6/19より丸の内ピカデリーほか全国にて 配給会社:角川映画、松竹 (C)2010 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. |
戦争によって、文明が崩壊し無法と化した世界。
30年間、本を持って西へと歩き旅を続けている男。
行く手を阻む者は容赦なく倒す。
そんな男が辿り着いた町は、独裁者カーネギーによって支配されていた。
しかもそのカーネギーはある一冊の本を探し求めていた・・・。
デンゼル・ワシントンとゲイリー・オールドマン二大スター共演のアクション・アドベンチャー。
SFと付けたいところだが、
今の世の中有り得る世界観だったりするんで、無しとしよう。
演技の上手い2人が出ているので、
人間ドラマの部分も期待したが、あまりそこは重視されていないようで、
至って単純な話だった。
主人公が運んでいる本がなんであるかは、見る前から予想が付いちゃうし、
深みがないっちゃない。
まぁ、頭を空っぽにして見るには丁度いいかな。
風景ショットが多いし、役者たちのセリフの間の取り方もマッタリしていて、
全体的にちょっと間延びしている感は否めないけど、
映像はカッコイイし、役者も立っているし、
要所にアクションの見せ場を配しているので、退屈はしない。
『マッドマックス2』('81)以降、
世界崩壊後の世界を舞台にしたアクションはしこたま作られている。
他との差別化をきちんとしないとアクションが映えないんだけど、
本作のアクションには、一つ一つにこだわりを感じた。
始まって一番最初の戦いは、主人公VS数人の屈強そうな男たち。
ややロングショットで、その戦いをワンカットで見せ切っている。
しかも武器が鋭利な山刀VSチェーンソー。
チェーンソーファン(そんな人は俺だけか?)歓喜の格闘でもあった。
酒場での(またまた)主人公VS数人の強そうな男たちとの戦いは、
比較的正攻法で撮っているが、時たま引きの絵を挟み、
そこで首チョンパを見せるなど粋な演出をかましてくれた。
カット割も早過ぎずで、テンポ良し。
そして、なんと言ってもとある民家で繰り広げられる長回しの銃撃戦が、
本作最大の見所でしょう。
弾丸が乱れ飛ぶ中、カメラは屋外から窓を抜けて家の中に入り、
室内をなめ、縦横無尽に動き回る。
一旦、カットを入れてからまた同じ様に、カメラが動き回る長回し。
『トゥモロー・ワールド』ほどの衝撃はないが、
やはり唸るもねがあった。
思考を凝らしたアクションは、概ね気持ち良く見られたんだけど、
ちょっと物足りなさを感じた。
その理由は一目瞭然なんだが、ネタバレになるのでここでは書かないでおこう。
しかし、デンゼル・ワシントン演じる主人公が、強すぎる。
素手、ナイフ、山刀、棍棒、弓、拳銃、ショットガンなんでもこざれ。
あんたはセガールかっ!!!
ってぐらい強い。
まぁ、なぜ強いのかも暗示されてはいるんだけどねぇ・・・。
あんまり日本人にはピンと来ないよね。
<音楽ネタ1>
ゲーリー・オールドマン演じるカーネギーの手下レッドリッジ。
彼は数回口笛を吹くが、そのメロディは、
エンニオ・モリコーネの「Once Upon A Time In America」。
セルジオ・レオーネ監督の遺作のテーマソングだ。
<音楽ネタ2>
主人公が聴いている音楽は、
アル・グリーンの「How Can You Mend a Broken Heat?」。
1972年に発表したアルバム「Let's Stay Together」の収録曲。
アルはR&Bシンガーとして70年代に活躍したが、
80年代以降は宣教師としても活動をしていた人物。