![]() 1/20丸の内TOEI、シネマスクエアとうきゅうほか全国にて 配給会社:CJ Entertainment Japan |
長年会っていなかった父の訃報を聞き、
父が暮らしていた村にやって来たユ・ヘグク。
父の死に疑問を感じ、暫く村に滞在することにしたユ・ヘグクは、
村全体が秘密の闇を抱えていると察知し、その秘密を暴こうとするが・・・。
ちょっと前だと『殺人の追憶』、最近だと『チェイサー』、『母なる証明』など、
多くの秀作クライム映画を世に送り出して来た韓国。
韓国クライム映画の良い点は、サスペンスやミステリーの面白さに加え、
人間の暗部に鋭く切り込んでくる点。
本作もその部類の作品と推測でき、当然そこに期待したんだが、
残念ながら先に挙げた作品のレベルにまでは到達していなかった。
まず、調査に乗り出したユ・ヘグクは、村で生死に関わるようなかなり危険な目に遭うが、
ユ・ヘグクは執拗に秘密を暴こうとする。

何故、幼い頃に生き別れ、絶縁状態だった父親の死因に、
そこまで執着するのかが分からない。
これが最愛の父だったら話は別だけどね。
ユ・ヘグクの立場や信念に共感できなければ、
いくらユ・ヘグクが窮地に陥っても他人事で終わってしまう。
また肝心の村の秘密も微妙。
止むを得ない事情で隠さなければならなくなった秘密、
哀しき愛憎が絡んだ秘密、あるいは究極の選択を我々に投げかける類の秘密だったら、
「おぉ!」と思うのだが、そんな秘密ではない。
その秘密を隠そうとする村長や取り巻きは、最新から如何にも怪しいし、
人数も少ないから「コイツらがなんかしたのね?」って、すぐに落ち着いちゃう。

村自体もあまり不気味じゃないんだよね。
出入りも自由だし。
『シャッター アイランド』ぐらいの排他的な閉塞感と気味の悪さが欲しいところだ。
どれもがもうひと押し足りない。
話があまりディープではないので、
鑑賞後、真っ先に「2時間41分使って語る話じゃない」と思ってしまった。

それでも2時間41分という長丁場、飽きることなく見ることが出来る。
秘密がラストに明かされ、その秘密が想定内に収まっているから、
意外性がなくて、「あれ?」ってな感想に陥ってしまうのだが、
そこまで一気に持っていってしまうパワーはある。
更にユ・ヘグク役のパク・ヘイル、村長を演じたチョン・ジェヨンを筆頭に、
役者もみんないい味を出している。
多分、普通に考えたらそれなりによく出来た作品なんだろうけど、
鑑賞後に物足りないと感じてしまうのは、
他の韓国クライム映画の出来が良すぎるというのあると思う。
韓国映画のレベルの高さを再認識した。