1/22より丸の内ピカデリーほか全国にて 配給会社:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント |
大手新聞社の創業者のブリット・リード。
どうしようもない放蕩息子だったが、父の死をきっかけに、
父親のおかかえ運転手でありながら、発明の天才でかつ武術の達人カトーと出会い、
正義に目覚め、あるアイデアを思い付く。
ワルの方がワルに近づきやすい!
グリーンのスーツとマスクに身を包んだブリットとカトーは、
悪のヒーロー〈グリーン・ホーネット〉として、悪党どもに立ち向かう。
予告編を見た時点で、ちょっと危険な臭いがしたんだけど、
案の定だった。
軽いノリのド派手なアクション・コメディで、
決してつまらないわけではないんだけど、全体的に全てが緩い。
「グリーン・ホーネット」といえば、
ブルース・リーの出世作となった60年代の同名テレビドラマ・シリーズが有名だが、
元々は1930年代にラジオドラマ・シリーズとして誕生したらしい。
日本ではブルース・リーの死後、カトーを中心に再編集した映画
(『ブルース・リーのグリーン・ホーネット』『ブルース・リー電光石火』)が公開され、
90年代にはコミックにもなっているそうなんだが、
実はそのどれにも触れたことがない。
元々こんな感じのお気軽テイストだったのかな?
まぁ、テレビドラマ・シリーズから既に40年以上経っているってのもあり、
あまり過去は気にする必要はないんだけどね。
いわゆるバディムービーなんだが、
ブリットとカトーは、単純な主従関係でもないし、
対等な相棒でもないし、ライバルでもないというユニークな関係性にしている。
そこが本作の面白味になるんだろうけど、
それ以前に、ブリット・リードがバカ過ぎちゃって・・・。
単細胞で、自己中。
人としてあんまり好きになれなかった。
しかもあんまり活躍しないし・・・。
ブリットを演じたセス・ローゲンは、好きな役者のひとりだけど、
今回は微妙だった。
冴えない男の役が多いせいか、ヒーローは似合わん。
例えグリーン・ホーネットが単純で幼稚なヒーローというキャラクターといえども、
ちょっと違和感がある。
一方のカトーは、天才的な発明家であり、強くて、ドライブテクニックにも長けている。しかもイケメン。
カトーだけで、ヒーローが成り立っちゃうんじゃないか?
ってぐらい大活躍で、ブリッド・リードが完全にかすんでしまう。
そういえば、テレビドラマ・シリーズも、
ブルース・リーの名前はよく出るが、
ブリッド・リードを演じた役者ってあまり論じられないね。
調べてみたら、バン・ウィリアムズって名前の役者だった。
聞いたことないっす・・・。
さて、映画『グリーン・ホーネット』で、カトーを演じたのはジェイ・チョウ。
出来上がった映画を見て、一番喜んだのはジェイ・チョウじゃないだろうか?
明らかにセス・ローゲンよりも目立っているし、印象に残る。
美味しいところを全部かっさらっていると言っても過言ではない。
ジャッキー・チェン、チョウ・ユンファ、ジェット・リー以降、
イ・ビョンホンやRain(ピ)とか、
アメリカに進出したアジアの俳優たちは、ちょいちょいいるけど、
そこまで大成功を収めてはいない。
ひょっとしたら、ジェイ・チョウは、ブレイクするかもしれない。
2度ほどインタビューする機会があったんだけど、
なかなかナイスな感じの人だったので、頑張って欲しいな。
(『カンフー・ダンク!』の時は、目の前で小島よしおのネタをやってくれた)
ということで、ブリットよりもカトーの方が前面に出ておりまして、
あまり持ちつ持たれつな感じがなく、
バディムービーとしては、ちょっとどうかなぁ・・・と。
2人がヒーローになっていく過程もイマイチ盛り上がらず、
それは『キック・アス』の足元にも及ばない。
アクション・シーンはそれなり楽しめるんだが、
コレ!というキメの見せ場がない。
ブリットとカトー、そして、敵が破壊しまくる大ラスの場所が、
「そんなに壊しちゃって良いの?」という場所だったので、
破壊から得られる爽快さを味わい切れなかったというのもあるかな。
楽しみにしていたジェイ・チョウの格闘シーンも
、エフェクト過多なところが多く、ちょっとがっかり。
まぁ、これは監督がミシェル・ゴンドリーだし、
作品のテイスト的に致し方ないところか・・・。
しかし、なんでミシェル・ゴンドリーはこの映画を撮りたいと思ったんだろ・・・。
で、ですね、
そんな物語だとか2人の関係性だとかアクションだとかいう以前に、
3Dが疲れちゃってさ・・・。
開映ギリギリに行った自分が悪いんだけど、
前から3列目に座って、見上げるようにして見る3D映画の辛さといったら・・・。
首はこるし、背中は痛くなるし。
さらに慢性的な眼精疲労なうえ、
日中、ずっとパソコンやっていたんで、見始めた段階で目はショボショボ。
そんな状態で、カラフルで、カット割が早く、
オマケにデ・パルマより高度と言える分割画面まである『グリーン・ホーネット』の3Dは、
マジでしんどかった。
何度かメガネを外して、眉間を押さえてしまった・・・。
鑑賞後はもうグッタリ・・・。
こんなにも嫌な疲れが残った映画鑑賞は、
いまだかつてない。
2Dで見ていたら、
『グリーン・ホーネット』に対する印象、少し変わっていたかもしれない。