6月6日よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開 配給会社:ダゲレオ出版 (C)2008ドリームワンフィルム/パワーズ |
勝ち組、負け組に色分けされる現代社会に嫌気が差した男が、
自ら経営するIT企業をほっぽって、ヨットで北海道無寄航一周にチャレンジし、
本来の自分自身の姿を取り戻すお話。
良くある再生物語なんだけど、個人的にはあまりピンと来なかった。
仕事をする際には多かれ少なかれ嫌な思いをする。
時には人を出し抜かなくてはならないケースもあるでしょう。
ましてや普通に生活する事も儘ならない今のご時世、
生き残るためにはそれ相当なサバイバルを覚悟しないといけない。
そんな世の中は嫌だけど、実際にそんな世界に身を置いている。
「仕事が嫌だから辞めます。自分を見つめ直すために旅に出ます」
でも、本当にやっちまったら・・・
現実は厳しいっすよ。
世の中そんなに甘くない。
だから主人公である哲郎の取る行動に共感したというよりは、
羨望したと言った方が正しいような気がする。
そりゃ、旅に出たいけど、実際に旅立ったら失うものが大き過ぎるから、
全てを捨ててゼロからスタートしようとする哲郎を羨ましく思うわけですよ。
しかし、そんなやりたい願望も、徐々に消滅。
あっー、やっぱり旅に出ない方がいいかもぉ〜って。
哲郎のヨット旅行があまりにも無計画過ぎちゃって・・・
国後島に祖父の遺骨を埋めることが目的の一つなんだけど、
現在ロシアの占領地となっている国後島に上陸出来るわけないでしょ!!
てっきりロシアにばれないようこっそりと上陸するのかと思ったら、
真昼間に堂々と正面突破。
というか、突破するとかじゃなくて、普通に上陸しようとしている。
アホかいな・・・
国後島上陸というスーパーウルトラ困難な計画をやり遂げてこそ、
映画ならではのアドベンチャーでしょ!
(本当にやってはいけません)
そもそも国後島以前に、宗谷で事故に遭ってしまい無寄航自体失敗している。
その肝心の事故シーンがないってのもアドベンチャーじゃないなぁ〜。
で、本作は哲郎だけでなく、哲郎の高校時代の同級生・由紀も重要な役割を担っている。
由紀は哲郎の会社の部下である麻衣子と共に、車を使って陸上ルートで哲郎を追いかける。
あまりヨットのシーンがピンとこなかったのに対して、この2人の旅は中々興味深かった。
というのは、幌内にある閉山した炭鉱を訪ねるから。
廃墟好きにはたまらないシチュエーションだ。
なんか、こうロマンを感じるんですよ。
かつて栄え、そこで暮らし、働いている人たちがいた。
その人たちの思いの一部が、朽ちた建物に沁み込んでいる様な気がするんだよねぇ。
寂しさと懐かしさが入り混じった切ない気分になる。
伊藤Pが一番気になる廃墟は、静岡県にある稲取廃隔離病棟。
何度かその姿を拝もうと現場間近まで行っては見たものの、
うっそうと多い茂る木々に阻まれたり、雨が降ったりで断念したんだよね。
幌内の炭鉱も、3年前に北海道に行ったときに近くを通ったんだけど、
土砂降りで・・・
何かと廃墟巡り運がないので、
映画の中だけでも過去を物語る歴史的建造物が見られるのは嬉しい。
でも、本作では北海道の抱える問題として、幌内炭鉱を持ってきたようなんだけど、
なんだか取って付けた様な感じがしたのが残念だった。
で、このシーンでの一番の問題は、廃屋にズカズカと上り込む由紀の行動じゃないかと・・・
いかんだろう。勝手に入っちゃ。
不法侵入になっちゃうぞ。
(許可取ったの?)
それはさておき、他にも北海道を感じさせるショットが結構ある。
特に知床半島を捉えた空撮は美しい。
本ブログでもしきりに言っている様に、伊藤Pは沖縄が好きな訳だが、
訪問回数でいうと実は北海道の方が多かったりする。
宗谷岬、えりも岬の方はまだ行ったことがないけど、
札幌、函館、松前、ニセコ、帯広、釧路、小樽、厚岸、知床、室蘭、根室、
森、八雲、瀬棚、網走、長万部、登別、苫小牧、千歳、富良野、美瑛、
江別、石狩、旭川、余市、神威岬と、ほぼ主要なところは行ったか、通過している。
哲郎の地元である江差は、ちゃんと降り立ってはいないけど、
車で通った。
江差のある北海道の日本海に面した東側って、あまり観光客行かないんだけど、
あえて、函館から北上したことがあった。
江差を通って、瀬棚、神威岬、余市というルートだった。
海沿いの道をひた走るし、奇岩も多く中々楽しいドライブルートだ。
江差と瀬棚の中間ぐらいの熊石町には、天然露天風呂“熊の湯”ってのがある。
是非、機会があったら行って見て下さい。
超ウルトラ天然なので、脱衣所から温泉まで数メートル、素っ裸で歩くことになる。
お天と様の下で、全裸になる勇気はないかもしれないが、
そんな時は草○くんだって!ということで、思い切って脱いでしまいましょう。
因みに伊藤Pは浸かりました。
誰もいなかったのですが、いつ誰が来るかも分からない状況なので、中々の緊張感。
最初は前を隠していたのですが、慣れるとどーでも良くなって、
マッパで湯の周りを徘徊しておりました。
あと、瀬棚で食べたハチミツソフトは、人生で一番美味しいソフトクリームだと今でも思っているし、
途中で立ち寄った“せたな青少年旅行村”にある公園から見る景色は絶景だった。
神威岬は神秘的だし、余市近辺では有名なローソク岩も見ることが出来る。
てな感じで、本作を見ながら自らが訪れた北海道の美しい情景を思い出したりした。
所々、観光ビデオ的なショットもあるっちゃるけど、
許容範囲内かと。
うーん、やっぱり物語の内容よりも北海道の風景ばかりが印象に残る映画なんだな。
あっ、あとインパクトあったのは哲郎演じる石黒賢さんの胸毛。
絶景!絶景!!
以上、『ジャイブ 海風に吹かれて』というよりは、ドライブルートの紹介でした!