3/13より丸の内TOEI2ほか全国にて 配給会社:東映 (C)2010「花のあと」製作委員会 |
江戸時代。東北の小藩、海坂(うさか)。
組頭の一人娘の以登(いと)は、卑劣な罠に落ちた下級武士の仇討ちのため、
自らの意思で剣を手に取り、憎き悪人との戦いに挑む。
『たそがれ清兵衛』、『武士の一分』など、2000年代に多く映画化された藤沢周平の小説。
本作は『山桜』に続き、海坂藩を題材とした藤沢周平の短編集「海坂藩大全」を原作としている。
時代小説を読むことはほとんどないし、時代劇も熱心に見る方ではないんだけど、
北川景子=時代劇という一見不釣合いな組み合わせに興味を抱いた。
北川景子の洗練された美しい容姿はどう見ても今風だ。
現代と戦時下を生きる女性の二役を演じた『真夏のオリオン』は、
本編未見だが、彼女が写っている戦時中の場面写真を見ただけで、
「昭和じゃない」と感じてしまった。
それが、今回は昭和以前の江戸時代である。
しかも時代劇の場合、この時代ならではの所作が必要となる。
更には殺陣までも披露しなくてはならない。
果たしてどれだけ北川景子は、時代劇に溶け込めているのか?
で、見た訳ですが、
最初はやっぱり違和感を覚えたんだけど、
見ているうちにあまり気にならなくなった。
見る側の慣れもあるんだろうけど、
それは北川景子の努力に因るところが大きいようだ。
初の時代劇ということで、半年間に及ぶ所作と殺陣の稽古を積んだという。
今の動きに慣れ切った現代人が、江戸時代の立ち振る舞いをこなすのは、
なかなか大変だろう。
正座、何分できます?って。
江戸時代の仕来りなんてよく分からないけど、
あまり気になるようなことはなかった。
(時代劇に慣れ親しんだ人は、変に思うのかもしれないが・・・)
殺陣はもっと難易度が高そうだ。
高校の同級生が大学で居合いをやっており、
何度か模擬刀を振るのを見せてもらったんだけど、
一朝一夕の練習で出来るようなものではないと思った。
映画の撮影では、怪我や事故に注意しながら刀を振り回し、
尚且つ演技もしなくてはならない。
そして、北川景子は、見事にこなしていた。
カットをバシバシ割る今風の演出ではなく、
しっかりと撮っていたので、これはかなりの技量が必要でしょう。
ぎこちなさはあるにはあるんだけど、
かえってそれが以登の剣術のレベルを表しているし、
以登の不器用ながらも一生懸命なひたむきさを滲み出す結果となった。
今回は「頑張った」感が漂っていたので、
どうせならこれで満足せず、
「流石、殺陣といえば北川景子!」と言われるぐらい極めて欲しい。
たった一度、竹刀を交えた男のために、
自らの命を顧みず悪人に立ち向かっていく以登の心情は、
自由恋愛が当たり前の今の時代を生きる者としては、
あまりピンと来ない部分もあったんだけど、
江戸時代の厳しい家父長制度を理解していれば、納得がいくのかもしれない。
序盤の竹刀での戦い以降、殺陣を温存し、
最後に一気に炸裂させる流れも中々ワビサビがあって良かったし、
殺陣自体も見応えがあった。
近年の若手俳優を起用した時代劇の中では、
かなり真っ当な作りだったし、安定感があって安心して見ることが出来ました。