6/19より東京都写真美術館ホールにて 配給会社:エデン. |
ベトナム戦争が泥沼化していた1971年の1月31日から2月2日の3日間、
デトロイトのホテルで開催された“ウィンター・ソルジャー公聴会”。
そこで帰還兵たちが語ったベトナムの真実を記録したドキュメンタリー映画。
1972年にアメリカで限定公開され、日本では今回が初のお目見えとなる。
何故、志願したのか?
訓練所で彼らは何を叩き込まれたのか?
ベトナムの戦場で何が行われたのか?
ベトナム戦争が検証された今と違い、
当時はまだベトナム戦争真っ只中。
帰還兵たちが語った内容は、多くの人々にとてつもない衝撃を与えたに違いない。
伊藤Pが映画小僧だった頃、ちょうどベトナム戦争映画ブームだった。
新兵の過酷な訓練と洗脳:『フルメタル・ジャケット』
いかれた上官とベトナムの民間人への暴力:『プラトーン』。
アメリカ兵によるレイプ:『カジュアリティーズ』
半身不随となったアメリカ兵の苦悩:『7月4日に生まれて』
有名どころの作品はほとんど見ているけど、
これらのベトナム戦争映画で描かれていたことが、事実であったと改めて認識した。
訓練所で教官が強いる男になるための残虐行為。
殺した数の競争。
家族の前での集団レイプ。
アメリカ軍のいい加減な報告。
おぞましい内容ばかりだ。
帰還兵たちが話すだけの映像なのに、
戦場の狂気が目に浮かぶのは先述の映画を見ていたからかもしれないが、
それでも生々しい。。
そして、1975年のサイゴン陥落から数十年経っても、
人類のやっていることはあまり変わりないってことが、本作を見れば良く分かる。
この作品はアメリカで限定公開された後、
カンヌ映画祭等で上映されるも黙殺された。
再び日の目を見たのは、2005年、イラク戦争の影響でだ。
逆にいえば、イラク戦争がなければ、
本作が再び注目されることはなかったわけで、
なんとも皮肉な話だ。
何十年か後に再びこの作品を必要とする日がくるのなら、
ベトナム戦争を風化させないためだけであって欲しい。
というか、毎年どっかの国の偉い人たち向けに上映会を催した方がいいんじゃない?
あと、本作を見て思ったのが、
若かりし頃、何気なく見ていた映画で、多くのことを学んでいたということ。
上記のベトナム戦争映画以外でも、
『ディア・ハンター』、『帰郷』、『ランボー』、
『タクシードライバー』、『地獄の黙示録』といった作品を通して、
ベトナム戦争の様々な側面に触れた。
学校の授業や教科書では、ここまで学べなかったと思う。
知らないより知っていた方がいい。
前回紹介した『ハーツ・アンドマインズ/ベトナム戦争の真実』と
併せて見て欲しい一本です。