2010年02月12日更新

#458 ゲキ×シネ『蜉蝣峠』


蜉蝣峠

ゲキ×シネ 『蜉蝣峠』

2/13より新宿バルト9ほか全国にて
配給会社:ヴィレッヂ、ティ・ジョイ
(C)2010 ヴィレッヂ 劇団☆新感線




記憶を無くし蜉蝣峠に佇む男・闇太郎が、
元旅役者の銀之介に誘われて行き着いた先は、荒廃しきった宿場町。


極道たちの激しい勢力争いが繰り広げられるこの町で、
闇太郎は己の過去と向き合うことになる。


そして、闇太郎の秘密が暴かれた時、
宿場町に集った人々の運命も大きく動き出すのであった。


劇団☆新感線が贈る「ゲキ×シネ」シリーズ最新作。
「ゲキ×シネ」とは?


『メタルマクベス』に続き、宮藤官九郎が参加。
前回はシェイクスピアの「マクベス」を脚色したが、
本作は完全オリジナルの書き下ろしだ。


前作の『ゲキ×シネ 新感線☆RX「五右衛門ロック」』が明快な娯楽活劇だったのに対して、
本作は悲壮感漂うダークな作品に仕上がっている。


蜉蝣峠


どっちが好きかと言えば、断然『五右衛門ロック』で、
『蜉蝣峠』を見る前は、『五右衛門ロック』みたいな内容を期待していた。


だから、あまり動きのない第一幕にはちょっぴり辛抱を強いられた。


ところが第二幕から物語、そして役者たちが躍動し始め、
一気に引き込まれてしまった。


そして、悲哀に満ちたいかにも日本ぽい切ないラストにグッときた。


結局、前半の我慢も後半のために布石を打っていたんだと納得し、
終わり良ければ全て良しと大満足。


蜉蝣峠


いやはや、「ゲキ×シネ」は本作と『五右衛門ロック』しか見ていないので、
大したことは言えないけど、
この2本だけでも劇団☆新感線の懐の深さが判るてぐらい奥深いね。


深いと言えば出演者たちも然り。
『五右衛門ロック』もそうだったけど、
役者さんたちの舞台ならではの立ち振る舞いを見ることが出来る。


孤高の極道・天晴を演じた堤真一の殺陣はかっこいいし、
着ぐるみを身にまとった姿まで拝める!


蜉蝣峠


闇太郎の過去に翻弄されるヒロイン・お泪役の高岡早紀は、
影がありながらも華やかだ。


この人はもう存在自体がエロいんだよね。
しかも下品じゃないし、儚さがある。
今回のヒロインにピッタリの配役だ。


若手も良い。


去勢された元旅役者に扮した勝地涼は、
いつも通り思いっきりの良い芝居をみせてくれる。


微妙な三枚目をやらせると輝る貴重な若手俳優だ。


もう一人の“りょう”こと木村了は、極道一家の跡取りの役。


これまたアホキャラを伸び伸びと演じて、
伊藤Pの中にあった『赤い糸』の不味い木村了を少し払拭してくれた。
まぁ、『赤い糸』に関しては役者云々じゃなくて、作品が問題なんだけどね。


それから劇団☆新感線の団員たちも、
ゲスト俳優たちに負けじと見せ場を作っていた。


蜉蝣峠


そして、勿論、古田新太は言わずもがなだ。
この人がいなきゃ、始まらないよね。


やり直しが出来ないから、ミスは許されない。
それでも全く緊張しているようには見えない役者たち。


みんなプロの役者だなぁと思わせてくれる。


劇団☆新感線は3月から天海祐希を迎え、
『薔薇とサムライ〜GoemonRock OverDrive』の上演を開始するんだけど、
これも「ゲキ×シネ」化されるのかな?
だとしたら楽しみだ。


あっ、その前に、
昨年秋に上演された『蛮幽鬼』が「ゲキ×シネ」化されるのか?


ポスター

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.t-shirt-ya.com/blog/cgi/mt-tb.cgi/1621

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)




リンク

プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
Powered by
Movable Type