8/29より シアターN渋谷(レイト)にて 配給会社:キングレコード、iae (C) 2008 Eskwad - Wild Bunch- TCB film |
『ハイテンション』、『屋敷女』など、
このところ残虐度満点のホラーを生み出しているフランスから、
また強烈な作品が届いた。
1970年代初頭。
監禁された末、自力で脱出した少女リシュー。
彼女が収容された擁護施設で献身的な介護をする少女アンナ。
この2人の幼女時代を描いたエピローグ後、
ごく普通の一般家庭の朝食風景が描写される。
そこに成長したリシューが現れ、一家に銃弾を浴びせる。
このいきなりの展開に度肝を抜かれたのも束の間、
今度はリシューが得体の知れない何者かに襲われる。
この先はもう書かない。
実際に見てもらった方が良い。
とにかく先がまるで読めない。
というか、最初は訳がわからない。
訳がわからないまま、猟銃で撃たれて肉片が飛び散ったり、
鋭利な刃物で傷つけられたりといった、
容赦のない、いた〜い、いた〜い残酷描写に付き合わされる。
更にはマリリン・マンソンみたいな得体の知れない人物がいつ現れるか!?
というホラー映画特有の恐怖に怯える。
リシューの行動も、正気を失っており、
何をしでかすかわからない。
何がなんだかわからないんだけど、
その分、何が起きるかわからないという恐怖心がより煽られる。
そんな展開が延々と続く前半から中盤にかけての緊迫感とテンションの高さは異様で、
見ている途中でかなりの疲労を感じた。
そして、なんとなく訳がわかった瞬間に、
本作品はまるでベクトルが違う後半戦へと突き進んでいく。
“えっ?そうくるの?”って。
意外性の連続で、予測不能の展開なわけですが、
ラストにはそんな途中経過の驚きを吹っ飛ばすオチが待ち受けていた。
なんですかこれは!?
鑑賞後、感想を聞かれたが、
ラストの印象が前半を凌駕してしまい
「いや・・・変な映画・・・」と答えてしまった。
某学問の知識がある人にとっては、
決して変じゃないのかもしれないけど、
無知なる者には理解不能でございました。
一方で、リシューを襲った得体の知れない人物の正体を含め、
決して絵空事ではなく、リアリティがある点は見逃せない。
そのリアルさの要因は、描写やテーマとか色々あるけど、
役者さんたちの演技が特に大貢献でしょう。
リシューとアンナを演じたふたりの女優さんは勿論、
マリリン・マンソンを演じた女優も凄い。
凄い、凄いを連発しているけど、本当に凄いよ、この女優さんたち。
精神的にも肉体的にもかなり過酷な撮影だったに違いない。
そんな苦行を俳優たちに強いたのは、新人監督のパスカル・ロジェ。
鮮血が際立つ冷たい映像が美しい。
脚本も手掛けていて、筆と映像の両方にセンスを感じる。
早速ハリウッドに招かれているようだが、
多くのヨーロッパの監督がそうであったように、
作家性を見失わないで欲しい。
単なる残酷さが売りなだけの作品ではない。
暴力描写は半端ないので覚悟して見る必要はあるものの、
今までにない感覚を得られる作品であることは間違いない。
単なるホラー映画から逸脱した、
一筋縄ではいかない作品となっている。
神秘的で何かを超越している凄まじくも変な作品だ。
『マーターズ』
※PRガール 原紗央莉 取材記
※PRガール 原紗央莉 インタビュー テキスト
コメント (1)
まさに「なんですか、これは?」という感想でした。
マリリン・マンソン!!(爆)
あの組織の長?のおばあさんが
彼女から何を聞いて、どうしてあのような行動をとったのか!!
知りたい!!
なぞ・・・です。
というか、もうトラウマです・・・この映画。
投稿者: じぇーん | 2010年08月09日 14:04