8/21よりアップリンクXにてレイトショー 配給会社:マクザム (C)Kurando Mitsutake MMVIII. All Rights Reserved. |
サイコな男ネイサンによって、妻子を殺されたうえ、
自らの目を潰す羽目になった男が、盲目の剣士・盲狼として蘇りネイサンの首を狙う。
盲狼の存在を知ったネイサンは、7人の刺客を解き放つ・・・。
伊藤Pの友人である光武蔵人監督。
現在は日本で生活しているが、本作は光武監督がアメリカ在住時に、
ロサンゼルスで撮り上げた異色の復讐劇だ。
サムライ、チャンバラ、マカロニ・ウエスタン、血しぶき、切り株、
ゾンビ、その他、奇人変人多数登場するゴッタ煮グラインドハウス・ムービー。
意見が欲しいから読んで欲しいと、
出来たてホヤホヤの初稿を光武監督が送ってくれたので、
早速、読んで意見を述べさせてもらった。
したら、チョコッと伊藤Pのアイデアを取り入れてくれた。
更に、光武監督と一緒に模擬刀といった小道具を買いに浅草へ行ったりと、
ポチポチ関わらせてもらった作品だったりする。
更に製作の過程で光武監督が様々な問題に直面したことも聞いたし、
完成後の各国映画祭での反応も逐一、光武監督は報告してくれた。
日本の配給が中々決まらず、伊藤Pも幾つか知り合いに当たってみたりした。
結局、どこも空振りだったんだけど、
最終的に光武監督の長編第一作目である『モンスターズ』のDVDをリリースした
マクザムが配給権を獲得したと聞き、一緒に秋葉原の居酒屋で祝杯を上げた。
しかし、その後、劇場のブッキングがタイミングの問題等でなかなか決まらなかった。
ヤキモキしたが、8月21日にアップリンクにて公開決定となった。
いや〜、紆余曲折の末、遂に劇場公開ですよ。
やっと漕ぎ着けました。
マクザムさん、ありがとう!
ってな感じで、到底、客観的になんかなれんのです。
とはいうものの、書かねば。
正直、万人受けする作品ではないと思う。
男臭いし、血がピューピュー飛び散るし、赤子のエグい描写もある。
多分に客を選ぶんだが、逆にはまる人はドンピシャではまると思う。
まず、タランティーノやロバート・ロドリゲスが好きな人は、
間違いなく楽しめると思う。
でも、光武監督はタランティーノの影響下で、このような作品を作った訳ではない。
光武監督が今まで影響を受けてきた数々の作品のテイストがぶち込まれている。
それはタランティーノやロドリゲスの作品が世に出るより、ずぅーと前の作品だ。
まず、主人公は盲目。
これはご存知、勝新太郎の当たり役「座頭市」だ。
続いて、主人公の盲狼は、ひょんなことから赤ちゃんを連れて歩かなくてはならなくなる。
座頭市が、子連れ狼になるという寸法だ。
ぶっ飛んでいるという点では、光武監督の師である岡本喜八監督のカラーが窺われる。
このように60〜70年代初頭にかけての日本のチャンバラ映画の影響が特に強い。
意外と知られていないが、この時代の日本映画は結構エグイ。
光武監督に言われて、若山富三郎主演の『子連れ狼 親の心 子の心』(72)を見たんだけど、
冒頭からいきなり乳首のアップですよ。
上半身裸の女と3人の武士の殺陣が始まり、手首切断に血がブッシュ〜!!
その後も「今の東宝じゃ、この描写は無理でしょう・・・」という内容がそこかしこに。
血しぶきといえば、世界のクロサワだって、
ブッシュ〜!ブッシュ〜!と血が飛び散っていたなぁ。
『サムライ・アベンジャー/復讐剣 盲狼』は、
この昔のチャンバラ映画にあった日本独自のテイストに、
各国の様々なジャンルを取り入れて折衷した感じ。
マカロニウエスタン・テイストはセルジオ・レオーネ、
ゾンビは勿論、ジョージ・A・ロメロ。
光武監督が自らが影響を受けてきた映画の良いところを抜き取り、
オマージュを捧げつつ、自分流に料理したハイブリッドな映画だ。
言ってしまえば、光武監督は和製タランティーノなんだよ。
今挙げた監督や作品が好きな人なら間違いなく刺さると思う。
CGではなく、70〜80年代ぽいアナログなSFXの手法を取り入れているので、
その時代のアクション映画やホラー映画の洗礼を受けた人にも響くはず。
これがチープなCGとかだったら、かえって興醒めだし、
作品の世界観をぶっ壊していたと思う。
映像も綺麗だし、ギターサウンドが渋いスコアも作品にマッチしている。
メジャースタジオの作品ではないけれど、
アメリカの映像・映画業界に長く身をおいていきた(19年間)光武監督の人脈を活かして、
ポスプロは一流のスタジオ、一流の人間を起用している。
カット割り、構図もかなり計算されており、アイディアに満ちている。
光武監督のこだわりが、随所に光るB級映画の中のA級映画だ。
なんだよ!
知り合いの作った映画だから褒めるのかよ!
って思われるかもしれませんが、
その質の高さは、海外のジャンル映画での評価の高さが証明してくれている。
■アナザー・ホール・イン・ザ・ヘッド映画祭(2009)@アメリカ
観客賞受賞
■インディフェストUSA映画祭(2009)@アメリカ
最優秀映画賞受賞
■ファンタスティック・プラネット映画祭(2009)@オーストラリア
最優秀長編映画賞、最優秀特殊メイク賞受賞
■第4回モーヴェジャンル映画祭(2010)@フランス
観客賞受賞
輝かしい戦績です。
■「エンタメ〜テレ 最新映画ナビ」
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