2010年01月21日更新

『おとうと』加瀬亮 取材記

映画宣伝マンを辞めて、映画を紹介する側になって今年で早10年目。


最初は大物と呼ばれるような俳優さんや監督に取材することすら出来なかったけど、
地道にやって来た甲斐あって、最近こそインタビューの数は減ったが、
名の知れた方々に取材できるようになった。


でもって、インタビューの仕事を始めて8年ぐらい。
これだけやっていると何度目かの取材という方々もチラホラと。


2010年一発目の取材となった『おとうと』の加瀬亮さんも以前、
『硫黄島からの手紙』('06)、『めがね』('07)で取材させて頂いている。


otouto2.jpg


既に2回もインタビューしているので、
加瀬さんの人に接する際の物腰やしゃべる分量は、なんとなく分かる。


初めてインタビューする場合、
どうしても「どんな人だろう、しゃべってくれるかな」という不安が付きまとってしまうから、
インタビューの様子が想定できるのは、大きなメリット。


『おとうと』が素晴らしい映画だったというのもあり、
精神的にかなり楽な状態で取材部屋へと向かうことが出来た。


今回は動画もありで、カメラをセッティング後、
加瀬さん登場。


なんと五分刈り。


北野武監督最新作『アウトレイジ』の撮影のためかな?


取材部屋には『おとうと』のポスターが置いてあり、
フサフサ髪の加瀬さんのビジュアルを見ていたからか、
ちょっと面食らった。


加瀬さんは取材部屋にいるスタッフ一人一人を目視しながら、
「よろしくお願いします」と挨拶。


そして、伊藤Pと目線が合った瞬間、
「アレ?」という顔をした。


多分、「どっかで見たことのある顔だなぁ〜」って思ったんでしょう。


案の定、「以前、お会いしたことありますよね?」と尋ねて来た。


別に顔を覚えてもらったからといってどうなるもんでもないけど、
やっぱり俳優さんに認知してもらえるのは、素直に嬉しい。


前々回の『硫黄島からの手紙』の時、
クリント・イーストウッド監督との仕事について聞いた。


イーストウッドといえば、
『ダーティハリー』、『ダーティファイター』、『アウトロー』とかを
「日曜洋画劇場」等で見てきた世代で、物心ついた頃から既にスターだ。


加瀬さんと伊藤Pは1974年生まれで同世代なので、
見てきた映画や影響を受けた映画、そしてその環境にそれほどズレはないだろう。


自分は子供の頃から既に活躍していた俳優や監督にインタビューする時は、
様々な思いが去来する。


まさか子供の頃、追々インタビューするなんて思っていないわけだからね。


きっと加瀬さんも同じ様な感覚なんじゃないかと。


そうしたら案の定、不思議な気分だったと言う。
「あぁー、イーストウッドがいる・・・。なんで俺、一緒にいるんだろう」って。


今回も我々が生まれる前から大スターであった吉永小百合さんや、
大物監督であった山田洋次監督との仕事だ。


おとうと


イーストウッドの時と同じ様な体験だったのでは?


聞くとやはり最初はそう思っていたようだが、
逆に吉永小百合さんの方が緊張しないように気を遣ってくれ、
山田洋次監督はまるで子供のように喜々として映画作りに没頭していて、
あまり「大先輩」という雰囲気を感じさせなかったと言う。


この辺が長年この世界で生きた来た人たちの懐の深さなのでしょう。


加瀬さんは自分も追々、こういう映画人に成りたいと言っていた。


そして、加瀬さんはイーストウッドや山田洋次監督だけでなく、
今まで数多くの監督たちと仕事をしている。


石井聰亙、石井克人、橋口亮輔、行定勲、黒沢清、滝田洋二郎、
五十嵐匠、熊切和嘉、大林宣彦、庵野秀明、李相日、是枝裕和、
塚本晋也、森崎東、井筒和幸、SABU、矢崎仁司、周防正行、
荻上直子、本木克英、犬童一心、中島哲也、押井守、三木聡などなど・・・。


現在活躍している日本の監督のほぼ全員と仕事しているんじゃないの?
他にはミシェル・ゴンドリーの作品にも出演している。


果たして、何故これ程までに引き手数多なのか?


良く聞かれる質問らしく、「またか〜」という感じを匂わせたが、
嫌な顔一つせず答えてくれた。


正直、自分では良く分からない。
俳優さんはキラキラ輝いているけど、
自分は普通だからたまたま居場所があったと解釈するようにしていると。


この謙虚さが良いよね。


加瀬さんの出演作を全部見ているわけではないけど、どんな役にも染まれる。
たまに「こんな役やるんだ!」という意外性もあって、それを難なくこなせるから、
多くの監督からオファーがあるのだと思いますと自論を解くと、
「ありがとうございます!」と照れながら答えていた。


あと、『おとうと』は山田洋次監督が、
面倒くさい関係だけど、そこに強い絆がある“家族”や、
人間の最期のあり方などを問いかけた作品で、
その部分に大きな影響を受けたと言っていた。


取材は淡々としながらも、加瀬さんのキャラも手伝って、
スムーズに進み、滞りなく終了となりました。


加瀬さんは今後も引き続き様々な作品に出演するでしょう。
また取材できると良いなぁ〜。


■『おとうと』
加瀬亮 インタビュー テキスト
加瀬亮


おとうと
『おとうと』

1/30より全国にて
配給会社:松竹
(C)2010「おとうと」製作委員会

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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