11/14よりシネマライズほか全国にて 配給会社:アスミック・エース エンタテインメント (C) 2008 KIMMEL DISTRIBUTION, LLC All Rights Reserved |
ニューヨークに住む劇作家ケイデン・コタード。
体調も優れなけば、夫婦中も上手くいかない。
演出した舞台は家族にけなされる。
遂には嫁と娘は家を出ていき、新たに恋人を作ろうとするも逃げられる。
失敗だらけで、人生のどん底に陥っていたケイデンだったが、
マッカーサー・フェロー賞を受賞。
思わなぬ大金と名誉を手にしたケイデンは、
一世一代の大プロジェクトを実行する。
それは自分の人生をやり直すことを意味していた。
『マルコヴィッチの穴』、『エターナル・サンシャイン』の脚本家チャーリー・カウフマンの初監督作品。
今までの脚本作品を見るに、本作も一筋縄ではいかないだろうと予測はしていたが、
思った以上に手強い作品だった。
正直言って、良く理解出来ませんでした。
ちょっと不条理で、もの事がスムーズに進まない摩訶不思議な世界観で、
フェデリコ・フェリーニの作品を見ているかのようだった。
時間を持て余していた学生の頃は、フェリーニとか背伸びして見てたけど、
今は単純明解な作品ばかり好んで見ているから、脳みそ腐ってきたかな・・・。
しかも悔しいのが、なんとなーく分かりそうなんだけど、
やっぱり分からないというほどほどの難解さなんだよね。
で、難解ではあるが、ちゃんとストーリーもあって、
こちらの予想をことごとく裏切ってくれる展開なので、決して退屈することはない。
そして、ところどころに自分の人生について考えさせられるエピソードやセリフがある。
これが結構、突き刺さる。
“自分はちっぽけな人間だけど、みんなそれぞれが人生の主役”
とても勇気をもらえるコメントだ。
“君を失望させたね”
“まさか、あなたは誇りよ”
恋人がいる人や既婚者の方々には、響くであろう一言だ。
“人生は細かい枝葉の積み重ね。その選択が正しいかどうかは数年後に分かる”
自分の人生が本当に幸せだったかどうかは、死期になって分かると思っているので、
大いに共感した。
“もうキミは僕の一部だ。呼吸と一緒”
“空気みたいな存在で、ときめかない”というモロ倦怠期な表現があったりしますが、
それと違って、このセリフはとても深い愛情がこもっていると思う。
これはケイデンがサマンサ・モートン演じるヘイゼルに発した一言なんだけど、
この2人の関係がとても良かった。
ケイデンとヘイゼルはくっ付きそうでくっ付かず、
お互いが必要であると認め合った時、
既に2人とも老いていて性的な行為にも至らない。
でも精神的な部分で繋がっている。
あの年齢でそういう人がいるだけでも素晴らしい。
こんな感じで、難解でありながらも、
心にたくさんのお土産をくれる作品だ。
それから、本作はキャストが魅力的だ。
ケイデンを演じるのはフィリップ・シーモア・ホフマン。
彼の上手さは今更説明する必要もないでしょう。
そして、ケイデンを取り巻く女性たちを演じた女優陣が凄い。
先述のサマンサ・モートンを筆頭に、
キャスリーン・キーナー、エミリー・ワトソン、ダイアン・ウィースト、
ミシェル・ウィリアムズ、ジェニファー・ジェイソン・リー、ホープ・デイビス。
地味に豪華だ。
演技だと感じさせない実力派俳優たちの演技が堪能しつつ、
あんまり深く考えないで、
天才チャーリー・カウフマンが提示する奇抜な世界に身を委ねる。
そんな感じの作品でございました。
コメント (2)
伊藤P様、はじめまして、是蘭と申します。
「脳内ニューヨーク」、かなりビミョーな気持ちになりつつも、
がんばって最後まで見て、レビューをしたためました。
大変いい映画なるも、見る方の体力・気力も問われる映画かと。
「原初のキス」: http://zelan.exblog.jp/ (11/23記事)
投稿者: 是蘭 | 2009年11月23日 00:09
>是蘭さん
今更ですがコメントありがとうございました。
忙しさにかまけてコメント返し、サボっておりました。
「原初のキス」を読むにコラージュ作家さんなのですね。
美術は疎く大した知識はありませんが、ダリとか好きです。
(ダリがコラージュなのかどうかもようわからんのですが・・・)
プログレッシブ・ロックのアルバム・ジャケットも大好きです。
(コラージュと関係ない?)
『脳内ニューヨーク』は確かにコメディぽく見えますし、
見たら見たで体力のいる作品ですね。
特に後半。
「ハリウッド映画と真逆」
言い得て妙ですね。
また映画を見たら感想を書いて下さいねぇ〜。
投稿者: 伊藤P | 2009年12月03日 13:11