1/8より新宿バルト9ほか全国にて 配給会社:クロックワークス (C)2009 GAUMONT - SPLICE (COPPERHEART) PRODUCTIONS INC. |
『CUBE キューブ』のヴィンチェンゾ・ナタリ監督待望の新作。
製作総指揮はギレルモ・デル・トロとジョエル・シルバー。
随分前にネットで本作の存在を知って以来、ずっと気になっていたので、
やっと見ることが出来て嬉しい限り。
しかも、期待以上の出来だった。
酷いという意味ではなく、メチャクチャな展開で度肝を抜かれた。
よくもまぁこんな内容の作品が、全米2,500館で拡大公開されたなって思うぐらい、
すさまじかった。
(アメリカではコケちゃったけど・・・)
科学者のクライヴとエルサは、
法と倫理を無視して人間と動物のDNAを配合して新生命体を造り出す。
ドレンと名付けられたその生命体は、最初人間とは程遠い醜い容姿だったが、
急速に成長し、次第に美しい女性へと変貌を遂げる。
クライヴとエルサはドレンの親代わりとなり、ドレンに様々な教育を施していく。
またドレンはドレンで自ら様々なことを吸収していく。
しかし、成長したドレンは二人の手に負えない存在になっていく。
まずドレンの成長過程の描写がかなり丁寧。
最初の刷り込み(インプリンティング)、世の中に順応しようとする幼少期、
多感な思春期、そして、成人女性。
新生命体ではあるが、ドレンは普通の人間と同じように育つ。
生まれたばかりの頃は、はっきり言って不気味だ。
幼少期も微妙。
しかしながら、思春期を迎えた頃には綺麗に見えてくる。
でもそう思ってしまう自分に罪悪感を覚える。
ドレンの不思議な魅力に翻弄され、
いけないと思いながらも一人の女性として見るようになるクライヴと、
自分の気持ちがシンクロし、同化していく。
だからクライヴが深みにはまりそうになる度に、
他人事とは思えなくなりドキドキする。
そうは言っても客観的に見てもいて、
クライヴをバカな男だとも思う。
でもやっぱりクライヴの感情を否定出来ないでいる自分にまた自己嫌悪・・・。
ってな感じで、とにかく複雑な心境になる。
このクライヴとドレンの微妙な関係の表現は絶妙だった。
ドレンが外部との接触を絶たれた環境で育ち、
クライヴしか男性を知らないというのもあるが、ドレンもクライヴに特別な感情を抱く。
それと共にドレンは母親役であるエルサに反抗的な態度を取り出す。
これはまさしくエディプスコンプレックスだ。
エルサとドレンのぶつかり合いは、女と女の戦いだ。
エルサがドレンに対してとる高圧的な態度や行動が、
彼女の生い立ちに起因している点にも注目だ。
様々な医学的、心理学的な要素を取り入ることによって、物語に説得力を持たせている。
あと男性の視点になるが、クライヴとエルサの関係性の描写にも唸った。
感情的になって、なりふり構わず強引に突っ走るエルサ。
冷静になり、エルサの暴走を阻止しようと試みてはみるものの、
結局押し通されてしまうクライヴ。
あぁー、これわかるなぁ〜。
わかっちゃうからこそ、
クライヴのことが歯痒くて仕方ないんだよねぇ・・・。
「あぁー!!クライヴ、負けるな!!」って、
心の中で叫びながら見ていたよ。
この点は、男性と女性とでは見方が異なる点かも。
こんな感じで、男と女、母と娘、父と娘、
それぞれの心理的な構図をちゃんと踏まえたストーリーラインが、
本当に素晴らしいんだが、後半の展開と描写が何度も言うが凄まじく・・・。
ヴィンチェンゾ・ナタリ監督には、
『NOTHING』で来日した際にインタビューしたことがあるんだけど、
とてもフレンドリーな人柄だった。
あんなに明るくて気さくな人の頭の中に、
こんなにも強烈なイメージが入っているなんて・・・。
人を見かけで判断してはいけませんねぇ。
コメント (1)
トロンレガシーとスプライス、
どちらを観るか先日散々悩んでいましたが
結局こちらを観て来ました!
観る前にこの記事を読んでおいたおかげでちゃんと話についていけました。
女子だからか…私最後までドレンが気持ち悪かったですけど。笑
そして、女子としてはエルサの行動に終始ハラハラしました。
もう!少しはクライヴの言う事聞きなよ!みたいな。
ラストまで全然懲りてなかったので、こいつつえ〜な…と感心しましたけど。
昨日また映画観たので、またコメントしまぁす♪
投稿者: TP | 2011年01月24日 10:06