12/18より有楽町スバル座ほか全国にて 配給会社:ゴー・シネマ (C)2010「ばかもの」製作委員会 |
お気楽な大学生の大須秀成は、年上で男勝りの額子と出会い恋をし、
セックスに明け暮れる。
順調に愛を育んでいると思っていた秀成だが、
額子から突然、「結婚する」と別れを告げられてしまう。
額子に捨てられ、傷ついた秀成は、
その心の隙間を酒で満たすようになり・・・。
絲山秋子の同名小説の映画化で、
女に捨てられ酒に溺れた男の苦しみと再生、
そして、10年越しの愛を描いている。
秀成はアルコール依存症になるが、
そうなっていく段階の描写が、とても丁寧。
童貞だった秀成は、額子との出会いによってセックスの快楽を享受する。
はっきり言って、セックスのことしか頭にない。
家庭は中流階級以上で、両親は優しい。
それほど苦労せず生きてきたことがわかる。
自分にも甘い。
あぁ、こういう環境で育ったらこういう性格になるだろうなぁーって。
失恋したことで酒に逃げてしまうのも納得できる。
女、セックス、酒、タバコと、
常に何かに依存しているダメ男を演じた成宮寛貴が、なかなか良かった。
はっきり言って秀成は、“ばかもの”でどうしようもない。
感情移入の余地はなさそうなんだが、憎めないし、放っておけない。
その辺のバランスを上手く体現している。
そして、秀成が廃人になってしまうきっかけを作った額子役の内田有紀も、
今までにない役柄を熱演。
脱いじゃいないが、なかなか際どいシーンも多々あるうえ、
口調もぶっきらぼうで、卑猥なセリフもあり、
女優として次のステップへ行こうとする意気込みが感じられた。
こういうチャレンジ精神はとてもよいと思う。
内田有紀にとってターニングポイントになる作品かもしれない。
あと、あまり登場シーンは多くないのだが、
我が愛しの中村ゆりも出演。
ちょっとヘンチクリンな役なんだけど、
その不思議なふわふわしたつかみ所のない感じが、また良いんだよねぇ〜。
相変わらず綺麗だ。
その他、秀成の新しい恋人を演じた白石美帆、
優しい親に代わって秀成にお小言を言う姉貴役の浅見れいな、
秀成と額子の母親をそれぞれ演じた浅田美代子と古手川裕子と、
秀成を取り囲む女優陣が、みんなその役目を果たす演技を披露している。
過去の作品で面白いと思ったものは余りない金子修介監督だけど、
女優さんの起用の仕方は結構好きかも。
撮り方を見ると脚フェチであることは明らかで、
そこの部分もシンパシーは感じるな。
今回も「脚が好きです!」というショットがかなりある。
うーん!男のロマンだね。
手堅い演出と出演者、そして脚のお陰か、
普段、滅多にラブストーリーで熱くなることはないんだけど、
珍しくちょっとグッと来てしまった。
ネタバレになるからあんまり語れないけど、
クライマックスとなる片品村での秀成と額子のやり取りには泣けたねぇ・・・。
特に内田有紀が良いんだわさぁ。
ラストシーンも鮮やかだったし、
心に残る作品であることは間違いないのだが、
唯一、いただけないのが劇伴。
“ここでこの音楽いらねぇーだろう?”ってところで、
ベタ〜と音楽がのる。
役者の演技だけでも十分感情が伝わるはずなんで、
邪魔で邪魔で仕方がなかった。
あと、小生はお酒大好きだ。
酔っ払って記憶がないなんてこともチョイチョイあるし、
何度も失敗をこいている。
「スーダラ節」のごとく、わかっちゃいいるけどやめられない。
まぁ、自分に甘いんだな。
アルコール依存症へと堕ちていく秀成と重なるところ多い。
気をつけねば・・・。