2/19よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて 配給会社:東宝東和 (C)2009Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED. |
サンタバーバラでベーカリーを経営するジェーンは、
10年前に別れた夫との間に3人の子供を設けたシングルマザー。
子供たちは成長し、ベーカリーも成功を収め、
ジェーンはシングルライフを謳歌していたが、一方で独り身である寂しさも感じていた。
ある日、ジェーンはたまたまホテルのバーで出会った元夫のジェイクと酒を飲み、
酔った勢いで一夜を共にしてしまう。
再婚相手との生活に苦痛を感じていたジェイクは、その後もジェーンに復縁を迫ってくる。
しかし、ジェーンは建築家のアダムに好意を抱き始めていた・・・。
『恋愛適齢期』、『ホリデイ』のナンシー・マイヤーズ監督が、
メリル・ストリープ、スティーブ・マーティン、アレック・ボールドウィン
といったベテラン俳優と組んで描いたハートフルなラブ・コメディ。
かつてラブコメと言えば、10代〜30代の話が定番だったが、
最近は40〜50オーバーものが多くなってきた。
幾つになっても若々しく、恋焦がれる。
そんな今の時代を象徴しているようだ。
本作もキャストを見れば一目瞭然。
大御所俳優たちが、熟練した演技を披露する大人のラブ・ストーリーになっている。
子供の頃から知っているスターたちが、脇ではなくド真ん中に立っている。
そだけでも嬉しくなる。
(かつてジャック・ライアンを演じたアレック・ボールドウィンの巨大化は、
複雑な心境だったけど・・・)
丁度、この作品を見た時に、今更だが桐野夏生の「魂萌え!」を読んでいた。
両作ともそろそろ60歳を迎えるシングルの女性が、
今後どう生きて行くのかを描いており、
タイプは違うもののかなり重なり合う部分があった。
「魂萌え!」が参考になったからか、
男だし、まだ35歳だけど、ジェーンの歳相応の心情はなんとなく理解出来た。
老後をどう過ごすのかは、独り身にとって重要な課題だ。
母親として、女として、どういう身の振り方をするのか?
『恋するベーカリー』はそんなシビアなテーマを織り込みつつ、
カラッとしたユーモアで全体を包み、大いに笑える作品になっている。
ジェーンと建築家のアダムが、ハッパを吸ってラリってしまったり、
アダムの滑稽過ぎる程滑稽な行動にバカウケしてしまった。
分別あるはずの大の大人たちが、
羽目を外して10代か20代前半レベルの立ち振る舞いをする姿は、
微笑ましくもあるだけど、
そんな大人たちを冷静な目で見る子供たちとの対比も絶妙だ。
特にジェーンの長女の婚約者が良い味を出していて、
美味しいところをかっさらっている。
美味しいといえば、劇中ジェーンが作る数々の料理も美味しそう。
アダムはジェーンの料理じゃないと太るとボヤくが、
ジェーンの料理でも太るに違いない。
そして、ハンス・ジマーの軽快な音楽も心地よい。
こんな音楽を聴きながら、ジェーンの手料理食べたいなぁ。
てな感じで、見ても決してお腹は満たされないけど、
心はタップリと満たされ、上映中も終了後も幸せな気持ちになれる作品。
でも男としてはジェイクの“その後”が気になりました・・・。