1/22より新宿ピカデリーほか全国にて 配給会社:アスミック・エース (C)2010「犬とあなたの物語」製作委員会 |
犬と人間の交流を描き、2005年に泣ける映画として公開され、
ヒットしたオムニバス『いぬのえいが』の第二弾。
小学生の時に『南極物語』を見て、ボロボロに泣いたトラウマからか、
どうも犬を題材にした映画が苦手で、なんとなく避けてきた。
大人になるとその傾向にますます拍車がかかった。
実際に犬を飼っていたというのもあるんだが、
大概、犬を使って泣かせようとする作り手の意図が嫌だし、
大の大人が犬に泣かされるなんてカッコ悪いからね。
泣いたら敗北感味わいそうだし。
で、『いぬのえいが』。
モロに犬だし、しかも泣けるというふれこみ。
無理な感じだったんだが、何を血迷ったのか、DVDで見てしまった。
でも予想に反して全く泣けないまま、最後のエピソードにたどり着いてしまった。
ちょっと肩透かしだったなと思う反面、泣かずに済んでホッとした。
が、しかし!
最後に最強の刺客が潜んでいた。
宮崎あおい主演の「ねぇ、マリモ」。
美香と愛犬マリモが、一緒に過ごした日々の記憶を交互に振り返り、
お互いへの想いを回想の中で語り合う。
開始20秒で、3年前に死んだ飼い犬との思い出が蘇り、涙がこみあげてきた。
一緒に見ている人がいて、その人の手前、
泣いたらカッコ悪いから我慢しようとしたんだが、もうダメ。
決壊したダムの如く、声をあげて泣いてしまった。
11分間、ずっとね。
良い話だと思ったんだが、
「泣いちまったじゃねぇーか!ちくしょう!だから犬の映画は嫌なんだ!」とも思った。
まぁ、負けたんだよねぇ・・・。
そして、『犬とあなたの物語 いぬのえいが』だ。
また泣くのは嫌だから見ないつもりだったんだが、
出演者のひとりである北乃きいちゃんの取材の話が浮上。
『ハルフウェイ』以来、インタビューをしていないから、
そろそろ会いたいなぁ〜って、ことで見ることに。
で、試写室に行き、
受付に立っていた知り合いの宣伝担当者に「泣く?」て聞いたら、
「泣きますよ。前見えなくなってワイパーが必要でした」との答え。
マジっすかぁ〜。
試写室で泣く。
これは最も避けたいことだ。
隣に座っている人に、「あっ、この人泣いてるぅ」って悟られたくない!
知り合いがいたりしたら、もっと最悪だ。
「伊藤さん、泣いたでしょ〜」って言われたくない!
幸い知り合いはいなかったし、隣の席は空いていた。
これなら多少泣いても大丈夫だろうと、少し気が楽になったところで上映開始。
まずは短編を積み重ねていくんだが、
様々な犬と個性豊かな飼い主たちが登場し、笑かしてくれる。
出演者も豪華で、名優からお笑い芸人、さらにはあんな人まで!
明るくて、楽しい話が続いた後、
大森南朋、松嶋菜々子主演の「犬の名前」がスタート。
若年性アルツハイマーを患った夫と彼を支える妻、
病との闘いに暗い影を落とす夫婦に光を与えるラブラドールレトリバーのリッキー。
今までとは少し趣きが異なり、少々ヘビーな題材を扱っていて、
犬による癒しを静かに、そして、丁寧に描いている。
『ゴースト』より100倍良かった松嶋菜々子
感動的な話し出し、一番長いエピソードで本作の核となっているんだが、
泣くには至らず。
でも、ぬか喜びをしてはいけない。
前作もそうだったじゃないか・・・。
そして、案の定だった。
トドメの一撃!
北乃きい主演「バニラのかけら」。
飼い犬の死から立ち直れない奈津子。
忘れようと思うのに、棚の奥からドッグフードが、
下駄箱にリードが、服には毛が・・・。
そこらじゅうに“バニラのかけら”があって、思い出してしまう・・・。
8年前にこの世を去った飼い犬との思い出が、否応無しに蘇り、
目は涙の洪水に。
そして、ボタボタと垂れまくる。
確かにワイパーが必要だ。
北乃きいちゃんの演技がどうとか、
演出がどうとか、細かいところを見るのは不可能だった。
ただただ泣いていた。
また、負けた。
■『犬とあなたの物語 いぬのえいが』
※北乃きい インタビュー テキスト