11/19より丸の内ピカデリーほか全国にて 配給会社:ワーナー・ブラザース映画 (C) 2010 Warner Bros. Ent. Harry Potter Publishing Rights (C) J.K.R. Harry Potter characters, names and related indicia are trademarks of and (C) Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. |
世界的人気シリーズのセミファイナル。
過去を振り返ると初っ端の『ハリー・ポッターと賢者の石』からしてつまずいた。
原作を読んでいない人には不親切だし、
児童文学書の映画化だから仕方ないんだが、如何にもお子様向けで、
ピュアなハートなんて2001年当時の時点で既に消滅していたオッサンに響くはずもない。
以降も同様で、2、3、4作目もその世界観に入り込むことは出来なかった。
しかし、ダークな部分が格段に増した『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』で、
初めて面白いと思った。
ハリーたちの成長に伴い、段々とオッサンの好む嗜好に近づいてきたからだろう。
続く『ハリー・ポッターと謎のプリンス』もダークな雰囲気がバリバリあり期待したが、
ハリーたちの恋愛がお茶目に描かれるなど、再びお子様ランチ的なテイストが顔を出し、
ダークさとコメディが混在したアンバランスな作品になってしまいガッカリした。
こうなると同じ監督、脚本家コンビによる『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』も、
“駄目かな〜”と意気消沈していたんだが、
予告編を見てその思いが吹っ飛んだ。
暗い!暗いぞ!
ハリーも、ロンも、ハーマイオニーも顔がマジだぞ!
続いて公表されたポスターには、血が顔に付着したハーマイオニーの姿が。
ハリーやロンの顔にも余裕が無い。
そして、ファイナルのポスターは、焦燥感を滲じませた3人が走るビジュアル。
なんだか全ての宣材物(宣伝用素材)からせっぱ詰まった感じが漂っていて、
否応なしに期待が膨らむ。
でも、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の時も、
ホラー的なシーンのある予告編を見てかなり期待し、結局肩透かしを食らったから、
過剰な反応は良くない。
そんな期待と不安を胸に秘めて見た『ハリー・ポッターと死の秘宝』。
相変わらず原作未読者には分かり難い。
もう何年も前に一度見ただけの過去作での出来事を、
フラッシュバックもないままセリフ一言で片付けるし、
長いカタカナの固有名詞がバンバン出てくる。
これが過去に登場した固有名詞なのか、
新しいのかも良く理解出来ないままザクザク進んでいく。
が、しかし、そんなことはどうでも良くなるぐらい本作は、
シリーズ屈指のスリリングな展開を見せる。
冒頭のタイトルロゴからして不気味だし、
ハリーたちの近辺も慌ただしい。
両親の記憶から自らの存在を消す魔法を使ったハーマイオニーに至っては、
並々ならぬ覚悟を感じてグッときた。
そして、レイフ・ファインズ、アラン・リックマン、ヘレナ・ボナム=カーター 、
ティモシー・スポイルらイギリスの名優たちが一同に会する、
普通だったら映画ファンが歓喜するような密談シーンも、
その異様さに圧倒され喜びを感じる暇もない。
前作でダンブルドアを喪い、本作の序盤でマッドアイ等、
他の頼れる人々と離別したハリー、ロン、ハーマイオニーたち。
慣れ親しんだホグワーツの外で、
ヴォルデモードを倒す方法を見つけるため、さ迷い、戸惑い、もがき、逃げる。
そして、戦う。
守ってくれる人も物もない3人。
この頼りなさが、間違いなく本作を面白くしている。
死喰い人に支配された魔法省へ潜入するエピソードでは、
このシリーズで初めてドキドキしたよ。
3人ともまだ半人前。
誰の手も借りずに力を合わせて様々な困難に立ち向かっていかなくてはならない。
そんな中、一番頼りになるのは、やはりしっかり者のハーマイオニーだ。
その活躍ぶりは今までのシリーズの中でも一番だろう。
そのハーマイオニーを演じるエマ・ワトソン。
前から可愛いお嬢さんだとは思っていたが、もうすっかり綺麗な大人の女性だ。
その顔の切り傷に何故か萌えてしまうのは変態か?と思っていたら、
終盤で、ベラトリックスからあんなことされちゃって!!
ゆ、許せん!!
ハーマイオニーとハリーがダンスを踊るシーンがあるんだが、
これがまたなんだか妙に切なくてね・・・。
なんだか泣きそうになったよ。
ハリー演じるダニエル・ラドクリフも大人になった。
胸毛とかギャランドゥとか・・・。
あっ、せっかく感傷に浸っていたのに、話が逸れた。
まぁ、シリーズが始まって9年目。
そりゃ大きくなるわな。
役者達の成長と共に物語も大人向けに完全シフトチェンジ。
子供が見たらビビッて泣き出しちゃうんじゃないか?
ってなシーンも結構あり、
クリス・コロンバスが監督していた頃が、本当に遠い昔のようです・・・。
本作はPART1とPART2に分かれており、
当然、スッキリとは終わりません。
しかも益々不安を募らせるようなラストです。
果たして、あと1本で、この壮大な物語を完結できるのか!?
原作を読んでいないと分らないシリーズでしたが、
もうここまできたら逆に原作を読んでいない、
つまり結末を知らない人の方が、有利というか、PART2への楽しみ倍増!!
今まで、このシリーズのことボロカス言うことが多く、
手のひらを返すようですが、「PART2」が待ち遠しい!!!