップガン』を見て以来、ずっと応援していて、
未公開作品を含めimdbに掲載されている出演作品は全部見ている。
そんな訳で、もう46歳だからとかいって、脇に回るのではなく、
引き続き、主役をバンバン張ってもらって、
“トム様、俺様街道”をばく進して欲しいんだけどなぁ・・・