2009年06月09日更新

#384 『The Harimaya Bridge はりまや橋』


はりまや橋

『The Harimaya Bridge はりまや橋』

6月13日より新宿バルト9ほか全国にて
配給会社:ティ・ジョイ
(C)Harimaya Bridge,LLP




反日感情丸出しのアフリカ系アメリカ人ダニエルは、
日本で死んだ息子ミッキーが描いた絵を回収するために日本の高知に渡る。


暖かく出迎える息子の知人たちに対して、ダニエルは非礼な態度を取り続けるが、
地元の人たちや秘かに結婚していた息子の嫁・紀子との交流、
そして、日本の文化に触れることによって、次第に心を開き始める。


はりまや橋
※リタイヤしたマータフ刑事(?)も出ています


監督は以前、17年前に高知で暮らしていたという新人のアロン・ウルフォークで、
自身の経験が作品に反映されている。


作品の異文化交流の描写から、監督が実際に経験した戸惑いや、
馴染むまでの過程が見て取れるんだけど、
今の時代には合わないよって、ぐらいベタな演出が多い。


ダニエルが態度を軟化させていくまでの演出は、いわば鉄板だ。


“日本では家では靴を脱ぐ”という習慣の使い方とか、
分かり易過ぎる。


登場人物がどのようにダニエルに関わり、作用していくのかも想像出来るし、
オチすらもある程度予測可能だ。


ある意味、教科書通りの作りになっている。


それでも本作を悪く言う気になれないのは、
アロン・ウルフォーク監督が誠意を持って、
本作のテーマに取り組んでいるからのが分かるから。


その誠実さは、見ているこっちが恥ずかしくなってしまうぐらい強烈だ。


日本とアメリカ
人種
親と子


これらの間に存在する誤解や偏見、差別、そして憎しみに対して、
アロン・ウルフォーク監督は、どうやったら橋を架け、相互理解が出来るのか?
を問いかけている。


親にとってはいつまで経っても子供は子供。
逆に子供はいつまで経っても子供ではいられない。


親のエゴと子のエゴのぶつかり合いから生じる軋轢。


このゼネレーションギャップは、
多かれ少なかれどこの親子間でも存在する普遍的な問題だと思う。


そこで己の意地を突っ撥ねるのではなく、
理解しようと思う心が大切。


個人的には紀子が母親と公園で交わす会話にズシンと来るものがあったんだけど、
きっと見る人によって、刺さりどころが違うと思う。


高知のよさこい祭りや桂浜の描写が、観光ビデオみたいになっているのは残念だったけど、
アロン・ウルフォーク監督の在日経験からか、
ちょっと変だよこの日本というシーンもほとんどなかった。


本当にどこを切っても全うな作りで、驚きがないっちゃない作品だなぁーって、
思いながら見ていたら、最後の最後に驚きが待っていた。


はりまや橋。


日本三大がっかり名所の一つに挙げられるというのは後で知ったが、
それも納得のショボさ。


はりまや橋
※“赤い橋”の後は“はりまや橋”の清水美沙も出ています


アロン・ウルフォーク監督もその辺は理解しているようで、
先日行われた舞台挨拶で、
「実際見てみるとがっかりする小さな橋」と述べている。


それでもこの橋を重要なアイテムとして登場させ、
タイトルにまでしたのは、国、人、文化、世代のの架け橋として表現しかったからという。


その思いは作品を見れば十分に伝わってくるし、
はりまや橋のまつわるエピソードもしっくりとはまっている。


いやー、これ程、誠実で正統派な作品を見るのは本当に久しぶりだ。


はりまや橋


そして、なんなんでしょうか、高岡早紀のスクリーンから漂ってくるエロ気(け)は。


いかにもデジタルカメラによるデジタルな映像なので、
鮮明過ぎちゃってちょっと全体的に情緒に欠けるんだけど、
そういうシーンは一切無いのに、高岡早紀のエロ気はバッチリ収めておしました。


すみません。
監督の思いとは程遠いオチで・・・
でも事実なんだもん・・・

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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