渋谷、新宿、有楽町、羽田空港をはじめ、全国各地の街頭ビジョン等で流れている
シーエスGyaOプレゼンツの映画興行ランキング番組「映画BANZKE」のナレーション収録時の話。
この業界に入った時からお付き合いさせてもらっているディレクター金子さんが、
一冊の文庫本を見せながら聞いてきた。
金子「伊藤ちゃん、この本知ってる?」
本のタイトルは「深海のYrr(イール)」
伊藤「いや、知らないですね」
金子「ドイツで大ベストセラーになった本で、凄い評判らしいから買ってみたんだ」
伊藤「へっー、じゃ、面白いんですか?」
金子「それがさー、半分ぐらい読んだんだけど、全然意味がわかんなくてさ」
伊藤「なんで評判良いんですかね?」
金子「そうでしょ?だから不思議でね、おかしいと思ったらさ、ほらっ」
といって、文庫本にかかっていた帯を取る。
「深海のYrr(イール) 下」
金子「下巻から読んでたんだよね」
伊藤「なんで気が付かないんですか!?」
金子「だって、帯で隠れててわからなかったんだもん」
伊藤「でも買う時に上巻が横にあったでしょう?」
金子「いやー、それがまるで気が付かなかったんだよねぇ・・・。
しかも、上中下巻みたいなんだよね」
伊藤「中もあるんですか!?」
金子「そう。なんで気が付かなかったんだろう・・・」
普通、気が付くだろう!
シリーズものだと知らずに、1作目よりも先に2作目以降を読んでしまったことはある。
例えば、逢坂剛の“百舌シリーズ”。
シリーズものだと知らずにシリーズ第2弾の「百舌の叫ぶ夜」を先に読んでしましい、
一作目の「幻の翼」はその後に読んだ。
これは大失敗だった・・・。
あと、貫井徳郎の「殺人症候群」。
読んでいる途中で、何度か“あれ?”って思ったんだけど、
第1作目として「失踪症候群」があると知ったのは「殺人症候群」のあとがきだった。
おまけにそのあとがきで、「失踪症候群」を先に読むことを強く薦めていた。
先に言ってよ!
こんな感じで、シリーズものを順番通りに読まなかったという経験はあるけど、
上下巻ある本で、下巻から先に読んでしまうというのはないなぁ。
しかも金子さんは、気付かないまま下巻を半分も読んでるし!
普通、その事実を知ったら「やっちゃったぁ!」とか「しまった!」とか思うのに、
ヘラヘラ笑っている。
金子さんは、前からちょいちょいこういう害のないボケをかましてくれる。
そもそも楽天、楽観主義者。
声を荒げているのを見たことがない。
狸な面も多分にあるんだけど、こっちがセカセカ、イライラ、テンパり状態なのに、
いつの間にやら金子さんに癒されているというケースが何回もあった。
不思議な人だ。
自分はどちらかと言えば、気性が激しく、せっかち。
日々不安を抱え、マイナス思考だったりするので、
少し、金子さんを見習わないといけないな。
以上、毒にも薬にもならない話でした。
コメント (1)
この小説、ハリウッドで映画化されるそうで(まぁ、よくある宣伝文句ですが)小説の中で、登場人物たちが、映画の話をする場面が、やたらあります。
投稿者: まやかし | 2010年09月04日 14:08