3/19より丸の内ピカデリー1ほか全国にて 配給会社:松竹、角川映画 (C)2009 The Weinstein Company. All rights reserved. |
世界的に有名な映画監督グイド・コンティーニ。
待望の9作目となる『ITALIA』の制作に取り掛かろうとしていた。
しかし、撮影が10日後から始まるというのに、
脚本すら出来ていない状態だった。
彼の創造力の源は彼を取り巻く女性たち。
だが、グイドは誰のことも愛しきれない。
グイドの人生そのものである映画には女性と愛が必要不可欠。
そんなグイドの願望、記憶、夢、そして、現実を描いたミュージカル。
何回かこのブログで、ミュージカルが苦手ということを書きましたが、
『NINE』は見たいと思った。
その理由は、
1.キャストが豪華
2.ロブ・マーシャル監督作品
3.絢爛豪華そう
の3点。
特に理由1が一番重要だった。
ニコール・キッドマン、ペネロペ・クルス、ケイト・ハドソン、
ジュディ・デンチ、でもって、ソフィア・ローレンですよ。
元々映画を見る理由の一つが、女優だったりするんで、
これだけ揃えられたら、自ずと見たくなる。
一体どんな共演を果たすのか!?
そして、その楽しみはいきなり冒頭に訪れる。
映画のメイン舞台となるチネチッタ・スタジオの第5ステージのセットに、
女優陣全員が揃い踏みする。
もうこれだけでゾクゾクした。
新旧織り交ぜた女優たちが一同に会している。
圧巻!の一言だ。
特にアゲチンであるトム・クルーズと結婚&付き合った経験を持つ、
ニコールとペネロペが共演なんて!
撮影現場ではどんな会話が交わされたのか?
「トムのベッドテクはイマイチなのよねぇ」
「そうそう。とてもじゃないけど満足できないわ」
「その点、キースは最高よ」
「あら、私のハビエルだって凄いのよ!」
妄想が膨らむ膨らむ。
冒頭からこんなんだったら、
この後もたくさん大物女優たちの共演があるのだろうと超期待した。
が・・・
これ以降、彼女たちの絡みが皆無に等しく、
とてつもなく落胆した。
物語の構成上仕方がないんだけど、
一番楽しみにしていたところだったんでねぇ・・・。
あと、クライマックスがない。
女優さんたちはそれぞれ見せ場があり、それを積み重ねていく感じなので、
全編がクライマックスなのかもしれないけど、
『シカゴ』にあったような最後の大盛り上がりがない。
だからちょっと物足りなさを感じてしまった。
最後にトドメでキャスト全員でドカーン!とやって欲しかった。
とは言うものの、その女優さんたちの見せ場は、
どれもこれも見応えがあった。
そんな女優陣と絡むダニエル・デイ=ルイスも申し分ない。
ダニエルを含めみんな歌を歌う。
そして、『マンマ・ミーア!』のピアース・ブロスナンと違ってみんな上手かった。
歌うケイト・ハドソンとかあんまりイメージ出来なかったんで、
楽しかった。
キャストの歌と踊りをより良く映し出すためのカメラワークやアングル、
カット割も凝りまくっているし、セットも凄い。
それから、やっぱりフェデリコ・フェリーニを語らずにはいられない。
実は本編を見る直前まで、
この作品がフェリーニの『8 1/2』を元にしているということを知らなかった。
『8 1/2』を見たモーリー・イェストンが、
その魅力に取り憑かれ、フェリーニの物語に音楽とダンスを加え、
ミュージカル「NINE」が生まれたという。
本作はそのミュージカルの映画化だ。
学生時代、フェリーニの作品をいくつか見た。
『道』以外、どの作品も訳が分からなかった中、
『8 1/2』は見た時にもの凄く感動したことを今でも覚えている。
(あまり細かい内容は覚えていないが・・・)
『NINE』には『8 1/2』だけでなく『甘い生活』とか、
フェリーニへのオマージュが随所に散りばめられている。
“そういえばパパラッチって『甘い生活』が語源だったなぁ〜”
なんてことを思い出させてくれた。
社会人になってからフェリーニの作品を一本も見ていない。
久しぶりにフェリーニの映画が見たくなった。
学生の頃よりは少しは映画の見方も成長しているだろうから、
前よりは理解できるかもしれない。
大物女優たちの競演シーンや、
『シカゴ』にあったような爽快さがないのは残念だったけど、
『8 1/2』がベースにあることを踏まえれば、
まぁ、それも納得かなと。
映画としての完成度はとてつもなく高いと思うし、
ミュージカルが苦手な人間さえも惹きつける魅力的な作品であることは間違いない。
何を期待するかによって、
印象が大きく変わる作品のような気がする。
因みに知り合いのミュージカル映画好きは、
本作を2010年暫定ナンバー1に挙げておりました。