2/13より新宿バルト9ほか全国にて 配給会社:ヴィレッヂ、ティ・ジョイ (C)2010 ヴィレッヂ 劇団☆新感線 |
記憶を無くし蜉蝣峠に佇む男・闇太郎が、
元旅役者の銀之介に誘われて行き着いた先は、荒廃しきった宿場町。
極道たちの激しい勢力争いが繰り広げられるこの町で、
闇太郎は己の過去と向き合うことになる。
そして、闇太郎の秘密が暴かれた時、
宿場町に集った人々の運命も大きく動き出すのであった。
劇団☆新感線が贈る「ゲキ×シネ」シリーズ最新作。
(「ゲキ×シネ」とは?)
『メタルマクベス』に続き、宮藤官九郎が参加。
前回はシェイクスピアの「マクベス」を脚色したが、
本作は完全オリジナルの書き下ろしだ。
前作の『ゲキ×シネ 新感線☆RX「五右衛門ロック」』が明快な娯楽活劇だったのに対して、
本作は悲壮感漂うダークな作品に仕上がっている。
どっちが好きかと言えば、断然『五右衛門ロック』で、
『蜉蝣峠』を見る前は、『五右衛門ロック』みたいな内容を期待していた。
だから、あまり動きのない第一幕にはちょっぴり辛抱を強いられた。
ところが第二幕から物語、そして役者たちが躍動し始め、
一気に引き込まれてしまった。
そして、悲哀に満ちたいかにも日本ぽい切ないラストにグッときた。
結局、前半の我慢も後半のために布石を打っていたんだと納得し、
終わり良ければ全て良しと大満足。
いやはや、「ゲキ×シネ」は本作と『五右衛門ロック』しか見ていないので、
大したことは言えないけど、
この2本だけでも劇団☆新感線の懐の深さが判るてぐらい奥深いね。
深いと言えば出演者たちも然り。
『五右衛門ロック』もそうだったけど、
役者さんたちの舞台ならではの立ち振る舞いを見ることが出来る。
孤高の極道・天晴を演じた堤真一の殺陣はかっこいいし、
着ぐるみを身にまとった姿まで拝める!
闇太郎の過去に翻弄されるヒロイン・お泪役の高岡早紀は、
影がありながらも華やかだ。
この人はもう存在自体がエロいんだよね。
しかも下品じゃないし、儚さがある。
今回のヒロインにピッタリの配役だ。
若手も良い。
去勢された元旅役者に扮した勝地涼は、
いつも通り思いっきりの良い芝居をみせてくれる。
微妙な三枚目をやらせると輝る貴重な若手俳優だ。
もう一人の“りょう”こと木村了は、極道一家の跡取りの役。
これまたアホキャラを伸び伸びと演じて、
伊藤Pの中にあった『赤い糸』の不味い木村了を少し払拭してくれた。
まぁ、『赤い糸』に関しては役者云々じゃなくて、作品が問題なんだけどね。
それから劇団☆新感線の団員たちも、
ゲスト俳優たちに負けじと見せ場を作っていた。
そして、勿論、古田新太は言わずもがなだ。
この人がいなきゃ、始まらないよね。
やり直しが出来ないから、ミスは許されない。
それでも全く緊張しているようには見えない役者たち。
みんなプロの役者だなぁと思わせてくれる。
劇団☆新感線は3月から天海祐希を迎え、
『薔薇とサムライ〜GoemonRock OverDrive』の上演を開始するんだけど、
これも「ゲキ×シネ」化されるのかな?
だとしたら楽しみだ。
あっ、その前に、
昨年秋に上演された『蛮幽鬼』が「ゲキ×シネ」化されるのか?