『エリック・クラプトン&スティーヴ・ウィンウッド ライヴ・フロム・MSG cine sound ver.』 9/19よりTOHOシネマズ六本木ヒルズにて先行公開 9/26より全国にて 配給会社:ローソンエンターメディア (C)Danny Clinch/ Class Act TM |
前回のジェフ・ベックに続いて、「cine sound ver.」関連作品。
(「cine sound ver.」に関しては、ジェフ・ベックの記事を参照してください)
今回はエリック・クラプトンとスティーヴ・ウィンウッドのジョイント・ライヴ。
ジェフ・ベックよりもクラプトンの方が何かと思い入れが強いので、
とても楽しみにしていた。
1960年代、エリック・クラプトンはヤードバーズ、クリームで、
スティーヴ・ウィンウッドはスペンサー・ディヴィス・グループ、トラフィックで、
それぞれ人気を博していた。
その2人がそれぞれのバンドを解散、脱退して1969年に結成したのがBlind Faith。
ドラマーとしてクラプトンと同じくクリームからジンジャー・ベイカーが参加したこもあり、
スーパーバンドとして大きな話題となった。
6月にデビューライブを行った後、8月にアルバム「Blind Faith」を発表。
米英チャート1位を記録するも、10月にはあっさりと解散してしまう。
活動期間半年以下・・・。
どうして短命に終わったのかは知らないけど、
Blind Faithでは、ミュージシャンとしての理想を実現できないとクラプトンが感じ、
バンドに打ち込めなかったからというのが通説らしい。
そのことをクラプトンは申し訳なく思っていたという。
その後、クラプトンはデレク&ザ・ドミノス等を経てソロとして活動するが、
やがてドラッグ依存症に陥ってしまう。
そんなボロボロなクラプトンを救うべく、
The Whoのピート・タウンゼントの呼びかけで、
ロン・ウッド(フェイセズ)、ジム・キャパルディ(トラフィック)といった仲間が集まり、
1973年にロンドン・レインボウシアターでライヴを行った。
そこにスティーヴ・ウィンウッドも参加している。
この模様は「Rainbow Concert」としてリリースされた。
しかしながら、演奏自体に以前ほどの覇気がなく、あまり評判は良くなった。
その後、クラプトンとスティーヴ・ウィンウッドは、
プライベートでは交流があったものの表立った接点が無いまま月日は流れた。
そして、次に2人が同じステージに立ったのは、
2007年5月に開催されたバークシャーでのカントリーサイド・ロック・フェスティバル。
実に34年ぶりの共演。
因みに伊藤P、今35歳。
歳月の重みを感じます。
続いて、同年7月の第2回クロスロード・ギター・フェスティバルでも共演し、
2008年に発表されたスティーヴの新作アルバム「Nine Lives」にクラプトンがゲストで参加するなど、
30年以上の時を経て、2人は歩み寄り始めた。
きっと何かが氷解したのでしょう。
これは当事者の2人にしか分からない事だ。
で、遂に2008年2月25日、26日、28日にNYのマジソン・スクエア・ガーデンで、
2人のジョイントライヴが実現した。
その模様を収めたのが本作なのですが、
2人の登場シーンもなしで、感傷的になる間もなく、
いきなり“泣きたい気持ち”から始まる。
クラプトンとスティーヴのツイン・ギター。
2人ともストラトだ。
続いて、スティーヴの掠れたハスキーなボーカル。
久しぶりにスティーヴの声を聴いたけど、消え入りそうな部分も含め個性的で良いね。
お次はクラプトンのソロだ。
ヤバイね。
ガツーン!!って感じ。
クラプトンのソロって、聴いていると自然と首が回ってしまう。
流石に上映中にそれをやると他の方々に迷惑がかかるので自粛した。
でも、ふと隣りに座っていた女性を見たら、首をウネウネと動かしていた。
凄いね。
クラプトンのギターソロ。
エンディングはもう2人で好き勝手に弾きまくり。
2曲目は“フォエヴァー・マン”。
クラプトンの張りのある声が、これまたガツーン!!
全身に電流が走る!!
クラプトンが弾きまくっているのを楽しそうに見ているスティーヴ。
たまらんねぇ。
3曲目は、Blind Faithの“プレゼンス・オブ・ザ・ロード”。
ボーカルパートを交互に分け合って歌うんだけど、
憂いのあるクラプトンと乾いたスティーヴの声質の違いが良く分かる。
間奏部分のワウペダルで、もう電流ビリビリっすよ。
その後も、“テル・ザ・トゥルース”、“アフター・ミッドナイト”、
“ランブリング・オン・マイ・マインド”、“我が心のジョージア”と、
珠玉の名曲のオンパレード。
そして、デレク&ザ・ドミノスの“Little Wing”で、遂に涙が出ちまった。
演奏の素晴らしさは「Rainbow Concert」の比じゃない。
切ないオブリガートと哀愁漂うキーボードの音色。
感傷的にならざる負えないボーカルメロディ。
凄まじいばかりのギターソロ。
家で酒の飲みながら“爆音で”鑑賞して号泣してぇ〜!!!!
個人的にはこの曲が、本作最大の山場だったな。
その後、ジミ・ヘンドリックスの“ヴードゥー・チャイル”は、
いくらなんでもちょっと長いし、
ラスト2曲Blind Faithの“マイ・ウェイ・ホーム”と“ディア・マスター・ファンタジー”は、
ちーと暗い。
同じ音源を収録しているCDと同じく、ラストは“コカイン”で締めて欲しかったな。
まぁ、それでも十分堪能出来た。
冒頭、いきなり演奏から始まるし、
大掛かりなクレーンを使っての大仰なカメラワークといったものもない。
昨今のライヴ映像としては随分淡白な演出だが、
巨大な円形ステージだからか、カメラがかなり寄りで撮っていて、
映像自体はかなり生々しく臨場感がある。
ライティングも黄色やオレンジがかっていて、
70年代を彷彿させる。
でも音はクリア。
懐かしさと新しさが融合されたそんな雰囲気。
2人の偉大なるロック・レジェンドが、
長い年月をかけて辿り着いた今回のマジソン・スクエア・ガーデンのステージ。
演奏する側も、それを見る側も、
様々な思いが去来する。
そして、思う。
ロックが好きで、本当に良かったって。
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<余談>
エリック・クラプトンとスティーヴ・ウィンウッドが在籍していたBlind Faithには、
個人的にちょっとした思い出がある。
今から数年前、初めて沖縄に行った時のこと。
T-SHIRT-YA.COMの方々と沖縄料理屋で酒を飲んでいると、
60〜70年代ロックの話がなんとはなしに始まった。
当時まだ20代だったんで、、
その時代のロック談義について来れるというか、
主導権を握って喋りまくっていること自体、不思議がられた。
「若いのに詳しいねぇ〜」って。
同席していた方々もロック好きが多かったし、
元々ロックの話をするのは大好きだったんで、
もう止まらない、止まらない。
2時間以上、イーグルスだ、クラプトンだ、パープルだ、
クリムゾンだ、フロイドだと喋りまくっていた。
すると(これは沖縄の居酒屋で良くある光景なのだが)、
いつの間にやら他のお客さんたちも会話に参加し、
一緒に飲みながら、ツェッペリンだ、グランドファンクだ、
レイナードだ、オールマンだと大騒ぎ。
そして、そのお客さんの中に、泡盛の卸問屋の社長さんがいらっしゃった。
名前は根路銘(ねろめ)さん。
この方もロックが大好きで、
色々と話していくうちにBlind Faithの話題となった。
根路銘さん曰く、
「Blind FaithのCDが沖縄では売られていない」と。
「いやいや、そんなはずはないでしょう!」というも、
どうやら本当に根路銘さんはCDを手に入れることが出来ず困っているご様子。
当時はまだネット販売が当たり前ではなかった時代。
ということで、後日、東京で「Blind Faith」を購入し、
根路銘さんに送ってあげた。
そうしたらお礼として泡盛が3本も届いた。
ラベルの貼っていない瓶だったので、銘柄は不明だったけど、
これがとても美味しくて。
その後、再び沖縄に行った際に、
根路銘さんをお見かけしたのですが、その時は話せずに終わった。
以来、根路銘さんとはお会いしていないし、連絡も取っていない。
今回、このクラプトンの記事を書くにあたり、
久しぶりに思い出したので、膨大な数の名刺の中から根路銘さんの名刺を探してみた。
あった!
流石にメールをするのははばかられるので、
名刺に記載された根路銘さんの会社のホームページにアクセスしてみた。
つながった。
「泡盛倶楽部」
http://www.awamoriya.com/index.jsp
更に会社概要のページを開いてみたら、
代表者名のところに根路銘さんのお名前が!
また、いつか一緒にロック談義をしたいなぁ〜。
そのためには沖縄に行かねば!
なのですが・・・
一体、次回の沖縄訪問はいつになるのやら・・・