『レッドクリフ PartII -未来への最終決戦-』 4/10より日劇1、日劇3ほか全国にて 配給会社:東宝東和、エイベックス・エンタテインメント (C)2009, Three Kingdoms, Limited. All rights reserved. |
上映終了後に心からの賛辞の拍手をしたのはいつ以来か?
完成披露試写会では、たまに上映終了後に観客から拍手が起こることがある。
でも、その大半がサクラだったりする。
元々捻くれているから、身内がそういうことすると滑稽に思えちゃって、
滅多なことでは拍手なんてしないんだけど、
『レッドクリフ PartII』の完成披露では、鑑賞後拍手をしたよ。
まず、ジョン・ウーが好きで良かったって思った。
ジョン・ウーを好きになったキッカケは、多くのジョン・ウー・ファンがそうであるように、
『男たちの晩歌』だった。
二丁拳銃のかっこよさに痺れ、男たちの熱い友情に感動し、ラストシーンで涙した。
当時、中坊だった伊藤Pは、完全にノックアウトされた。
ビデオで見たんだけど、横に母親がいるにも関わらず居間でオイオイ泣いた。
以来、「晩歌」シリーズは全部見たし、
ハリウッドに渡ってからもジョン・ウー作品を追いかけた。
ズッコケ作品『ウィンドトーカーズ』、『ペイチェック/消された記憶』だって見たさ。
このところ燻っていた感が否めないジョン・ウーが、
監督作品としては『ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌』以来、
実に16年ぶりにアジアに戻り撮りあげた『レッドクリフ』二部作。
(製作国はアメリカ、中国、日本、台湾、韓国)
その気合度&踏襲度は過去最高だ。
「晩歌」シリーズにあった男の友情、生き様。
『ブロークン・アロー』、『フェイス/オフ』の男と男の生死を賭けた戦い。
『m:i-2』の過剰すぎるほどのケレンミ。
ジョン・ウーのらしさがてんこ盛りだ。
物量と火薬量で圧倒しまくる戦闘シーンは、『ウィンドトーカーズ』で培ったノウハウだ。
そして、ハリウッドとの決別の意志を固めさせたのは、
『ペイチェック/消された記憶』の失敗だろう。
もっと言えば、「SFは好きじゃない」と公言していたジョン・ウーが、
生身の人間をリアルに描く『レッドクリフ』に更なる情熱を傾ける契機になったのかもしれない。
この2大失敗作さえも肥やしにして、『レッドクリフ』二部作を作り上げた。
タダじゃ転びません!
とにかく、上手く説明出来ないんだけど、『レッドクリフ PartII』を見れば、
アクションの撮り方、キャラクターの際立たせ方と絡ませ方、
そのどれもこれもがジョン・ウーならではであり、
ジョン・ウーじゃなければ絶対にこんな絵は撮れないってことを伝えたし!
ジョン・ウーを追いかけていた人は、見るべき一本だと思う。
ジョン・ウーの現時点での集大成といえる作品だ。
伊藤Pは、『レッドクリフ PartII』を見て泣きました。
でも物語の展開で泣いたのではなく、ジョン・ウーの情熱に感動して涙した。
華麗に立ち回る戦士たちの動き。
ワイヤーで吊られて宙を舞い、着地と共に見得を切る大げさなショット。
周瑜と曹操が対峙するシーンは、まさにジョン・ウーならではのメキシカン・スタンドオフだ。
当然、コートの代わりにマントや着物の袖をバサァァァってやるシーンもある。
『レッドクリフ PartI』以上に、This is John Woo!だった。
タイトルの前に、“John Woo's”って付く理由がよーーーーく分かる。
孫権+劉備軍の思惑通りに事が進みすぎるとか、
曹操が百戦錬磨の武将の割には、意外とバカだったりとか、
ヴィッキー・チャオ演じる尚香と敵兵士との恋愛がチープだとか、
“それってちょっとどーなのよ!?”ってところもあるんだけど、
そんなのはどーでも良い。
そういうベタな所もジョン・ウー節なんだ。
ジョン・ウーの情熱が、スクリーンを絶対的に支配していた。
ジョン・ウーの熱意が、トニー・レオン、金城武といったメインキャストだけでなく、
矢が刺さって死ぬだけのエキストラからも伝わってくる。
もっと言えば、セット、衣装、火薬、煙からもジョン・ウーの思いが伝わってくる感じ。
こんな映画には滅多に出会えません。
とまぁ、ジョン・ウー視点で書いてきましたが、
ジョン・ウーの映画を見たことがない人たちも、十分楽しめる作品だと思う。
これだけたくさんの登場人物が出てくるにも関わらず、
まったく混乱しないし、それぞれのキャラクターの造形もしっかりしている。
戦闘シーンもやたらめったらの殺陣ではなく、
各々に見せ場を作っているし、ザコキャラも無駄にしない。
何がどうなっているのかが分かるのも凄いね。
「PartI」を見た人は勿論のこと、まだ見ていない人も「PartI」をDVDで見て、
即、映画館へ!
ここ最近、これ程本物のスペクタクルを体感できる映画は無かったと思う。
これぞ映画だ!って思った。
■『レッドクリフ PartII』
※『レッドクリフ PartII』舞台挨拶付完成披露フェスティバル 取材記
※完成披露舞台挨拶記事
■『レッドクリフ PartI』
※【伊藤Pの部屋】感想記事
※トニー・レオン取材記
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