1/23より全国にて 配給会社:ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン (C)Touchstone Pictures, Inc. All Rights Reserved. |
近未来。サロゲート(代行人の意)と呼ばれるロボットが開発され、
人間は安全な自宅からの遠隔操作で、全ての社会生活をサロゲートに代行させていた。
サロゲートは、自分の好みの容姿を選べ、
その能力もカスタマイズ出来る完全オーダーメイド。
日常生活において何がしかの危害が加えられても、
傷つくのはサロゲートだけ。
苦痛も犯罪もストレスもないユートピアを人類は手に入れたかと思われたが、
あってならない殺人事件が発生する。
サロゲートが破壊されただけではなく、
本来は無傷のはずの使用者本人までもが死亡したのだ。
FBI捜査官グリアーは事件の真相を追うが、
背後にはサロゲート・システムに秘められた巨大な陰謀が隠されていた・・・。
2000年以降の作品の割には、さほどスケール感を感じられない作品だけど、
ちょっと前まではこのクラスの洋画がたくさんあった。
それらの作品に慣れ親しんで来た者としては、
ちょっと懐かしさを感じてしまった。
“大作!”という期待と構えがなく、気楽に見られるのも利点だ。
人類の98%がサロゲートを使用している世の中。
先進国でさえいつの時代だって貧困層を抱えているんだから、
この数字にあまり現実味はない。
家から一歩も出来ず、全てが疑似体験の生活にもあまり魅力を感じない。
人間それでいいのか?
家から出ないから安全というサロゲートの売り文句も、
そんなことはないだろうって。
こんな具合に入口の時点でリアリティがないんだけど、
あくまで本作はSFなので、こういう設定なんだって割り切って、
その世界観に身を委ねるのが賢明でしょう。
で、細かいことを気にしないで見た甲斐があってか、
かなり楽しむことが出来た。
事件を追うFBI捜査官グリアーを演じるのはブルース・ウィリス。
グリアーは敏腕捜査官だが様々な問題を抱えている。
この手の役柄は、ブルース・ウィリスの得意とするところで新鮮味はないんだけど、
こなれている分、安心して見ていられる。
そして、何よりもグリアーのサロゲートを演じている時のブルース・ウィリスの容姿が、
素敵過ぎる。
豊かな頭髪と張りがあって艶やかなお肌。
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』の
テカテカ・メイクで若返ったブラッド・ピット以上のインパクト。
一方、生身のグリアーは年齢相応の皺だらけで、ハゲチャビン。
このいつものブルース・ウィリスとの対比が、
その演じ分けも含め本作の見所でもある。
共演はラダ・ミッチェル、ロザムンド・パイク、ジェームズ・クロムウェルで、
派手さはないものの、安定感ある演技を披露している。
個人的には、ラダ・ミッチェルがCGを多分に使いながらではあるが、
久しぶりにアクションをこなしている点が良かった。
個性的な俳優を配して繰り広げられる物語は、単純でも複雑でもない丁度良い感じ。
最大の危機を乗り切るくだりは、ヒネリがなく、ちょっと不満が残るものの、
人間ドラマ、ミステリー、アクションのバランスがよい。
そんな本作を手堅くまとめたのはジョナサン・モストゥ監督。
長編デビュー作『ブレーキ・ダウン』('97)を劇場で見て以来、
『U-571』('00)、『ターミネーター3』('03)と追いかけて来たけど、
大外れがないので、新作ごとに期待をする監督の一人だ。
ジョナサン・モストゥ監督の真骨頂は、アクションの演出。
特にカーチェイスシーンを撮るのが上手い。
『ブレーキ・ダウン』は全編カーチェイスだらけだし、
作品の出来を疑問視する声が多い『ターミネーター3』だって、
タンクローリーが激しく横転するカーアクションは素晴らしい。
『サロゲート』でも、それ程長くないけど、
車を使ったアクションシーンが用意されている。
上映時間1時間29分。
SF、アクション、人間ドラマ、ミステリーといろんなジャンルが、
コンパクトに収まっているけど、それなりに満足出来る1本だった。