2010年01月22日更新

コメント・デビュー

映画の仕事に従事して13年。


いつかは実現したいと思う夢があった。
その欲望に近い夢が叶った。


昨年、ファントム・フィルムのT女史からメールが届いた。
「よろしければ『ボーイズ・オン・ザ・ラン』の宣伝用コメントを下さい」


来た!遂に来た!
映画へのコメント依頼!


よく金曜日の夕刊に掲載されている映画の広告やチラシに、
著名人がコメントを寄せているのを読んだことがあるでしょう。
アレです。アレ。


最近は、新聞などの広告やチラシだけでなく、
作品の公式ホームページとかにも掲載されており、
今回も様々な用途で使用されるとのこと。


どんな形で掲載されても構わないから、
一度はコメントってのを書いてみたかったんで、二つ返事で引き受けた。


このコメントには宣伝時代幾つかの思い出がある。


勿論、当時は書く側ではなく、依頼する側。


ジョニー・デップが初監督を務めた『ブレイブ』の宣伝をしていた時、
配給元のギャガの人からコメントを貰いたい著名人リストを渡された。


その中に当時メキメキと頭角を現して来た及川光博の名前があり、
「ミッチー、大学の部活の先輩です」の一言で、
及川先輩からコメントを取る担当に指名された。


著名人からコメントを貰ったことなどなくちょっと不安だったけど、
他のスタッフは、デヴィッド・ボウイからのコメント取りを指示されていたので、
その無茶振りに比べたらまだ現実味があると思った。


早速、及川先輩の事務所に連絡してみると、
映画を見て本人が気に入ればとの返答が。


そして、後日、及川先輩から素敵なコメントが届いた。


恐らくこの出来事が、いつか自分もコメントを書いてみたいという執着を
芽生えさするきっかけになったんだと思う。


あと、これは自分の身に起きた出来事ではないんだけど、
某社配給某作品で高倉健さんからコメントを頂くことになった。
作品を気に入った健さんは快くコメントを寄せてくれた。


しかし、ある日、会社に高倉健さんご本人から怒りの電話がかかって来た。


新聞に掲載された健さんのコメントが一部カットされており、
それに異を唱える抗議の電話だった。


新聞掲載に際して文字数がオーバーしていたため、
やむなくカットとなったが、健さんに対して一言無かったのが不味かった。


健さんは時間をかけ、熟考に熟考を重ねコメントを書き上げた。
健さんの思いが詰まった一文だ。
それを無断でカットしたんだから、怒られて当たり前だ。


この健さんのどんな仕事にも手を抜かない姿勢に、
とても感動したことを覚えている。


やっぱり健さんはかっこいい。


そんな訳で自分も機会を与えられたら、
高倉健さんと同じ様に誠心誠意を持って書こうと思っていた。


そして、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』だ。




ボーイズ・オン・ザ・ラン


『ボーイズ・オン・ザ・ラン』
1/30よりテアトル新宿、シネセゾン渋谷ほか全国にて
配給会社:ファントム・フィルム
(C)2010花沢健吾/「ボーイズ・オン・ザ・ラン」製作委員会




及川先輩や高倉健さんみたいな影響力のある人間じゃないし、
自分の身分もわきまえているつもりだ。


でもお願いされたからにはキチンと書かなければならないと心に決めてみたものの、
そんな気負いも虚しく文才がないからか、
なかなかコレだというコメントが思い浮かばない。


通勤電車や布団の中であーだこーだ考え、
無理くり書くも文字数制限を遥かに越えてしまう。


普段、こうして何の制限もなくダラダラと書いているから、
短くまとめて伝えるセンスがまるで培われてないんだな。


そして、ある日、映画の主人公である田西の生き様を考えていたら、
THE BLUE HEARTSの「TRAIN-TRAIN」が頭に鳴り響いた。


「TRAIN-TRAIN」の歌詞と田西の疾走感は、重なるところが多いと感じた。


こ、これだ。


しかしながら、そのまんま流用したら怒られちゃうし、
ジャスラックからお金を請求されちゃうから、
“インスパイアを受けました!”てな感じのニュアンスにしてみた。


でもこれって盗作になるのかな?
オマージュってことで堪忍!!!!


『ボーイズ・オン・ザ・ラン』公式HP
  「驚愕。絶賛。罵倒。のコメント」
  伊藤Pのコメントは「2」に掲載


いやー、何にしても限られた文字数でコメントを書くことの難しいさを痛感しましたね。

そして、初のコメントが『ボーイズ・オン・ザ・ラン』で良かった。
好きな作品なんでね。


今回、伊藤Pの他にも多くの方々がコメントを寄せていおり、
その中の一人として名を連ねることが出来て光栄に思いつつ、
なんかこんな自分と同列ですんませんとちーと恐縮。


まさか渋谷陽一さんのコメントと一緒に並ぶとは・・・。


自分の書いたコメントがどれ程の力があるのか分かりませんが、
(多分、超微力でしょう・・・)
また機会があったら、是非書いてみたいな。


【追記 1月27日】
昨日、配給元のファントム・フィルムから全員のコメントが掲載されたフライヤーが届いた。
きっと劇場やお店などに設置されるのでしょう。
見かけたら是非手に取ってみて下さい。


フライヤー


フライヤー

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.t-shirt-ya.com/blog/cgi/mt-tb.cgi/1584

コメント (1)

うぇーい!(^o^)/

伊藤Pさま、やりましたな〜!
オマージュやなくて、完全オリジナルに見えましたで。

この映画観たい!

峯田さみが出てるのもステキやけど、もともと原作大好きだったので、映画での田西がどんなのか、楽しみですわ(^o^)


次回のコメントも期待してます!

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)




リンク

プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
Powered by
Movable Type