2009年10月08日更新

#419 『悪夢のエレベーター』


悪夢のエレベーター

『悪夢のエレベーター』

10/10よりシネセゾン渋谷、シネ・リーブル池袋、新宿ミラノほか全国にて
配給会社:日活
(C)2009「悪夢のエレベーター」製作委員会




エレベーターに閉じ込められた男女4人。


チンピラヤクザ風の中年男、今時の若いサラリーマン、
ジョギングに行くという黄緑色のジャージを着たおっさん、
そして、自殺願望を持ったゴスロリ少女。


密室で繰り広げられる4人のやり取りは、意外な方向へと観客を誘って行く。


エレベーターに閉じ込められた人々の物語という点で、
ジョビジョバのシチュエーション・コメディ『ショコキ!』を思い出すが、
『悪夢のエレベーター』の方が比べものにならないぐらい面白かった。


上映時間105分。


数分の冒頭タイトルが開けて直ぐに、舞台はエレベーター内へ。


4人の会話劇が、フラッシュバックを挟みながら進んで行く。
キャラクターがとても個性豊かだし、そのやり取りも面白いので、
密室劇として楽しめるけど、流石に場面転換が少なくちょっと飽きがきた。


しかしながら、“永遠にこれが続くのかな?ちょっと厳しいなぁー”って、
思い始めたその瞬間、
こちらの心情を察知したかのように、物語は急展開をみせる。


後は今までの疑問を全て回収しながら、新たな道筋を作り出し、
見る者をぐいぐいと惹きつけ、最後まで一気に突っ走っていく。


悪夢のエレベーター


まず、二転三転する物語そのものが面白い。


更に笑える一方で、ビターなテイストもちゃんと入っている点が素晴らしい。
人生を野球のペナントレースに例えるところとか、
ちょっと自分の人生の立ち位置を見つめ直してしまった。


残酷な描写もあるんだけど、なんだか滑稽で笑える。


そして、役者がみんな良い。


特に内野聖陽の演技力に脱帽。
凄いや。


エレベーターに閉じ込められる残り3人を演じた斎藤工、モト冬樹、
佐津川愛美もバッチリはまっている。


悪夢のエレベーター


この4人以外にも登場人物がいる。
ここではあえて書かないいけど、2人の女優が見事な演技を披露している。


もう一人重要キャラが出てくるんだけど、最高にキモくて素敵。


監督は堀部圭亮。


練られたストーリーだけで楽しませてくれるだけでなく、
人間の滑稽さや悲しみ、孤独感などを巧みに散りばめ、
作品全体に奥行を作り出すことに成功している。


俳優、構成作家(「ガキの使いやあらへんで!!」)として既に地位を築いているけど、
この初監督作品で、フィルムメーカーとしても才能があることを証明した。


見た感じかなり低予算で作られていると思われる。
金をかけなくても面白いエンターテイメント作品は作れる。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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