2009年06月25日更新

#388 『呪怨 白い老女』/『呪怨 黒い少女』


呪怨白い老女

『呪怨 白い老女』


呪怨 黒い少女

『呪怨 黒い少女』

6月27日より新宿バルト9ほかにて
配給会社:ティ・ジョイ、東映ビデオ
(C)2009東映ビデオ・CELL




『リング』シリーズと並びジャパニーズ・ホラーの代表作である『呪怨』。


後に2作品がハリウッドリメイクされ、
共に全米ナンバー1を獲得するという快挙を成し遂げた本シリーズの起源は、オリジナルビデオ。


これがもう10年も前なんだな。


で、10周年を記念して、装いも新たに『呪怨』が蘇った。


今回、『呪怨』の産みの親である清水崇監督は監修にまわり、
若手監督二人を起用。


『呪怨 白い老女』、『呪怨 黒い少女』というそれぞれ60分程度の中編で、
連作となっているが、それぞれバラバラに見ても、
順番を逆にして見ても問題ない作りになっている。


先ほど装いも新たにと書いたが、『呪怨』といえばの伽椰子
が登場しない点が新しい。


本作の狙いを考えればは正しい選択だが、やはり伽椰子不在の穴は大きい。
白い老女や黒い少女じゃ役不足だ。


でも、伽椰子不在以外の部分では基本『呪怨』のテイストを踏襲している。


が、


もう『呪怨』は十年選手だ。


正直、見飽きた。


踏襲しているが故、
次の展開がある程度読めてしまうので、驚きがないし、怖くもない。


しかも、この2作の恐怖描写は過去のどの『呪怨』よりも劣っている。
まるで怖くない。
ホラー映画で怖くないってのは致命的。


『呪怨 白い老女』の方は、そうは言ってもまだ健闘していた。
司法試験に落ちまくっている男性が、少女を寝室で殺害するシーンとか、
それ程怖くは無いが、残虐性があり不快感を味わえる。


このシーンがあるからこそ、
殺害されてしまう少女の身に危険が迫っていると察知しながらも、
助ける術がなかった親友の思いがより痛切となる。


だけどやっぱり多くの描写に既視感があるんだよね。


もう一本の『呪怨 黒い少女』は、
怖い、怖くない、面白い、面白くない以前に「はっ?」って感じ。


少女に何者かの怨念が宿り、
彼女と関わりを持った人が次々と不可解な死を遂げていくという話なんだが、
その怨念の源がさ・・・


それって仕方なくねぇ?って。


映画と同様の不幸に見舞われてしまった知人が、たまたまいたというのもあるが、
なんともしっくりこなくって・・・


多分、その知人が見たらとてつもなく嫌な気分になると思うんだよね。


こういうどうすることもできない不幸を怨みの根源にするのは、
ちょっとなぁ・・・って。


伽椰子の場合は、勝手に妄想入っちゃって自業自得な部分もあったけど、
“故意に”殺されたわけでして。


殺されたからこそ、伽椰子の怨み節が理解できるし、怖い。
同情出来る部分もある。


監督は安里麻里。
女性だ。


女性なのに・・・
いや、女性だからか?
ようわからん。


あと、両作品ともシリーズを追うごとにハチャメチャ度が増し、
破綻へと突き進んでいった『呪怨』の悪いところも継承してしまっている。


かなり前だけど、「ルールありきのホラー映画」という記事を書いた。


ルールがない、なんでもありのホラー映画はもう要らない。


この思いは今でも変わらない。


新たに『呪怨』を作るのであれば、初心に立ち戻ってルール作って欲しかったな。


続いて、キャスティングなんだが、これは中々絶妙だった。


『呪怨 白い老女』のメインを張るのは南明奈。
彼女の演技はちゃんと見たことがないから、フレッシュだったし違和感なく演じていたと思う。


そういえば、都市伝説だかを取り上げる番組で、


「あるアイドルがファンから送られてきたビデオレターを見たら、
 その撮影場所が自分の部屋で、しかも一人で喋るファンの後ろに、
 ベッドで寝ている自分が映っていた」


という話の再現映像に南明奈が出演していて、中々の演技力だったことを思い出した。


続いての注目人物はみひろでしょう。


劇団ひとりや今や姿を消したタレントとなりつつあるザ・タッチなど、
芸能人にも多くのファンを持つAV女優だ。


元々、その演技力には定評があり、
今年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭のコンペティション部門で、
グランプリを受賞した『SR サイタマノラッパー』(未見)といった一般作品にも出演している。


本作では派手に命を散らす女性を熱演。
AV女優だからなのか、度胸があるよね。
これは今後、女優をやっていくうえで、凄い武器になると思う。


『呪縛 黒い少女』の方は、元モーニング娘。の加護亜依がトップにクレジット。


喫煙報道以降、自殺未遂、難病、不倫報道など、
あまり良いニュースがない加護ちゃん。


起死回生となる迫真の演技を披露!!
とまでには残念ながら至らず。


作品の構成上、主演といえるほどの出番もないので、まぁ、仕方ないかな。


その加護ちゃんを差し置いて、
クレジット4番目にして主役級のインパクトを残しているのが高樹マリアだ。


みひろ同様、AVメーカー、マックス・エーのスター女優だった高樹マリア(*みひろは現役)。
AV時代から女優志向が強かったというのは知っていたんだけど、
それもそのはず、上手いし、説得力がある。


次第にボロボロになる母親役で、幸薄そうな雰囲気が良い。


で、その妹を演じるのが中村ゆり。


高樹マリアと中村ゆりが姉妹だよ。
すげー、姉妹だ。


呪怨 黒い少女


キャスティングのセンス抜群っす!
2人が同じシーンに収まった時はプチ興奮したぞ。


南明奈、みひろ、加護亜依、中村ゆり、高樹マリア。


改めて名前を並べてみると結構凄いなぁ。


可愛い系、綺麗系、エロ系が揃っております。


『呪怨 黒い少女』
中村ゆり インタビュー テキスト

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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