1/15より銀座テアトルシネマほか全国にて順次公開 配給会社:アルシネテラン |
12年間の服役を経て出所してきたレイラ。
身寄りのない彼女は、不本意ながら盲目のヤコブ牧師の家に住み込みで働くこととなった。
ヤコブ牧師から毎日届く手紙を読むことと返事を書くことをお願いされたレイラは、
感謝の念もまるでなく、しぶしぶその仕事を引き受ける。
郵便配達人が届けてくれる手紙の送り主たちは、様々な悩みを手紙で告白し、
それに対してヤコブ牧師は、丁寧に返事をする。
ヤコブ牧師にとっては、日々届く手紙が生きがいとなっていたのだ。
しかし、毎日届いていた手紙が、ある日突然届かなくなり・・・。
ヤコブ牧師に対して素っ気ない態度を取り続けるレイラ。
人々からの手紙を待ち続ける盲目の年老いた牧師ヤコブ。
悩める人々からの手紙をヤコブ牧師へ届ける郵便配達人。
3人の登場人物が織り成す感動の物語。
フィンランド・アカデミー外国語映画賞代表作品であり、
世界各国の映画祭にて17の賞を受賞している。
キリスト教信仰の要素が強く、
「受容」、「和解」、「赦し」の大切さを説き、
話のオチにもなっているんだけど、無宗教で、まるで信仰心がないせいか、
そこの部分はまるっきりピンとこなくて・・・。
逆に言えば、信仰心のある人が見たら凄く感動するのかもしれない。
キリスト教の教え的なところは、「う〜ん」って感じなわけなのですが、
「自分の存在意義」を自問自答し続けるヤコブ牧師には共感できた。
「神から必要とされているのか?」というヤコブ牧師の悩みはさて置き、
「人から必要とされているのか?」という疑問は、
信仰云々抜きにして、誰もが一度は考えることだと思う。
一人でも良いから、自分を必要としてくれる人がいれば、
おのずと「自分の存在意義」を確認できるし、
生きていく糧になる。
誰からも必要とされないのは、悲しいことだ。
あと、本作はとても静かな映画だ。
ヤコブ牧師が暮らしている家が静寂に包まれていて、
そこでレイラとヤコブ牧師は対峙する。
最初、レイラの態度はふてぶてしく、
ヤコブ牧師や郵便配達人と友好な関係を結ぼうとはしない。
しかし、あることがきっかけでレイラに変化が訪れる。
レイラの感情は、セリフではなく、
彼女のその時々の行動や表情、しぐさで伝えようとしてくる。
とても映画的だと感じた。
これは後で、クラウス・ハロ監督のインタビューを読んで、
「なるほど!」と思ったんだけど、、
ヤコブ牧師が住んでいる家の佇まいが、ある比喩的表現になっている。
もちろん作品の中ではなんの説明もないわけだが、
これも映画的だなぁーと思った次第。
で、なんといっても上映時間が素晴らしい。
75分。
サクッと見ることが出来ます。
■『ヤコブへの手紙』
※クラウス・ハロ監督 インタビュー テキスト