4月18日よりシネマライズ、シネカノン有楽町2丁目、新宿バルト9ほか全国にて 配給会社:ピックス (C) 2008 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED |
1970年代、同性愛者であることを公表し、アメリカで初の公職に就き、
社会の変革を夢見て戦い、志半ばで散ったハーヴェイ・ミルクを描いた伝記映画。
映画小僧だった頃、映画のチラシを収集していた。
良くぞまぁ、あそこまで集めたもんだと自分でも感心してしまうほど熱心だった。
地元の吉祥寺にもチラシ販売の小さいお店があって(今はもうない)、
高校生の時、その店に入り浸っていたんだけど、
そこで『ハーヴェイ・ミルク』という映画のチラシを発見した。
これがハーヴェイ・ミルクとの出会いだった。
ちょっとユニークな似顔絵が書いてあったんだけど、
どんな映画かも判らず、単にミルクなんて変な名前と思ったことを今でも記憶している。
結局、そのチラシは購入したんだけど、
その後、ハーヴェイ・ミルクがどういう人だったのかとか、調べることはなかった。
あれから数十年。
ショーン・ペンがハーヴェイ・ミルクを演じるというニュースを聞くまで、
ハーヴェイ・ミルクがどんな人かもイマイチよく知らんまま年を重ねてしまいました。
そんな訳で、お恥ずかしい話ですが、
ハーヴェイ・ミルクがどのような人物だったのかは、この『ミルク』で知りました。
本作では、1972年に20歳年下のスコット・スミスと共にサンフランシスコに移り住み、
やがて政治家として目覚め、1977年に市会議員に初当選した後、
1978年11月27日、凶弾に倒れる倒れるまでを描いている。
伊藤Pの知人にもゲイが数名いる。
中には毎週仕事で顔を合わせる人もいるんだけど、
普通に接しているし、特に偏見もない。
しかしながら、そうはいってもストレートなんで、
ハーヴェイ・ミルクが同性愛者の人権解放を主張しても、
最初、いまいちピンと来なかった。
ハーヴェイ・ミルクが戦った1970年代、
同性愛者に対する社会の扱いは、今では考えられないぐらい酷かった。
同性愛者同士の結婚すら認められている州がある今とは大違いだ。
大変な時代だったんだなぁーと思う一方で、
今のゲイ・コミュニティの進化は、
ハーヴェイ・ミルクがいなければ無かったかもって思った。
それでもやっぱりストレートだからか、申し訳ないけど“他人事”だった。
ところが、見ているうちにハーヴェイ・ミルクが主張しているのが、
同性愛者だけでなく、社会のあらゆる弱者の生きる権利である知り、
他人事ではなくなった。
1970年代のアメリカで、様々な社会変革が起きたように、
今の日本でも凄まじい勢いで世の中が変化している。
しかもその変化は悪い方向に向かっていて、
それは日本で暮らしている多くの人が、肌身に感じていることだと思う。
勿論、自分も感じているんで、
『ミルク』を見て、ハーヴェイ・ミルクのようなリーダーシップを執れる人物が、
今の日本に必要なんじゃないかと強く思った。
ハーヴェイ・ミルクが暗殺されたことは知っていたし、
作品の冒頭でも触れられている。
結末が分かっている上で、『ミルク』を見たわけだけど、
ラストシーンで、涙がこみ上げてきた。
『ミルク』を通して、伝えられるハーヴェイ・ミルクの情熱と信念。
それは同性愛者だからとかじゃない。
それ以上の広がりを持っているからこそ、共鳴し、感動できたんだと思う。
※ドキュメンタリー映画『ハーヴェイ・ミルク』もリバイバル上映されます。
4/18よりアップリンクXほか全国順次 配給会社:パンドラ (c)Black Sand Productions Inc. |