12/10よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて 配給会社:東宝東和 (C) 2010 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED. |
ラッセル・クロウとリドリー・スコット監督5度目のタッグは、
みなさんご存知の『ロビン・フッド』。
ケビン・コスナー主演作など、今までに何度か映画化されているが、
本作は、シャーウッドの森に住む義賊になる前のロビンを描いている点が新しい。
12世紀末。十字軍の兵士として戦っていたロビンは、
イングランドの騎士ロバートの暗殺現場に遭遇する。
ロバートに剣を父ウォルターの元に届けるよう頼まれたロビンは、
ノッティンガムへと向かう。
ウォルターの希望で息子の身代わりとなったロビンは、
ロバートの未亡人マリアンと一緒に暮らし始める。
ロビンはその人柄を買われて領民から慕われ
マリアンとも心を通わせる。
貧しいかったノッティンガムの復興に貢献したロビンだったが、
イングランド侵略を目論むフランスとイングランドとの戦いに巻き込まれていく・・・。
男たちの熱い戦いと友情、隙のない演出、圧倒的なアクション、
重厚で美しい映像、リアリズム、壮大なスペクタクルと、
どこを切ってもリドリー・スコットだ。
このリドリーの描く世界観は、本当に気持ちがよい。
既にリドリーは73歳。
あと何本撮ってくれるのか?
(次回作はタイトル未定の「エイリアン」シリーズ最新作で、「1」の前を描く)
主演のラッセル・クロウ、マリアンを演じたケイト・ブランシェットの演技が上手いのは、
今更説明する必要はないでしょう。
ラッセルは臭そうな体臭までも表現しているし、
ケイトも気丈なマリアン役にぴったりだ。
敵役のマーク・ストロングも良い。
悪役が徹底的にワルでないと、スカッと爽快な勧善懲悪は成り立たない。
敵役に感情移入をしてしまうようなバックグラウンドは、
『ロビン・フッド』のような娯楽活劇では邪魔になることがある。
ロビンやマリアンたちが築き上げてきた物を破壊し、
大切な人に危害を加える。
見ている我々が殺意を抱くぐらいの憎らしさが、
マーク・ストロング演じるゴドフリーにはあった。
その他、ロバートの父ウォルターには大ベテランのマックス・フォン・シドー。
顔の表情や体の動きだけで、
出てきた瞬間にウォルターが盲目であることを表現してしまう。
流石だ。
でもって、ゴドフリーの策略で、
イングランド王の顧問を解雇されるウィリアム・ハートまで出演している。
これだけ濃い演技派が揃えば、必然的に作品は重みを増す。
そして、更に重みを与えているのが、セットや美術だ。
最近はどの映画でもCGを使用するが、
スペクタクル映画での使用度は、より高い。
本作も同様だろうと思いながら見ていたんだが、
どうもあまりCGを使っていないように見えた。
今のCG技術は高度なので、素人目では、本物かCGかの区別をつけるのは難しいが、
多分、他のスペクタクル大作ほど使っていないと思われる。
エンドロールのスペシャル・エフェクトのクレジットが極端に少ないので、
あながち間違ってはいないだろう。
ラッセルとリドリーが初めて組んだアカデミー賞受賞作『グラディエーター』では、
最新CGを駆使して古代ローマの世界を作り上げたが、
本作はその逆を追求したのかもしれない。
『グラディエーター』にあったカタルシスが少々足りないし、
なぜ今『ロビン・フッド』なのかも良くわからなかったが、
リドリー・スコットらしさ、名優の存在、
今どき珍しい本物志向と見応えたっぷりの大作でした。
<余談>
大作・話題作になると、いつもすぐに満員になってしまう東宝東和の試写室。
しかし、本作の試写はかなり空いていた。
見る側としては、混雑してないのは嬉しいんだけど、
正月映画の目玉の一本なのに・・・と、ちょっと寂しくなってしまった。