7/3より全国にて 配給会社:東宝 (C) 2010 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー |
ご存知、人気テレビドラマの7年ぶりの劇場版第3弾。
青島刑事は強行犯係係長となり、今は湾岸警察署の新社屋への引越しに大忙しい。
そんな引越しの混乱を利用して、青島たち3名の拳銃が湾岸署から盗まれてしまう。
犯人の要求はかつて青島が逮捕した犯罪者たちの釈放。
拒否した場合は盗んだ拳銃で一般人を殺害するという。
事件解決に向け、捜査に乗り出す青島刑事だったが、
今度はセキュリティのマニュアルが盗まれ、
青島の仲間たちが新湾岸署に閉じ込められてしまう。
青島は事件を解決して仲間たちを解放することが出来るのか?
毎度のことだけど、「踊る」関連作品における君塚良一の脚本はずさんだ。
例え引越しでバタバタしていたからとはいえ、
外部の人間が警察署の内部にいとも簡単に入って、
しかも拳銃を盗むなんてことは有り得ないでしょう。
で、盗まれたのにも関わらず、
青島たちはそれほど深刻じゃないし、慌てもしない。
盗難事件を知った警察署長等スリーアミーゴたちの対応は、
アホらし過ぎてギャグにもならない。
まぁ、このお気楽さが「踊る」シリーズらしさでもあるってことは、
分かってはいるんだが・・・。
これに限らず全体的にしまりがなく、エピソードが散漫。
青島を病気にしてみたはいいが、あまりそれがドラマチックにならないし、
事件自体も段々と尻つぼみで、スリリングな展開は皆無。
青島が木の棒でガンガンとシャッターを打って、
仲間を助け出そうとするシーンがある。
これは織田裕二のアイデアで、
本人も無意味な行動だと分かってやったそうなんだが、
おっしゃる通り無意味過ぎて、熱くこみあげて来るものがない。
別の必死さが欲しい。
その青島の行動をテレビ中継で見たすみれは、
みんなを励ますためにマイクアピールをするが、
それは個人情報保護法を破るようなトンチカンな内容。
ラッシャー木村の足元にも及ばないマイクアピールだ。
暑苦しいぐらい熱い青島が俺らのハートを熱くする!
これこそが、「踊る」の真骨頂!なのだが、盛り上がらない。
青島たち現場とキャリア組の確執や室井の板挟みももはやマンネリだ。
あと、
「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ!」、
「なんで現場に血が流れるんだ!」に続く、
本作の青島のキメゼリフは最悪だ。
「部下はいません!いるのは仲間だけです!」
という発言(伏字にしようかと思ったが、テレビでバンバンこのセリフ流していた)は、
組織人としてはどうかと思うぞ。
仲間であっても部下は部下だ。
もっと全体的にスケールを大きくして、
ド派手な大スペクタクルにしつつ、
そこに熱いセリフとそれを支えるドラマチックな展開を盛り込んで欲しかった。
実写日本映画で最高の興行収入を叩きだした作品の続編なんだからさ、
それぐらいのことやれるでしょうに。
とまぁ、マイナス面ばかりを色々と書いてしまいましたが、良い点もある。
相変わらずサービス精神は過剰なぐらい旺盛で、
細かい仕掛けがそこかしこにある。
「踊る」ファンは喜ぶこと間違いなしでしょう。
また詰め込み過ぎた分、逆に各エピソードがあっさり味になり、
サクサク見られて、2時間21分という長丁場の割りに、
あまり長さは感じないというパラドックスを生み出している。
それから、
織田裕二と小栗旬。
柳葉敏郎と小栗旬。
織田裕二と小泉今日子と小栗旬。
織田裕二と寺島進と小栗旬。
といった感じで、小栗旬とレギュラー陣や過去の登場人物との共演シーンが随所にある。
別に小栗旬のファンじゃないけど、これらの共演シーンは新鮮だった。
小栗旬の出演は結構アクセントになっていると思う。
織田裕二が顔全体の表情や体で表現しているのに対して、
小栗旬はほとんど目で演技している。
その辺の対比を楽しむのも良いでしょう。
突くところは多々あるけど、
それは前からだし、承知の上だ。
あまり細かいことは考えず、お祭り気分を味わうべき映画なんでしょう。
絶望的につまらなかった前作よりは楽しめました。