7/24よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて 配給会社:日活 |
7月24日公開ですが、劇場で見たので、ちょい遅れでアップ。
ゾンビランドと化したアメリカ合衆国を舞台に、
冴えない青年、ゾンビに対して憎悪むき出しの中年男性、
したたかな姉妹が、ゾンビと死闘を繰り広げるゾンビ映画。
ゾンビ映画はゾンビ映画としてのジャンルが確立しているから、
はっきり言って他のジャンルの映画と違って、
あまりコンセプトを説明する必要がない。
人間がゾンビ化した理由は、謎のウィルスで済ますことができるし、
ゾンビが蔓延した状態から物語を始められる。
これは凄いことなんだが、
逆に言えば、枠が決まっている分、
観客を楽しませるためには、様々な捻りが必要となる。
その点、『ゾンビランド』はアイディア満載で、軽く及第点を越えている。
まず、生き残るためのルールが良い。
ゾンビが頭を撃ち抜けば“本当”に死に絶えるという原則の下、
ゾンビ社会で人間が生き残るルールを過去の数多あるゾンビ映画に倣って提示していく。
ゾンビ映画を見慣れた人にとっては、
「わかる!わかる!」という意識の共有を得られるし、
ゾンビ映画未経験の人は、ゾンビ映画の最低限のルールを学ぶことが出来る。
パロディがオマージュになるのもゾンビ映画の良いところだ。
あと、ホラーをほぼ封印してコメディに徹している。
その笑いはかなり馬鹿馬鹿しくて、個人的には大好きなんだが、
欲を言えば映画小ネタや途中に出てくる某有名俳優が笑いをかっさらっているので、
もっとゾンビで笑わして欲しかったかな。
分かる人には分かるという笑いが、ちょいと多かったように思う。
それから本作の注目点はアクションなんだが、
ウディ・ハレルソンがとにかく暴れまくる。
金属バットでゾンビの頭をかち割り、刈り込みバサミでチョッキンする。
重火器もお手の物で、射的小屋に立て篭もり二丁拳銃で群がるゾンビを殺しまくる。
かっこよすぎるぞ!
最後の殺戮の舞台が遊園地で、
ウディ・ハレルソン以外も、
ジェットコースターなどのアトラクションを上手く取り入れながらゾンビと闘うので、
それがかなり楽しい。
また、ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』(77)の登場人物たちが物欲的なのに対して、
『ゾンビランド』は物への執着があまりなく、破壊しまくる。
それが30年前と今の時代の違いを的確に捉えているように感じた。
その破壊もそうなんだが、
「ちょっとした喜びを見つける」という“生き残るためのルール”も、
閉塞感が漂う現代社会で生き残るための術を説いているような気がした。
ゾンビのいない地を求めて、仲間たちとサバイバルの旅をするという単純な物語に、
青年の成長(というほどでもないか・・・)や恋愛、
そして笑いをぶち込んだテンコ盛りの内容で、お腹一杯の内容ではるが、
クライマックスとか血みどろで肉片がガンガン飛び散るようなハチャメチャさが、
もう少しあっても良かったような・・・。
欲張りか?
でも、『ブレインデッド』みたいなことをやっちゃうと、
アメリカでもっとも稼いだゾンビ映画には成り得なかったんだろうなぁ〜。