5月15日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて 配給会社:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント |
皆さんご存知、ハーヴァード大学宗教象徴学のロバート・ラングドン教授が活躍する
大ベストセラー・シリーズの映画化第二弾。
前作『ダ・ヴィンチ・コード』の原作は映画化が決定する前に読んでいた。
上下巻のうち上巻は、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵に隠された秘密の数々がとても興味深く、
興奮しながら読んだんだけど、下巻のサスペンスが肩透かしで大失速。
その後見た映画に関しても・・・。
そもそも記号とか暗号の解読って、実は映像向きじゃないと思うし、
下巻の緩い展開も映画にするにはちょっときつい。
致し方ないけど、かなり原作にあった重要な部分をすっ飛ばしていたんで、
“果たして原作を読んでいない人は、理解出来るのだろか?”と思った。
原作ありきの映画なのかぁって。
だから続く「天使と悪魔」も映画を見る前に読んでおいた方が良さそうと判断し、
今年な入ってからブックオフで文庫三冊を購入して読んだ(なんと各¥105ぽっきり!)。
「ダ・ヴィンチ・コード」より面白かった。
ラングドンがひとつひとつ道しるべを解くことによって進行していく物語がまず良い。
敵とのおっ駆けっこだ。
ラングドンとヒロインのヴィットリアは、何度も危機に晒される。
そして、私利私欲や愛憎、偏愛といった人間のダークサイドや、
宗教VS科学といったテーマ性もしっかりしている。
これは「ダ・ヴィンチ・コード」よりも映画にし易そうだ!
ということで、ちょっと期待して見た。
原作で重要だった人物が数名登場しないのを筆頭に、
全体的にかなり省くところは省いているし、
キャラクターの役割や末路が違うといった細かい変更点は見られるものの、
大体の大筋は原作と一緒。
良くまとまっていると思った。
見た多くの方々が、「前作よりは面白い」と述べているらしいが、この感想に賛同する。
しかしながら、鑑賞直後のトイレでこんな意見も耳にした。
「緊迫感がないんだよねぇ〜」。
これにも激しく同意する。
そう感じてしまった原因もいくつか挙げられる。
まずラングドン自身が危機的状況に陥ることがない。
原作では何度もアサシンと格闘するが、映画ではなんとゼロだ。
続いて、ヴィットリアのキャラクターが果たすべき役割を果たしていない。
ラングドンとの仄かな恋愛感情や父と娘の親子、
そして、上司との関係性といった部分がまるっきり削られている。
このため人間ドラマとしての奥行きがない。
またラングドン同様、彼女も窮地に追い込まれない。
本作で最も危機的状況下にあるのはヴァチカンの人たちなのだが、
物語の設定上、彼らにはそのことが知らされていない。
だから誰も切迫しないし、
彼らに感情移入することもない。
この3点が、緊迫感がない原因だと思う。
せめて、ヴィットリアが拉致されて、ラングドンが助けるエピソードぐらい、
あっても良かったんじゃないかなぁーって。
原作と映画は別物と常々言って来ているけど、
本作に関しては原作先行なんで、比較してしまいました。
まぁ、そうは言っても、
原作を読んでいない人も世の中には沢山いるでしょう。
原作を読んでいない人はどう感じるのだろうか?
なんにしても、
映画のスペシャリストたちが結集して作り上げたA級の作品であることは間違いないし、
映画業界の本作に対する興行的な期待も大きい。
2009年に公開される映画を代表する1本なので、
是非、劇場に足を運んでいただきたい。