3/28より丸の内ルーブルほか全国にて 配給会社:パラマウント ピクチャーズ ジャパン (C) 2008 PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved. WATCHMEN and all related characters and elements aretrademarks of and (C) DC Comics.Smiley Face Logo: TM Smileyworld, Ltd. |
最近、やたらと多いアメコミの映画化。
『ウォッチメン』もその一本だけど、他のアメコミ映画とは一線を画している。
予告編を見ても、紙資料をざっと読んでもイマイチ内容が伝わって来なかった。
その理由は本編を見て納得出来た。
凄い世界観なんだよ。
一言で説明なんか出来ない。
逆に言えば、原作の地盤のないここ日本では、ある程度の予備知識を持って見ないと、
中盤ぐらいまで何がなんだかよく理解出来ないまま、
シートに座り続ける人が続出するかもしれない。
ビジュアルがそこそこ面白いから、退屈することはないんだけど、
一体なんの話って?
まず、ウィッチメンと呼ばれる方々が何者なのかがようわからん。
あと混乱を助長させるのが、史実を歪曲している点。
例えば80年代の話なのにニクソンがまだ大統領だったり、
アメリカがベトナム戦争に勝利していたりする。
実際に起きた出来事にウォッチメンと呼ばれる者たちが絡んでくる。
史実とフィクションの融合が、『ウォッチメン』の特徴であり、
独特の世界観を生み出しているんだけど、
知らないで見たんで、「はっ?どういうこと?」ってなってしまった。
この作品は予めそういう設定だと知ったうえで見た方が良いような気がするな。
『スパイダーマン』、『ダークナイト』、『インクレディブル・ハルク』、
『アイアンマン』といったアメコミ作品が、
原作を知らない人でも楽しめるようにカスタマイズされているのに対して、
『ウォッチメン』はあまり迎合していないように思う。
そこが今までのアメコミの映画化作品と違うところだ。
そんな訳で『ウォッチメン』の世界観に没頭するまでに時間がかかってしまた。
果たして『ウォッチメン』を深く理解したかといえば、ノーかな。
原作は高い評価を受けているし、深遠なテーマも内包していると思うんだけど、
そこまで深く洞察することが出来なかった。
知ったかぶりして書くのも嫌だし、
素直に“何が言いたいんだか良く分かりませんでした”と白旗。
でも、飽きずに見ることは出来たんだ。
それはやはり監督の映像センスが良いからだと思う。
監督は裸祭り『300<スリーハンドレッド>』のザック・スナイダー。
個人的にはあまり格闘シーンをスローモーションで見せる演出は好きじゃないんだけど、ザック・スナイダー監督はスローモーションを効果的に使って格闘シーンを演出するのが上手い。
今回も冴えていた。
『リトル・チルドレン』、『パッセンジャーズ』に出演し、
およそアクションとは無縁そうに見えるパトリック・ウィルソンが、
バッチリアクションを決めちゃう。
あと、アメコミの映画化というと、お子様も大切なお客様になる。
しかしながら、『ウォッチメン』は完全に大人向けな作りとなっている。
パトリック・ウィルソンとマリン・アッカーマンの濃厚なセックスシーンもあるし、
ウォッチメンの一人であるDR.マンハッタンはCG加工されているとはいえ“フルチン”で登場する。
きっと映倫もボカシを入れるかどうか迷ったに違いない。
(もしも入れたら映倫は大批難を浴びたはず)
さらにバイオレンスシーンも結構凄い。
電気ノコギリで腕を切断する血まみれシーンや、
脳天に斧を叩き込んで、血が噴出すシーンや、
ワンちゃんが、あるモノをムシャムシャ食べたりするシーンがある。
ザック・スナイダーって、『300<スリーハンドレッド>』のイメージが強いけど、
『ドーン・オブ・ザ・デッド』も撮っているんで、まぁ、納得の演出か?
(『300<スリーハンドレッド>』も首チョンパとかえぐいシーンあるしね)
そんな残虐シーンの多くに登場するのは、
ジャッキー・アール・ヘイリー(JEH)演じるウォッチメンの一人ロールシャッハ。
ほとんどのシーンで覆面を被っているので、JEHの表情は見えないんだけど、
『リトル・チルドレン』の狂気の変人を演じたJEHが、
こういう役を演じるのは新鮮だと思った。
しかし、『リトル・チルドレン』の狂人以上の狂人だった・・・
でもそんなジャッキーがとっても素敵です。
それから音楽の使い方が良い。
ボブ・ディラン「時代は変わる」、ナット・キング・コール「アンフォゲッタブル」、
サイモン&ガーファンクル「サウンド・オブ・サイレンス」、
ジャニス・ジョプリン「ミー・アンド・ボビー・マギー」、
KC&ザ・サンシャイン・バンド「ブギー・マン」など、
往年の名曲が随所に散りばめられている。
特にジミヘンの『見張り塔からずっと』は、カッチョ良かった。
なんでこの曲をこのシーンで使ったのかは良く分からないけど、
とにかくしびれた。
元々ボブ・ディランの曲なんだけど、
デイヴ・メイソンの家でジミヘンが聴いて気に入りカバーした。
デイヴ・メイソンはジミヘン版でアコギを弾いているし、自身もカバーしている。
その他に、大勢の人にカバーされている名曲だ。
(こんな素晴らしいサイトもあった←無許可掲載だから素晴らしいってのはマズイか?)
こんな感じで映像・音楽センスとかバッチリだし、
物語の流れとかも理解できたんだけど、
やっぱりテーマがなぁ・・・良く分からなかった。
多分、深く突っ込めば、要所要所にウンチクネタが出てくるんだと思う。
以前、アメリカン・ヒーローとアメリカというテーマで記事を書いたけど、
じゃあ、『ウォッチメン』が今のアメリカを描いているのか?
と問われても答えられないな・・・。
少しは理解の足しになるかと思って、
鑑賞後、原作「ウォッチメン」のストーリーをやや細かく読んでみたんだけど、
かなり忠実に映画化されていた。
コミックのビジュアルは見ていないので分からないけど、
物語の流れの部分は原作のファンも満足だろうなぁーって思った。
『DRAGONBALL EVOLUTION』も「ドラゴンボール」LOVEなクリエーターに撮って欲しかった・・・