2010年05月24日更新

ラッシャー木村

ラッシャー木村さんが、5月24日腎不全による誤嚥性肺炎のため死去した。
享年68才。


またひとり名プロレスラーが、逝ってしまった。


ラッシャー木村さんの試合で一番印象に残っているのは、
1982年11月蔵前国技館にて新日本プロレス時代に行われた、
アントニオ猪木VSはぐれ国際軍団のハンディキャップマッチだ。


ラッシャー木村、アニマル浜口、寺西勇が、3人がかりでアントニオ猪木に立ち向かう。


冷静に考えると、それってアントニオ猪木が強いってことを逆に証明してないか?
ってことなんですが、
強すぎるレスラーよりも、その強いレスラーに立ち向かうレスラーを応援する派だったので、
猪木よりもラッシャー、アニマル、寺西を応援したことを今でも覚えている。


切り込み隊長の寺西勇がいつも通り、あっさり負けて役目を果たすと、
続くアニマル浜口も延髄蹴りで、マットに沈む。


最後の一人となったラッシャーが、
スタミナ切れの猪木にラリアットを決める。


場外に転落した猪木はそのままリングに戻れず、
はぐれ国際軍団の場外リングアウト勝ち。


猪木からスリーカウントを取れない辺りが、
いかにも当時の新日な感じですが、
強すぎる猪木に立ち向かうラッシャー木村さんの姿は、今でも目に焼きついている。


その後、プロレスから少し距離を置いた時期を経て、
大学生の時にプロレス好きの友達・宮ちゃんに誘われて、
全日本プロレスの武道館大会を観戦した。


三冠の試合だったか、チャンピオン・カーニバルだったか、
世界最強タッグ決定リーグ戦だったかは定かではないが、
初の全日生観戦で、一番の衝撃はラッシャー木村さんだった。


猪木と戦っていた時代から、既に10年近く経っており、
全盛期は過ぎていたのかもしれないが、
そのラッシャー木村の戦う姿と試合後のパフォーマンスに愕然とした。


後に全日興行の定番と知ったファミリー軍団VS悪徳商会。


ジャイアント馬場さん、百田光雄、永源遙、渕正信、マイティ井上といった、
ほぼほぼ主力ではなくなってきた選手たちによるユーモア溢れる、
コメディみたいなホノボノとした試合内容。


中でもラッシャー木村さんは、「笑い」を提供していた。


攻撃を仕掛けようとして、仕掛けない。
それの繰り返し。
チョップを受けると「イテェェェ」って感じで、うずくまる。
永源遥のツバを顔面に受けてもがく。


更には試合後のマイクパフォーマンス。


「おい、永源!お前〜」の後に続くコメントは、トンチンカンな内容で、
武道館は大爆笑に包まれた。


猪木と死闘を繰り広げ、かつて金網の鬼といわれたラッシャー木村さんの姿は、
そこにはなかった。


実は結構ショックだったんだけど、
その後、何度も全日本プロレスの会場に足を運ぶにつれ、
ジャイアント馬場さんが掲げた「明るく、楽しく、激しく」のうち、
2つのスローガンを遂行するラッシャー木村さんの試合とマイクが楽しみになった。


試合中は「ラッシャー!!」という声援を送り、
試合後は「マイク!マイク!」とマイクパフォーマンスの促し、
その発言に大爆笑した。


そんなラッシャー木村さんも、
次第に動きが鈍くなり、試合に出ても何もしなかったりすることが多くなった。


体調が悪かったのでしょう、
伊藤Pも観戦した2003年3月1日の武道館大会を最後に長期欠場となってしまう。


そして、2004年7月の東京ドーム大会で引退を表明し、現役を退いた。


その後、麻布十番のスターバックス・コーヒーでラッシャー木村さんの姿を見かけたことがある。


アロハシャツに短パン、サンダルというラフな格好で、
歩道に設置された屋外のテーブル席につき、ボッ〜としながらコーヒーを飲んでいました。


それがテレビでも生でも最後に見たラッシャー木村さんの姿となりました。


今日、訃報のニュースを知り、
先述の宮ちゃん含め、大学時代のプロレス好き仲間にその旨メールで伝えた。


それぞれ返信があった中で、
「天国プロレスの方が面白いんじゃないかってくらい、色々逝ってしまうね・・・」
という塚(女性)のコメントが感慨深かった。


いま現役で戦っているレスラーたちの試合が、つまらないという意味ではない。


自分たちがリアルタイムで接してきたレスラーたちが、
次々と天国へ召されてしまう。


思い入れが強い分、悲しみも強い。


ジャイアント馬場さん、ジャンボ鶴田さん、三沢光晴さん、
更にはラッシャー木村さんが現役時代の全日、ノアで活躍していた、
スティーブ・ウィリアムスもゲーリー・オブライトもこの世にいない。


国際プロレス時代の仲間である冬木弘道、
悪徳商会の一員だった大熊元司もいない。


ラッシャー木村さんが逝ってしまったことは本当に残念だけど、
先に逝った多くの仲間たちと天国で再会できて、
喜んでいるに違いない。


ゆっくり休んで、遺された後輩たちを見守って欲しいと言いたいところだが、
天国でもプロレスをして欲しい。


そして、プロレスが好きでこの世を去った人たちに、
天国でもプロレスの素晴らしさを伝えて欲しい。


今まで多くの感動と笑いをありがとうございました。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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