11/20よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて 配給会社:ファントム・フィルム (C)水木プロダクション/『ゲゲゲの女房』製作委員会 |
「ゲゲゲの鬼太郎」で知られる漫画家水木しげるの妻・武良布枝が、
貧しく厳しい時代を生きた夫婦の姿を綴った同名自伝エッセイの映画化。
NHK朝の連続テレビ小説でも映像化され話題となったが、見てないし、
原作も読んでおらず、映画で初めて「ゲゲゲの女房」に触れることとなった。
内容はなんとなく耳にしていたが、
見合いからわずか5日で結婚したことや、
水木しげるに売れない時代があったことを初めて知った。
新しい知識を得られたことは良かったんだが、
では映画としてどうだったかと言うと、
そもそもの入り口を間違えてしまいまして、ちょっとてこずりました。
『ゲゲゲの女房』というユニークなタイトルの響き、
武良布枝、水木しげるをそれぞれ演じた吹石一恵、宮藤官九郎が、
にこやかに笑って写っているキービジュアルから、
ライトでちょっとコメディぽい作風だと勝手に思い込んでしまった。
しかし、実際に映画を見ると、決して重いわけではないが、
淡々とした静かな映画だった。
ユーモラスなところもあるけど、コメディってほどでもない。
また、妖怪が現れたり、
昭和30年代のお話なのに現代の東京駅や調布駅前が登場したりと、
独特の世界観を生み出してはいるんだが、
何の説明もないので、「あぁ、こういう世界観なのね」と理解に至るまでに時間がかかった。
セリフも少なく、登場人物の動きや表情、置かれた状況から読み取っていくという、
とても映画的な作りではあるんだが、ちょっと抑揚がなく平坦過ぎるかなと。
そんな感じだったんで、作品から何かしらの感情を喚起させられる以前に、
襲って来ちゃったんですよ・・・。
睡魔くんが・・・。
相当戦った。
睡魔くんとの戦いによって、集中力が落ちたからか、
布枝がしげるに対して、どの時点で愛情を抱くようになったのかさえも理解でず、
それがちゃんと映画の中で描かれていたのかの判断さえもつかなかった。
言ってしまえば、本作を語る資格はないのかもしれないが、
何とか完走はしたんだよ。
で、本作を見た人と話をしたら、その人も、
「私も布枝がいつ愛情を持ったのかわからなかった。
いきなり子供が出来て、やることはやってんだ〜って思った」と言っていた。
もう一人も同じような意見を述べていた。
ひょっとしたら、見落としたのではなく、描かれていなかった!?
そして、眠くなったのには、それなりに理由があった。
鈴木卓爾監督だったんですね。
知らずに見ていました。
まるで主人公に共感できなかったうえ、
のんびりしたテンポにくたびれてしまった『私は猫ストーカー』よりは、
まだ数段マシだったが、
根本的に鈴木卓爾監督が作り出す緩やかさが、
せっかちな性格だからか、性に合わないようで・・・。
一方で、長回しの中、しかも少ないセリフで、
登場人物たちの胸中を伝えなくてはならない役者さんたちは、
相当大変だったんだろうなぁーって思った。
特に武良布枝を演じた吹石一恵は、かなり出ずっぱりだったし、
その戸惑いや水木しげるに対する愛情の変化の機微を表現しなくてはならない。
逆に言えば、腕の見せ所なわけでして、
役者さんたちの演技をより意識して見ると良いかもしれません。
■『ゲゲゲの女房』
※吹石一恵 単独インタビュー テキスト