3/28より新宿バルト9ほか全国にて 配給会社:ティジョイ、さらい (c)nWave Pictures |
1969年、月面着陸に成功したアポロ11号に、
こっそりと侵入したハエのナットたちの冒険を描いた3Dアニメ。
実は今回、初めて3D映画を見た。
以前、『ベオウルフ』の3D版を見に行った知人が“凄かった!”とやや興奮チックに語っていたし、
昨年、『センター・オブ・ジ・アース』が話題になっていたので、
3D映画を体験してみたかったんだけど、なるほど、なかなか面白かった。
昔の3Dと言えば、赤と青のメガネ。
でも今は色無しメガネ。
普段より裸眼生活なので、ちょっとメガネに違和感を覚え、
それが鑑賞の妨げになるかと思ったんだけど、たまさか気にならなかった。
でも、スクリーンにはどう映写されているのか確認したくて、
序盤は何度かメガネをずらして見たりした。
勿論、映像は二重だった。
恐らく、立体的に見えるよう緻密な計算をして、映像を重ね合わせているのでしょう。
2D映画の倍以上の作業になるわけで、その労力を考えると頭が下がる。
主人公のナットをはじめ、キャラクターたちを立体的に見せることが多かったんだけど、
たまに手前にある葉っぱとか、破片とかも立体になり、
まさにその場に居るかのような感覚だった。
いつもだったら一番前にの座席に座るんだけど、
初3D映画鑑賞ということで、目の負担を考慮し最終列のシートで見た。
一番前で見たらもっと迫力あったに違いない。
そして、本作の見所は3Dだけじゃない。
ナットたちの宇宙冒険も思いの他楽しかった。
アポロ11号の話は誰もが知っている。
だからこそ観客を引き付ける展開が必要なんだけど、
アポロ11号船内は勿論、ヒューストン宇宙基地を舞台にしたエピソードもあって飽きさせない。
あと、アポロ11号に関しては、
先日公開されたドキュメンタリー『ザ・ムーン』を見ていたので、より一層興味深かった。
アームストロング船長、
『ザ・ムーン』にも出演していたバズ・オルドリンの描き方にも配慮がなされていて好感が持てた。
それから、本作の監督ベン・スタッセンにインタビュー出来たのも大きな収穫だった。
本作は「企画段階から3D専用に作られた初のCGアニメーション」というふれこみだった。
先述の『ベオウルフ』をはじめ、3DCGアニメは他にもあるので、
その意味が良く分からなかったんだけど、ベン・スタッセン監督の話を聞いて理解できた。
『ベオウルフ』やCGアニメじゃないけど『センター・オブ・ザ・アース』と言った作品は、
2Dを3Dに変換したり、2Dでも3D効果が得られるように制作されたもので、
いわば、2.5Dの映画だという。
ベン・スタッセン監督は、
「2D上映であっても十分楽しめる作品を、わざわざ3Dにする必要があるのか?
3Dには3Dにあった企画があるはずだ」という。
『ナットのスペースアドベンチャー』は、アポロ11号の史実をベースにしている。
物語の展開はある程度読めている。
でもこれがもっと複雑な話だったりすると、話を追う方に気を取られ、
3Dを体感しようという気持ちが薄れてしまう可能性がある。
誰もが知っている物語だからこそ、3D映画に相応しいといえるのかもしれない。
そんなこんなで、3D映画初体験が“本物”の3D映画だったこと、
そして、3D映画の専門家であるベン・スタッセン監督から3D映画の話が聞けたのは、
本当に良かった。
ただ一点、日本語吹替え版で見たんだけど、
ソ連のことをロシアという風に表現していた。
確かに今はロシアなのかも知れないけど、
1969年当時はソ連なわけで、そこがちょっと気になった。
(細かいけど、子供が見る映画だからこそ史実に沿って欲しいな)
『ナットのスペースアドベンチャー 3D』
※ベン・スタッセン監督 インタビュー