2/19 通常版 セル【\3,990(税込)】 & レンタル 販売元:アミューズソフトエンタテインメント (C)2009「TAJOMARU」製作委員会 |
乱世の時代、室町末期。
名家の次男の直光が、欲望のために兄や親友、愛した女から裏切られた後、
稀代の盗賊・多襄丸となり再び立ち上がる姿を描いた時代劇。
原作は黒澤明監督の『羅生門』の原作にもなった芥川龍之介の「藪の中」だが、
全くの別物と考えた方が良いだろう。
殺人事件に関する関係者の証言が食い違い、果たして犯人は誰か?
という原作にあったミステリーはない。
でもこの映画を見た、あるいは見たいと思う人の多くは、
原作がどうのとかはあまり重要ではないのかもしれない。
ポイントは今を時めく小栗旬主演の時代劇な訳ですが、
綾瀬はるか主演の『ICHI』がそうであったように、
若い人気俳優をこのジャンルの主役に担ぎ上げた場合、
誰に向けての映画なのかが曖昧になるように思う。
時代劇を見たがる若者はそんなに多くはないし、
逆に時代劇を見る層が、人気の若手俳優になびくとも思えない。
しかもタイトルは横文字っすよ。
結果、昨年の秋に公開された『TAJOMARU』は、
興行的に失敗した『ICHI』と同じ末路を辿ってしまった。
まぁ、難しいやねぇ。
あと、やっぱり一番大切なのは面白いかどうかなんだけど、
『TAJOMARU』は決してつまらない作品ではないと思う。
しかしながら、メチャクチャ面白いかと言われると、
そうとも言えず・・・。
直光と許嫁である阿古姫が旅に出るまでは良いんだけど、
そこからちょっと演出が単調になる。
ひとつひとつのブロックを丁寧に描いているのは良いんだけど、
それぞれがちょっと長くって、全体的にノッペリしてしまっている。
勿論、直光と阿古姫が盗賊・多襄丸と遭遇するところとか、
じっくり描いて良いシーンもあるんだけど、
全部に時間割いちゃっているんで、テンポが悪い。
多襄丸を殺害した後、多襄丸の名を告いだ直光が、
やべきょうすけ演じる盗賊一味と行動を共にする辺りとか、
もっとサクサクしちゃって良いんじゃないかなぁ〜って。
そうすると、その後にある長いシーケンスも映えると思う。
でも、小栗旬は、ほぼ出ずっぱりなので、
ファンにとってはかえってその方が良いのかもね。
とはいうものの、別に小栗旬の熱烈なファンでもないんで、
マッタリと見てしまったんだが、
田中圭演じる桜丸と多襄丸の一騎打ちはとても見応えがあった。
このクライマックスに大分救われたように思う。
あとは初代・多襄丸を演じた松方弘樹の怪演が面白かった。
大ベテランがこういう変態チックな役柄を喜々として演じている姿を見ると、
見ているこちらもウキウキしてしまう。
足利善政役の萩原健一も存在感があった。
流石に2時間13分は長いんで、もう少し丸めて2時間以内に収めれば、
もっと見易い映画になるような気がするんだけど、
『ICHI』よりは数段良かったです。
『ICHI』と言えば、今年は香取慎吾で『座頭市 THE LAST』がある。
香取慎吾は老若男女を問わず知名度はバッチリ。
きっと話題になるでしょう。
いち映画ファンとして、
監督が阪本順治なんで期待している。