5月16日より新宿バルト9ほかにて 配給会社:ヴィレッヂ、ティ・ジョイ |
楽しかった〜!
というのが鑑賞直後の感想。
そもそも≪ゲキ×シネ≫とは、劇団★新感線の舞台を10数台のデジタルカメラで撮影し、
フィルムを使わずデジタルシネマの技術を用いて制作されていて、
舞台の臨場感を映画以上の美しい映像で堪能できる新感覚の映像エンターテインメントだ。
≪ゲキ×シネ≫シリーズは、既に5本製作されていて(注1)、
その存在を知った時からいつか見てみたいと思っていた。
劇団★新感染の公演も遥か十年も前だけど、一度だけ見に行ったことがある。
演目は失念したが、大好きなハードロック/ヘヴィメタルの名曲の替え歌オンパレードで、
超楽しかったってことだけはよく覚えている。
同劇団の看板俳優である古田新太も結構好きで、
よく「古田新太のオールナイトニッポン」を聴いていた。
伊藤Pのハードロック/ヘビーメタル、下ネタ大好き志向は、
このラジオ番組から多大なる影響を受けていることは間違いない。
さて、この『五右衛門ロック』ですが、2008年夏に新宿コマ劇場で上演された公演を、
≪ゲキ×シネ≫化したもので、
古田新太、松雪泰子、江口洋介、森山未來、北大路欣也といった錚々たる顔ぶれが、
迫力のハードロック/ヘビーメタルにのせて、歌って踊って、笑わして、泣かせてくれる。
まず、役者さんたちがみんな素晴らしい!
古田新太は、石川五右衛門をとぼけた感じで飄々と演じ、〆るところではバシッと〆る。
松雪泰子は『デトロイト・メタル・シティ』のデスレコード女社長と、
『フラガール』の先生が融合したようなキャラクターなんだけど、
歌って踊って、コロコロとキャラクターが変わる真砂のお竜を生き生きと演じている。
江口洋介は中々歌わないんだけど、やっと中盤に歌ってくれる。
でも江口洋介の場合は歌というよりも殺陣かな。
岩倉左門字の執念深いが人の良い役柄を楽しそうに演じている。
そして、森山未來。
彼は凄い。
『フィッシュストーリー』のアクロバティックなアクションを見て、「おぉ!」って思ったんだけど、
『五右衛門ロック』の方が500倍凄いよ。
動く、動く、動く。
しかも美しい。
歌って、演技して、息が上がっていない。
森山未來の踊りを見るだけでも価値があると思う。
あと、ペドロ・モッカという怪しい南蛮商人を演じた川平慈英にも驚いた。
歌と踊りがこんなにも上手いとは。
そして、大ボス(?)クガイを演じた北大路欣也は流石の貫禄。
「俺の目を見るのだぁ〜!!!」
「言われなくても見ちゃいます!!!!」
ってな感じの目力です。
古田新太、松雪泰子、江口洋介、森山未來が見得を切るシーンがあるんだけど、
もう毛穴という毛穴が開いちゃって、体中にビリビリ電流が流れるぐらい痺れた。
普段、映画では見ることの出来ない俳優さんたちの躍動感に満ちた歌と踊りと演技は、
役者という職業の奥深さと大変さと素晴らしさを教えてくれる。
舞台だったら客席からは遠過ぎて見ることの出来ない役者さんたちの細かい所作を、
≪ゲキ×シネ≫だったらしっかりと観客に伝えてくれる。
これが≪ゲキ×シネ≫最大の魅力でしょう。
既に生で舞台を見た人も新しい発見が出来て、別の楽しみ方が出来るでしょう。
逆に舞台を見ていない伊藤Pは、舞台を生で見たくなった。
生といえば、劇中に流れるハードロック/ヘビーメタルの楽曲も生演奏。
バンド間だけでなく、役者さんたちに合わせる必要があるわけだから
普通に音楽ライブとは、演奏の仕方はまるで違うと思う。
相当スリリングだ。
スリリングだからこそ、高井寿の奏でるこれぞメタルなギターサウンドにより酔いしれた。
とにもかくにも、舞台を見ていようが見ていまいが、
そんなの関係ない!
こんなの舞台じゃない!映画じゃない!って人もいるかもしれませんし、
メタルなんてうるさい!!っていう人も(たくさん)いるかもしれません。
でも、そんな食わず嫌いな人たち!見ないと人生かなり損しますよ。
冒頭に“楽しかった”って書きましたが、
本当に“面白かった”というよりも、“楽しかった”という表現の方がしっくりくる、
そんな体感型エンターテインメントです。
鑑賞後は富士急ハイランドのFUJIYAMAに乗った後の様な満足感と爽快感が得られます!
■注1:≪ゲキ×シネ≫シリーズ
・『髑髏城の七人〜アカドクロ』(2004年)
・『髑髏城の七人〜アオドクロ』(2005年)
・『SHIROH』(2005年)
・『メタルマクベス』(2007年)
・『朧の森に棲む鬼』(2007年)