10/10よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて 配給会社:アスミック・エース (C)2010 Lions Gate Films Inc.All Rights Reserved. |
【注意】
・シリーズ1〜6作を見ている前提で書いています。
・作品によっては、ネタバレ的な記述になるものもあります。
・以上の点ををご留意頂いた上で、以降、読む読まないの判断をお願い致します。
最も成功したホラー映画として、ギネスブックにも認定された「ソウ」シリーズの完結編。
思い返せば今から7年前(てっことは、オイラまだ20代だったのね・・・)。
『ソウ』という聞いたことのない映画を撮った、
ジェームズ・ワン、リー・ワネルという全くの無名監督二人を急遽取材することになり、
何も情報がないままアスミックの試写室で第一作目を見たんだよね。
で、その精巧な作りとユニークなトラップの数々、
そして、あまりに直接的な残酷描写に衝撃を受けた。
以来、「ソウ」シリーズを追いかけ続けたわけだ。
宣伝担当者の尽力もあり、前作と本作のケヴィン・グルタート監督以外、
シリーズ全ての監督にインタビュー出来たし(ケヴィン・グルタート監督は来日しなかった)、
ジグソウを演じたトビン・ベルの取材ではカメラを回したりもしたので、
それなりに思い入れもあるっちゃある。
反面、『ソウ2』が製作されている時に、
「どうやって続報作るの?」って思ったのが、アホらしくなるぐらい、
「毎年毎年よくもまぁ、作り続けたこと・・・」と呆れてしまう節もなきにしもあらず。
ジグソウが死んだ時点で流石に終わるだろうと思ったのに、まだ続く。
「いい加減終わろうよ〜」と思ったこともあったけど、
いざ本当に最後となるとやはり寂しいね。
で、そのラスト作ですが、見る前からいくつかポイントがあった。
1.ジグソウの後継者が明らかになった後、どのような展開を見せるのか?
2.前作で未回収だったジルが投函した封筒の中身と宛先。
3.シリーズ初となる3D映像。
1番に関しては、ホフマン刑事とジグソウの前妻ジルの最終決戦があるというのは、
前作のラストから容易に想像がついたが、
では果たして、ジグソウやその後継者(たち)が、
訳ありの人たちに仕掛けてきたトラップを、誰がどうやって仕掛けるかが問題だった。
トラップこそ、このシリーズを通して貫いてきた絶対に外せない要素だ。
でもって、やはり「ソウ」シリーズのスタッフは抜かりがない。
きちんとトラップを用意してくれた。
でも対ジル、対警察に一生懸命なホフマン刑事にトラップを仕掛ける余裕があるとは思えない。
別の人がやっているのか?
それとも時系列を入れ変えているのか?
物語をよく追えば、後者であることはあまりないような・・・。
ってなことを考えながら見たわけですが、
ホフマンのパートとトラップのパートが、ラストにストンと結び付く構成になっており、
緻密な脚本による先の読めない展開は健在。
そして、2番。これはキチンと回収してくれる。
というか本作の肝だ。
シリーズを追いかけ続けた人や、感の良い人ならば、
ジルが誰に宛てたのか途中で分かるかも知れない。
それほど重要。
次いで3番。
元々『ソウ6』で疑似3Dにしようとしたらしいんだが、
製作陣の納得を得られるような変換が出来ずに断念。
『ソウ ザ・ファイナル 3D』は、最初から3D前提で撮影がスタートした。
なるほど、確かに奥行はある。
しかしながら、作品が作品なだけに、
もっと肉片とか血しぶきとか凶器とかが、飛び出しても良かったような気がする。
2、3回そういうビックリ系ショットがあって、思わずのけぞりそうになったんで、
どうせ3Dにするなら、もうちょっとアトラクションぽくしてもいいかなって。
で、思わずのけぞるゴアシーンが見物のトラップのシーン。
今までもそれはそれは凄惨なトラップの数々を披露してくれましたが、
今回はいつも以上の気合いの入れよう。
輪切り、串刺し、粉砕、裂傷、窒息、焼却、轢死、剥離となんでもござれ。
なんだか今回は見ていてやたらと疲れた。
鑑賞後、「ソウ」シリーズを見終えたという安堵感はあまりなく、
疲労感が全身を包み込んだ。
以前、『ソウ5』のデイヴィッド・ハックル監督が、
トラップはジグソウと後継者とではタイプが違うと言っていたことを思い出した。
『ソウ ザ・ファイナル 3D』に関して、この部分はあまり多くを語れないが、
多分、これが疲労感の原因だと思う。
色んな意味で集大成。
で、トータルですが、
余計なシーンがあるせいで、どんでん返しのインパクトが薄れた感は否めないけど、
オチはちゃんとあるし、「ソウ」シリーズに必要な要素は網羅されていたように思う。
最後にシリーズについて。
未解決要素が多分にあり、
ラストに「ソウ」らしいどんでん返しがなかった『ソウ5』みたいに、
中弛みした作品もあったけど、
各作品ごとのクオリティが高く、イメージも破壊されず統一している。
更にはシリーズ全7作を通して、ストーリーに筋が通っている。
しかも7年間毎年作り続けた。
こんなシリーズは中々お目にかかれない。
本当に凄いことだと思う。
スタッフ、キャストの皆さんお疲れ様でした。