12/5より全国にて 配給会社:ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン (C)WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS.ALL RIGHTS RESERVED. |
78歳のカールじいさんは、妻に先立たれた男やもめ。
最愛の妻と長年暮らした家の周りには、都市開発の波が押し寄せていた。
ある日、ちょっとしたいざこざから、立ち退きを命じられたカールじいさんは、
思い出一杯の家に大量の風船を付けて空へと飛び立つ。
目指すは、かつて妻と一緒に行くことを夢見た“伝説の場所=パラダイスの滝”だった。
ピクサーの新作。
今まで、人形、昆虫、モンスター、魚、超人、車、ネズミ、ロボットと、
人間以外のキャラクターが主人公だったが、
遂にピクサーの長編アニメーションで初となる人間が主人公。
人間が主人公になったからといって、いつものユニークな世界は健在だし、
頑固で意固地なカールじいさんの冒険譚は、それなりに面白い。
しかしながら、人間を主人公にした故に、斬新が薄れてしまったのもまた確か。
いくら空や秘境を舞台にしても、やはり人間の目線であることに変わりはない。
人間以外の生き物や物体(という表現は正しくないか?)といったピクサーらしい驚きの視点が、
本作にはいささか欠けてしまっている。
あと、家が不時着してから滝を目指すまでの過程は、
カール爺さんが機敏に動けないからか、スピード感に欠け、やや単調に感じてしまった。
でも、人間を主人公にした時点で、
ピクサー側も今までと違うということは百も承知だろうし、
内容的に若年層よりも年配層にターゲットをシフトしているから、
テンポ的にもこれぐらいが丁度良いのかもしれない。
真ん中がスローだった分、クライマックスでカールじいさんがヒートするしね。
普段は杖がないと歩けないカールじいさんが、
火事場の馬鹿力を発揮して大立ち回りをする姿は、笑えるし、素敵だ。
多くの人が褒めている冒頭10分間の、極めて映画的なモンタージュも秀逸だった。
過去を大切にしつつも、新たな一歩を踏み出す勇気を持つことの大切さを伝える、
“喪失と旅立ち”のテーマもアッサリ気味で心地よい。
がっ!
しかーし!!!
どうしても許せない描写があった。
パラダイスの滝で、カールじいさんは窮地に立たされる。
その時、家の家財道具をバンバンと家から放り出す。
あまり人間の手が入っていない大自然の地に、
廃棄物をぶちまけるな!!!
ディズニー/ピクサーらしからぬこの描写には、
ちょっとビックリした。
そして、ラスト。
ネタバレになるから書けないけど、
その場所に“それ”を置いていったら、いかんだろう・・・。
■「シーエスGyaO 最新映画ナビ」 『カールじいさんの空飛ぶ家』特集