7/2より丸の内ピカデリーほか全国にて 配給会社:アスミック・エース (C)2010 EUROPACORP-APIPOULAI PROD-TF1 FILMS PRODUCTION Photos:Magali BRAGARD |
妹の命を救うため、古代エジプトに伝わる復活の秘薬を探し続ける美しき女性アデル。
ある日、翼龍プテロダクティルスが卵から孵化しパリで暴れ回るという事件が勃発。
アデルは、復活の秘薬とプテロダクティルス事件に関連性を見つけるが、
彼女の前に次々と困難が降りかかってくる・・・。
リュック・ベッソン監督が放つ、ヒロイン・アドベンチャー大作。
『グラン・ブルー』でアート映画の寵児となり、
『ニキータ』でアクションが撮れることを誇示し、
『レオン』で世の女性陣のハートをガッチリと掴んだリュック・ベッソン監督。
80〜90年代にその名を馳たフランス人監督は、
99年の『ジャンヌ・ダルク』以降、プロデュースや原案・脚本業を優先し、
新たな人材発掘に注力する。
しかし、ここからリュック・ベッソンの迷走が始まる。
いまやずんどう鍋のような体系となったリュック・ベッソン
彼が関連した作品の多くがポンコツ映画だった。
ツッコミどころ満載の酷い脚本や、
適当に作って小銭稼いでみました感の否めないアクション映画の数々。
よって、自分の中ではリュック・ベッソンは終わった人となった。
そして、『ジャンヌ・ダルク』以来6年ぶりの監督作にも関わらず、
まるで話題にならなかった『アンジェラ』後、
2006年に『アーサーとミニモイの不思議な国』の三部作を最後に監督業引退を発表。
余計なお世話だが正しい選択とさえ思ってしまった。
しかし、シリーズ第二弾『アーサーと魔王マルタザールの逆襲』完成後、
間髪入れずに新作を撮った。
それが『アデル/ファラオと復活の秘薬』だ。
この最新作を見ると、
改めて「リュック・ベッソン監督、あなたは一体どこに向かっているのでしょうか?」
と問いたくなる。
リュック・ベッソン=『グラン・ブルー』、『レオン』というイメージを未だに抱いている人が見たら、
その落差に驚くんじゃないかな?
馬鹿ばかしい
アホらしい
どうしようもない
くだらない
あらゆるマイナス形容詞が当てはまる。
大体、自分たちが勝手に引き起こした事故によって
アッパラパーになってしまった妹を助けたいがために、
ピラミッドに侵入してミイラを自宅に持ち帰る主人公ってどういうこっちゃ?
墓泥棒じゃん。
アデルは妹を助けるという信念を貫き通す強い女性ではなく、
自分勝手な頭のいかれた狂人にしか見えないよ。
その他、滅茶苦茶な設定、展開、笑えないユーモアが連発するうえ、
プテロダクティルスのCGも大分お粗末。
でも、「まぁ、リュック・ベッソンだから仕方ないか」という割り切りの思いに至る。
要するにリュック・ベッソンお得意のツッコミ所にツッコミを入れながら見れば良いのだ。
リュック・ベッソンはフランス版マイケル・ベイなんだ。
マイケル・ベイの作品は駄目と分かっていても見たくなるけど、
リュック・ベッソンの作品は別にそれほど見たくないという大きな違いはあるけど、
ツッコミ所を楽しみながら見ると言う点ではかなり近いものがある。
そんなリュック・ベッソンですが、
監督作における女優のチョイスのセンスは秀でたものがあると思う。
(『WASABI』、『トランスポーター3』とか、
プロデュース作品は微妙なものがチラホラ見受けられるが・・・)
長編デビュー作『最後の戦い』は随分前に見たので記憶が定かではないが、
確かダッチワイフは登場するけど、ヒロインは出て来なかったはず。
その鬱憤を晴らすかのように、リュック・ベッソンはヒロインを大切にするようになる。
『サブウェイ』のイザベル・アジャーニ
『グラン・ブルー』のロザンナ・アークエット
『ニキータ』のアンヌ・パリロー
『レオン』のナタリー・ポートマン
『フィフス・エレメント』『ジャンヌ・ダルク』のミラ・ジョヴォヴィッチ。
80〜90年代のリュック・ベッソン作品で、
美しき女優たちが魅力的なヒロインを演じている。
『アデル/ファラオと復活の秘薬』も同様で、
キャラクター造詣はちょっと微妙だが、アデル役のルイーズ・ブルゴワンは綺麗だし、
なかなかのコメディエンヌぶりを発揮している。
彼女が演じたから、アデルのマッドさが軽減されたのは間違いない。
何度もこのブログで書いているんだけど、
自分は映画における女優の役割に重きを置いて見る傾向が強い。
よって、映画がつまらなくても、
女優が輝いていれば良しとしてしまうこともある。
『アデル/ファラオと復活の秘薬』はまさにその類の作品だった。