2009年06月05日更新

#383 『ターミネーター4』


T4

『ターミネーター4』

6月13日より丸の内ピカデリー1ほか全国にて
配給会社:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント




本公開は13日からだけど、6月5日(金)〜7日(日)にかけて先行上映があるので、
一週早く掲載します。


誰もが知っている人気シリーズ第4弾。


今回は、現代から未来に舞台を移していて、
<審判の日>=核戦争の後となる2018年、地球を支配した機械軍<スカイネット>と、
人類の救世主と予言されたジョン・コナー率いる抵抗軍の戦いが描かれている。


ジョン・コナーが、サラ・コナーのもとにカイル・リースを送り込む数年前のお話だ。


日本に先立って公開されたアメリカでは不評との声をチロリと耳にした状態で見た。


が!


何が不評だ!!
素晴らしい出来ではないか!


最近見たアクション映画の中でもブッチギリの面白さだった。


世代的には、
あのジャジャン!ジャンジャン!という勇ましいテーマソングを聞くだけで血が騒ぐ。
『T4』のオープニングタイトルは、より激しくて高音質のジャジャン!ジャンジャン!
この時点で既に興奮していた。


しかもマイケル・アイアンサイドのクレジットを発見!
『スキャナーズ』('81)やテレビシリーズ「V」で有名なカナダのジャック・ニコルソンの異名を取る個性派俳優だ。
個人的には『面会時間』('82)って作品が好きなんだけど、お久しぶりっす!


こりゃー楽しみだぁ!と思ったら、まずは直ぐにフィルムの質感に“おぉ!”って。
いわゆる銀残しなんだけど、今までのこの手の色合いとちょっと違う。


後で知ったんだけど、古いフィルムを天気干ししてから現像したんだってさ。
この“干物フィルム”の独特な干からびた質感は作品のテイストにマッチしていた。


T4


そして、最初の見所はクリスチャン・ベイル演じるジョン・コナーが、
ヘリコプターに乗って離陸し、墜落するまでを手持ちカメラでワンカットで撮っているところ。


逆さまに墜ちた狭いヘリの内部でカメラがぐるりと180度回転する。
今のカメラ技術の発達を考えたら、驚くほどのことではないのかもしれないけど、
長回し好きとしては中々しびれる演出だった。


その後、ジョン・コナーとターミネーターの一作目のラストを彷彿させるタイマンに突入。
おやおや、ブーツが脱げちゃったじゃないのよ。
最初からこんなの見せられたら、益々期待しちゃうよ〜って。


で、凄いのがその期待に応えちゃうんだな。


この辺で先発のクリスチャン・ベイルから、
サム・ワーシントン演じる謎の人物マーカスにバトンタッチ。


リングインしたマーカスは、殴って、吹っ飛んで、落っこちてと大暴れ。


T4


肉体を駆使したアクションだけでなく、カーアクションも凄いぞ。
ミニチュアではなく、本物のジープやタンクローリー使い、激走!爆走!!大激突!!!
この「マッドマックス」チックなリアルアクションは、オイラのハートを鷲掴み!


しかも、そのタンクローリーを爆破する。
その炎はCGではない。
マジでガソリンに引火させて吹っ飛ばしている。


その火量はエコ時代に反するぐらいの凄まじさ。


爆発はタンクローリーだけじゃない。
遂にはナパーム弾まで投下する。
たまんねぇ〜!!!


これだったら火薬大好きな福井晴敏氏も大満足に違いない。
良いよね〜、火薬。


あっ、福井さん監修、脚本の『真夏のオリオン』と公開日一緒やん。
『T4』がライバル作品となる福井さんの胸中や如何に?


話がそれたが、確かにCGも使っているけど、
あくまで補強のためという本物志向のアクションは、
アクションLOVEな者にとってたまらないものがあった。


そして、本作シリーズの主人公ともいえるターミネーターも、
旧式(T-600)から巨大なもの(ハーヴェスター)、
更には素敵な動きをするバイク型(モトターミネーター)、
生理的にちょっときついイモムシ型の水中用ターミネーター(ハイドロボット)まで、
色んなタイプが登場する。


T4


偵察ロボットや飛行型ターミネーター(トランスポート)などのメカも楽しい。


これらユニークなマシーン軍団との壮絶なヘビー級バトルが、
先述の冒頭からラストまでぎっしりと詰まっていて、見せ場の連続だった。


最初はあまり活躍しないクリスチャン・ベイルも中盤から後半にかけて大奮闘。


マーカスとの仲違いをやらかした後、見事なツープラトン攻撃に至るジョン・コナー。
タッグチームとしてかなり完成度が高いことが分かる。
世界最強タッグ決定リーグ戦に出場したら間違いなく優勝だ。
かつてのハンセン&ブロディ級の規格外コンビになるに違いない(なんの話だい!)。


2人はアクションに説得力があるだけでなく、演技も繊細だ。


クリスチャン・ベイルなんて、前半から中盤にかけて大した見せ場もないのに、
異様な存在感を発揮している。
まさに居るだけでインパクトを与える希有な俳優なんだね。


サム・ワーシントンも心の機微を表情豊かに表現している。


そして、個人的に大注目のマイケル・アイアンサイドも、ドンピシャの配役だった。
“『トップガン』では空軍の教官役だったけど、
 その後、地球連邦軍(『スターシップ・トゥルーパーズ』)を経て海軍に入隊したのかな?”
なんてくだらないことを勝手に考えて楽しんでしまった。


マイケル・アイアンサイドは別として、
『ターミネーター』を筆頭に80年代のアクション映画、SF映画に洗礼を受けた者にとって、
『T4』は様々な思い出を蘇らせてくれる作品だった。


その思い出を語りだしたら更なる長文になるので、別の機会に譲るが、


・“サラ・コナーの写真”
・若き日のカイル・リース
・そのカイル・リースとジョン・コナーの出会い
・T-800の登場
・ガンズ&ローゼス
・セリフ


といったアイテムやディテールが、
20年以上の歴史を誇る本シリーズのそれぞれの作品を、
思い出と共にまざまざとプレイバックさせる。


本当に胸いっぱいになった。


胸いっぱいと言えば、
思い出とかではなく、普通にドラマの部分で不覚にも泣いてしまったよ。


アメリカでは人間ドラマが貧弱だという風に言われているようだが、
別に貧弱で良いんだよ。


『ターミネーター』シリーズのテーマは、
“運命”、“心”、“命”“自己犠牲”などなど単純明快だ。


老若男女が理解できるド直球。


深みなんていらねぇーぜ!!


そのバカ正直な、ちょっと前の藤川球児のようなストレート球だからこそ、
こっちが振ったバットに当たった時に、快心の一撃になるのだよ。


大体さ、深みないっていうけど、結構あると思うよ。
ジョン・コナーとカイル・リースの関係とか、熱いよ。


T4


初めて会う父親は自分より年下。
まだまだへなちょこなカイルを本当の戦士として育て、
自分の母を守るために、そして、世界を救うために後にカイルを過去へと送るジョン・コナー。


そして、過去に送られたジョン・コナーの運命も知っている・・・。


一方、カイル・リースは何も知らない・・・


泣けるべぇ・・・


過去の3作品、特に『T1』、『T2』は見ておいた方が良い。
そうすると、ジョン・コナーの複雑な心境がより分かるし、
人間ドラマの部分を様々な角度から見ることが出来る。


まぁ、見ていなくても物語はある程度理解出来るだろうし、
アクションのつるべ打ちを体感するだけでも、十分楽しいと思うけどね。
(でもやっぱりせめて『T1』は見て欲しい)


ド迫力の映像は勿論のこと、
サウンドも素晴らしく、まさに映画館で見るに相応しい1本だった。
映画館の音響システムで“風”を感じながら見て欲しい。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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