4月18日よりシネマアンジェリカほか全国にて順次公開 配給会社:サイレントヴォイスLLP (C)2008 サイレントヴォイスLLP LLP(日 本) ヴェルナー・ペンツェル・フィルム・プロダクション(ドイ ツ) レ・フィルム・ドゥ・プレゾン(フランス) (C)Ayako Mogi |
沖縄・西表島の北に位置する浦内川の河口に、
石垣昭子と金星夫婦が営む紅露工房(くうるこうぼう)がある。
2人は芭蕉や苧麻(ちょま、別名:カラムシ)から糸を紡ぎ、布を織り、
島に自生している植物で染めて工芸品を作る。
そんな夫婦の日常を記録したドキュメンタリー映画。
自然と共に暮らし、自然の恵みを活かし、自然を大切にしながら作品を作り上げている。
2人の生活や仕事を通して、今の日本から失われつつある本来あるべき人間の営みが浮かび上がる。
石垣昭子さんたちの日常生活は、今の日本ではレアだと思う。
でも、自然と共存し、自然から得たもので生活するライフスタイルは、
原始の時代から人間が続けてきたことだ。
ここ100年そこいらで、人間は利便性を追究し、スピード化を推し進め、
いつのまにやら近代化された今の社会を形成している。
自分自身もあやかっちゃっているんで、偉そうなことは言えないけど、
やっぱり心のどこそこかで、“何か違うんじゃない?”って感じているし、
一体、世の中はどこに行き着くんだろう?って不安に思う。
だから石垣昭子さんたちのシンプルな日常生活が、
逆に新鮮に見えてくるし、「あぁ、これが本来の姿なんだよねぇー」って思いに至る。
本作は、石垣昭子さん本人によるボイスオーバーはあるが、
ナレーションもないし、余計な説明も極力排している。
つまり、作り手の主観を強要するのではなく、
見た人が自由に感じることの出来る作りになっている。
(要するにマイケル・ムーアとは違うってこと)
西表島の観光名所も絶景も出てこない。
西表島のありのままの姿が映し出されているだけなのに、
美しいと感じる。
木の色、緑の葉、透明な水。
その一つ一つが美しい。
一方で、リゾート開発問題や環境破壊にもサラリと触れている。
押し付けがましくない分、余計にドキッとする。
特にゴミとウミガメのエピソードが印象に残った。
東京に住んでいるうえ、弱肉強食の資本主義社会にドップリと浸かっている身なんで、
石垣昭子さんたちのような生活を送るのははっきり言って無理なんだけど、
“人間本来の営み”を意識するだけでも、
日々の生活がちょっと豊かになるような気がした。
あとですね、一つ心残りが・・・
今から3年ぐらい前に西表島に行った。
3日間の滞在期間中に星の砂ビーチに行って泳いだ。
紅露工房が星の砂ビーチの直ぐ近くにあると知ったのは、
この映画の存在を知ってから・・・
うっ〜、紅露工房に行きたかったザンス・・・
十分に行く時間はあった・・・