11/6よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて 配給会社:ギャガ (C)2009 Curse Productions,LLC |
おすぎさんに呪われたくないから見た(嘘)『スペル』は、
これぞサム・ライミだった。
(「見なきゃバカ!」以来の強烈なスポットCMだった)
老婆が懇願する不動産ローンの延長を断った女性銀行員クリスティンは、
老婆の逆怨みから呪いをかけら、恐怖の3日間を過ごすことになってしまう・・・。
「スパイダーマン」シリーズも大好きだけど、やっぱりこれだよ、これ!
もったいぶった妙な間にワクワクさせられ、
“来るぞ!”ってところでセオリー通りに“バン!”と来る。
今どき珍しいぐらいオーソドックスなコケ脅しが連発。
そして、やり過ぎて滑稽極まりないショック描写。
入れ歯や鼻血で思わず吹き出し、
納屋でのクリスティン対老婆に至っては大・大・大爆笑だった。
グロくて、汚くて、おぞましいけど何故か愛らしい。
しかも昔懐かしのオカルト色まで入っている。
このところ技術の進歩によって、
ホラーに限らず、多くの映画で殺戮シーンをリアルに描写することが可能になった。
しかし、サム・ライミはゲットバック!
CGも使ってはいるが、仕掛けの多くは昔ながらのもの。
久しぶりに見たこのどこか抜けたサム・ライミのセンスがメチャクチャ心地良かった。
心地良いなんて書くと、
“なんだ、ホラー映画なのにまるで怖くないのか?”と思われるかもしれない。
でもクリスティンが理不尽な逆恨みで恐怖のどん底に落とされる過程は、
なかなかスリリングだ。
ショック描写は有り得なさ過ぎて、一歩引いて笑いながら見ることが出来るけど、
クリスティンと老婆の冒頭のやり取りはリアルだ。
世の中にはクレーマーとかモンスターペアレンツとかいるから、
比較的身近に感じることが出来る恐怖だと思う。
そんなハチャメチャな怖さとリアルな怖さを体験するクリスティンを演じるのは、
アリソン・ローマン。
『ホワイト・オランダー』('02)で来日した時にインタビューした。
共演のミシェル・ファイファー、レニー・ゼルウィガーよりも良かったよって伝えたら、
「Really!!!!!???」って腰浮かせるぐらい喜んでいたっけ。
まだ、あの頃はあどけなさも残っていたのに、もう30なのね・・・。
その頃から演技上手いなぁーと思っていたんだけど、
今回も安定感と説得力のある演技を披露している。
対する恐怖の元凶である老婆ガーナッシュ夫人役はローナ・レイヴァー。
テレビドラマの出演が多く、初めて演技をみたけど、まさに怪演。
普通にオーディションを受けての出演だったそうで。
もうひとり注目のキャストは、霊媒師を演じたアドリアナ・バラッザ。
『バベル』での不法移民の女性役が印象に残る女優さんなんだけど、
今までの役柄とはまるで違う表情を見せているのが興味深い。
滑稽で、奇妙で、ヘンテコ。
怖くて、おかしくて、大いに笑える。
とてつもなく不条理で、無慈悲な映画なんだけど、
鑑賞後は何故か清々しい。
こんな気分になれる作品は滅多にないですよ。
ということで、
見ないと呪ってやる!!!
※おすぎさんのCMも面白かったけど、
この映像もなかなか面白い。
※「スペル」=呪文、呪縛にかかった状態