6/25 2枚組DVD セル【4,935円(税込)】 7/2 レンタル開始 発売・販売元:マクザム (c) 2008 ARS Film Production. All Rights Reserved |
ミュージシャンとして成功する夢に破れ、
無為に暮らしていた青年・阿嘉(アガ)は、
成り行きで郵便配達の仕事を始める。
ある日、宛先不明で未配達の郵便物の中に、
今では存在しない住所“海角七号”宛の小包を発見する。
その中には、60年前、
敗戦によって台湾を後にしなくてはならなくなった日本人教師が、
恋人である台湾人女性・小島友子を想って船上で綴ったラブレターだった。
手紙を読み続けていた阿嘉は、
ある日、日本人歌手・中孝介を招いて催されるライブの前座バンドに駆り出されるが、
監督役の日本人女性・友子と衝突を繰り返す・・・。
と、ストーリーを資料を基に書いてはみたが、
60年前のラブレターと現在の阿嘉たちの話がまるで交錯しない。
しかしながら、この時代を超えた2つの物語は、
映画のラストで見事というか、半ば強引に集約される。
ちゅうことで、書き過ぎるとネタバレになるので、
上記のような留めた文章になってしまう。
でもね、このラストまでの道のりが長い。
阿嘉のパートに、ちょいちょい日本人教師のモノローグがインサートされるんだけど、
その都度、集中力を削がれた。
「友子、許しておくれ・・・」
「友子」、「友子」、「友子」
友子連発である。
ラスト近辺まで、今と昔がいまいちシンクロしない分、
余計に辛い。
あと、作品のビジュアルイメージから、
かなりシリアスな内容だと思っていたら、
結構、ユーモラスというか、下町人情的な描写が多分にあり戸惑った。
これはこっちの勝手な先入観だから、作品に罪はないんだけどね。
更にバンドの話だとも思っておらず、
意外性だらけの作品だった。
多くの人たちが言及している日本と台湾という2つの国の関係云々よりも、
個人的には、このバンドのパートの方が刺さった。
バンドのメンバーのオーディションで、
阿嘉はギターを弾くんだけど、
その演奏はまるでちょっと遅いイングヴェイ・マルムスティーン。
メタラー(ハードロック/ヘビーメタル好き)にはたまりません。
続いてもう一人台湾原住民警察官・ローマーが、
ギターを奏でる。
その弾き方はまるで加山雄三。
(曲調はちょっとブルージーだけど)
インギーと加山雄三。
なかなか凄い組み合わせだが、
この2人がバンドのツインギタリストとなる。
まぁ、アルフィーみたいな感じかな。
それからベーシストは最初、ローマーの父親が担当するが、
事故に遭い脱退。
次にベースを担当することになったのが、
なんと80歳の郵便配達員ボーじいさん。
しかしながら、結局、ボーじいさんも下手ということで、
地酒のセールスマン・マサランがベーシストに納まる。
即席なうえ、メンバーの入れ替わりが激しいため、
バンドの演奏は一向に良くならず、
監督役の友子からはガミガミ言われ、
阿嘉はますますやる気を無くしてしまう。
いいっすねぇ、こういうダメバンド。
ところが、友子の辛い思いを知った阿嘉は、
覚醒し、やる気が出てくる。
ついでに別の“やる気”も出てくる。
いいっすねぇ、こういう女に左右されるバンドマン。
バンドの陰に女あり。
そして、クライマックスのライブシーンへと雪崩れ込む!
ライブシーンでは、
演奏の他に超ウルトラベタベタな男と女のやり取りがあったりして、
もう見ているこっちが赤面よ。
こういうのを何の恥じらいもなく、シレッとやってしまう台湾映画は、
今の時代、貴重だ。
作品トータルとしては、
青臭さが無きにしもあらずだったけど、
台湾の日本への熱い思いが込められた良心作だと感じた。
阿嘉、友子をそれぞれ演じたファン・イーチェン、田中千絵の演技も良かった。
田中千絵は、演じた友子と自身の体験が重なっている感じ。
頑張って欲しい。