9/25より新宿バルト9ほか全国にて 配給会社:CJ Entertainment Japan、パラマウント ピクチャーズ ジャパン (C)2009 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved |
地殻変動による影響で発生した巨大津波に飲み込まれる人々たちの姿を描いたパニック群像劇。
序盤から被災地となる韓国有数のリゾート地ヘウンデの人々のドラマを丹念に描写、
津波の襲来に伴い登場人物各々のドラマが活かされるという、
いかにもパニック映画らしい構成。
まぁ、この手のジャンルはこれで良いのだが、
津波の規模をでかくし過ぎて様々なツッコミ所を生み出してしまっている。
高さ100m、時速800kmのメガ津波が押し寄せて、
タンカーを吹っ飛ばし、高層ビルを破壊する。
しかし、場所によっては規格外の津波が来た割には、
被害そんなもん?という所もあるし、
時速800kmというとんでもない速さだから、走って逃げられるはずがないのに、
逃げる人たちになかなか追いつかない。
また、主要な登場人物が波に飲まれそうになった瞬間、
別のカットに切り替わることが多い。
「あぁ、あの人は死んでしまったのね」と思わせておいて、
暫くしたら何事もなかったかのように生きて登場する。
特に主人公・元漁師マンシクの母親と子供、彼らと行動を共にする無職のオは、
「不死身か?」ってぐらい死なない。
あの波にさらわれて生きているおばあちゃんって、どんな婆さんだ!
絶対にくたばらないダイ・ハードな登場人物がいる一方で、
死にキャラも勿論いる。
当然、泣かせ要員だ。
誰が死ぬかを話したらつまらないからここでは明言しないが、
「これで泣きやがれ!」ってな感じ、エピソードと死にキャラを叩きつけてくる。
ベタベタ過ぎて、逆に笑っちまったんだが、
隣で見ていた知り合いの女性映画ナビゲーターは、
「ちょっと泣いちゃった」と言っていた。
そういえば、『サムライ・アベンジャー/復讐剣 盲狼』の光武蔵人監督も、
韓国で見て「泣いた」って言ってたな。
この他にもいろいろとツッコミ所はあるんだが、
そこを楽しむぐらいの度量で見た方が健全だ。
有り得ないだらけで、一歩間違えるとギャグ映画になりかねないんだが、
そうならない理由としてキャストの力が挙げられる。
津波が襲いかかる映画ということ以外、誰が出ているかも確認しないで見たんだけど、
まずソル・ギョングが出演していて驚いた。
『オアシス』、『シルミド/SILMIDO』、
『力道山』などに出演している韓国映画界きっての実力派だ。
本作でも抜群の存在感を発揮し、作品に重みを与えている。
ヒロインを演じたのは、ハ・ジウォン。
日本では「バリでの出来事」、「ファン・ジニ」といった韓流ドラマで名が知られているが、
『ボイス』、『デュエリスト』、『恋する神父』など映画にも結構出演している。
ホラー、シリアス、コメディなんでもこなせる女優さんだ。
今から7年程前に、一度インタビューをしたことがある。
メチャメチャ綺麗でしたね。
取材部屋に入って来た瞬間、華やかさを身にまとっていて輝いていた。
取材中はあまりに綺麗で、デレデレになってしまい、
鼻の下が伸びまくったことを今でも覚えている。
他のキャストの経歴は良く知らないが、
資料を見るに韓国芸能界ではそれなりの地位を築いてきた人たちが出演しており、
作品全体を〆ている。
そんな俳優たちの演技も見所の一つだが、
なんと言っても本作の最大の見所はやっぱりメガ津波でしょう。
CGの中でも表現が最も難しいとされているのが水。
本作では『パーフェクト・ストーム』、『デイ・アフター・トゥモロー』など、
水のCGを得意としてきたハンス・ウーリックがVFXを担当し、
最新の技術を用いて見事な津波を作り出している。
全3365カット中、CGを使用しているのは約560カット。
『デイ・アフター・トゥモロー』が100カット以下だったらしいので、
『TSUNAMI−ツナミ−』の方が遥かに上回っている。
ツッコミ所満載だけど、役者の技量と強引な展開にお涙頂戴、有り得ない津波、
そして贅沢過ぎるCGを持ってして、勢いと力業でねじふせる。
「サイズも数もハリウッド映画には負けねぇーぜぇ!!」
という韓国映画界の意地を感じる娯楽大作だった。
『D-WARS ディー・ウォーズ』でハリウッドに殴り込みをかけたシム・ヒョンレが、
本作を撮っていたらどーなっていたんだろう・・・。
それはそれで見てみたい。