4/17より丸の内ルーブルほか全国にて 配給会社:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン (C) Disney Enterprises, Inc. All rights reserved. |
1855年ロンドン。
19歳のアリスは退屈な男ヘイミッシュから求婚されるが、困惑して逃げ出してしまう。
すると彼女の前に懐中時計を持った白いうさぎが現れる。
うさぎを追いかけたアリスは、あやまってうさぎの穴に転がり落ちてしまう。
アリスがたどり着いた先は、アンダーランドと呼ばれるワンダーランド(不思議の国)。
そこは独裁者・赤の女王によって支配されており、
住民たちは暗黒時代を終わらせる救世主を求めていた。
そして、彼等はアリスこそがその救世主だという・・・。
ティム・バートン監督&ジョニー・デップという“鉄板”コンビによるファンタジー映画。
ご存知、ルイス・キャロルの「不思議な国のアリス」の映画化だが、
ティム・バートン監督は一捻り加えている。
ルイス・キャロルが描いたのは6歳のアリスの物語だったが、
ティム・バートン監督は、
6歳の時の不思議な体験を忘れてしまっている19歳のアリスを主人公にしている。
要するにルイス・キャロルの「不思議な国のアリス」の後日談。
よって、完全なるオリジナル・ストーリーとなっている。
19歳といえば子供と大人の端境期。
ワンダーランドで様々な試練に遭遇しながら、
大人へと成長していくアリスの姿を描いている。
傍目にはジョニー・デップが主演の作品のように見えるが、
『アリス・イン・ワンダーランド』というタイトルからも判るとおり、
あくまでもアリスが主役だ。
そのアリスを演じたのはミア・ワシコウスカ。
ダニエル・クレイグ主演の『ディファイアンス』等に出演しているオーストラリアの新星で、
戸惑いながらも成長していくアリスを美しく、力強く演じている。
ワンダーランドでは、アリス意外全員奇妙な格好をしていて、
それぞれが異彩を放っているため、下手するとアリスは埋もれてしまいかねないが、
ミア・ワシコウスカの魅力のお陰か、決して埋没することはない。
一方、容姿端麗なミアに対して、
ワンダーランドの住民たちは先述の通り、強烈だ。
ジョニー・デップは今まで何度も変人を演じてきているけど(特にティム・バートン作品で)、
今回のアリスを待ちわび、打倒赤い女王を目論むマッドハッター役は抜きん出ている。
ド派手な衣装とメイクでデコレートされているのにも関わらず、
ジョニー・デップの個性が出ているのが、この俳優の凄さだ。
で、ジョニー・デップよりもインパクト大なのが、
赤の女王を演じたヘレナ・ボナム=カーターだ。
不気味なメイクと頭でっかちな容姿。
まさに怪演。
2001年『PLANET OF THE APES/猿の惑星』で、ティム・バートンに出会ってからのヘレナは、
ティム・バートン監督作は勿論のこと、
「ハリー・ポッター」シリーズや『ターミネーター4』などで、
奇天烈な役ばかりを演じるようになった。
普通だったら腰が引けてしまうような役でも、
臆することはない。
ティム・バートンは、ヘレナの女優人生を完全に変えてしまった。
私生活でもパートナーなので、ヘレナの人生そのものを変えたと言える。
そんな多大なる影響力を持つティム・バートン監督ですが、
今回も独創的なマイ・ワールドを構築している。
本当にこの人の頭の中はどうなっているんだろうか?
それから、今回は3D版を見たので、3Dについても触れておこう。
元々3Dを前提にして製作されているから擬似3D作品とは違って、
ちゃんと立体的に見えるし、映像に奥行きもある。
ところどころ物が飛んできて、ぶつかりそうになったりと、
3Dならではの飛び出す映像も楽しめる。
吹替え版ではなく、字幕版で見たにも関わらず、
鑑賞後、疲労を感じることがなかったというのもあり、
もしも見るのであれば、3D版を推奨致します。
まぁ、疲れなかったのは、
3Dとか関係なく、作品自体が面白かったからかな。
正直、ティム・バートンとジョニー・デップが組んだ作品で面白いと思ったのは、
初タッグの『シザーハンズ』、『エド・ウッド』、『スリピー・ホロウ』までで、
2000年代に入ってからの『チャーリーとチョコレート工場』、『コープス・ブライド』、
『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』はあまり好きじゃない。
だから『アリス・イン・ワンダーランド』はあまり期待していなかったんだけど、
近年のコンビ作の中では群を抜いて楽しめた。