4/9より丸の内ルーブルほか全国にて 配給会社:ワーナー・ブラザース映画 (C)2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. |
アメリカの神学校に通い、卒業を間近に控えるマイケルは、
信仰心を持ち合わせておらず、司祭になる道を捨てようとしていたが、
恩師の神父の強引な薦めで、バチカンのエクソシスト養成講座を受けることに。
それでも悪魔の存在を疑問視するマイケルは、
異端だが“一流のエクソシスト”だと讃えられるルーカス神父を紹介され、
16歳の少女の悪魔祓いの儀式に立ち会う。
儀式の最中、少女は異常な行動を取るが、
マイケルにはそれが精神の病にしか見えなかった。
しかし、やがてその信念を揺るがすような、
恐るべき出来事がマイケルの周辺で起こり始める。
一見すると単なるホラー映画のようだが、人間ドラマ、サスペンス、スリラーなど、
いろんなテイストがミックスされていて、ちょっと変わった作風になっている。
様々な要素の中で、もっとも重きが置かれているのが人間ドラマの部分だ。
よくよく考えてみると『エクソシスト』(73)や『エミリー・ローズ』(05)など、
エクソシストが登場する作品は、格調高く、人間ドラマがしっかりしていることが多い。
『エクソシスト』は1949年に起きたメリーランド悪魔憑依事件を、
『エミリー・ローズ』は悪魔祓いの儀式をしている最中に亡くなった女性の死亡責任を巡る
1979年のドイツでの裁判事件を題材としており、
共に実話がベース。
どちらも全部が全部、本当の話だとは思わないけど、
実話ベースということで、
他のホラー映画にはない重厚で、真実味のある人間ドラマが、成立しているのかもしれない。
そして、『ザ・ライト −エクソシストの真実−』も、あながち絵空事ではない。
1990年代後半から2000年半ばにかけて、
イタリアでは若者を中心に悪魔崇拝の動きが広がりを見せ、儀式的な殺人事件が発生。
悪魔祓いを必要としている人も増加したうえ、
悪魔憑きなのか精神の病なのかの判別も困難で、
精神的な問題なのにエクソシストが呼ばれるなど、
エクソシストが足りないという事態に陥っていた。
そこで、バチカンは2005年からエクソシストの育成と強化を目的に、
エクソシスト養成講座を開講している。
『ザ・ライト −エクソシストの真実−』で、
ローマに赴いたマイケルが受講するのが、このエクソシスト養成講座だ。
そもそもマイケルが、この講座を受けるきっかけとなるのは、
恩師である神父から伝えられた「エクソシストの不足」だ。
つまり、本作は“エクソシストの現状”を反映しているということになる。
また、先述のエクソシストを題材とした2作品には、
演技派俳優が出演している。
『エクソシスト』:マックス・フォン・シドー、リー・J・コッブ、エレン・バースティン
『エミリー・ローズ』:ローラ・ニリー、トム・ウィルキンソン
『ザ・ライト −エクソシストの真実−』も負けてはいない。
重鎮アンソニー・ホプキンスだ。
つかみどころがないが、エクソシストとしての自信が漲るルーカス神父、
悪魔祓いに失敗し、失意のどん底に陥るルーカス神父、
そして、○○に○○されてしまうルーカス神父と、
3つの異なるルーカス神父を演じきっている。
“怪演”という言葉が当てはまるんだけど、
“怪演”は、一歩間違えるとギャグになり、
作品そのものを破壊してしまう可能性がある。
で、アンソニー・ホプキンスといえば、
鼻を食いちぎり、カミソリで人を切り刻み、脳みそまで食べるハンニバル・レクターだ。
そんな奇人変人のレクター教授を演じ、
高い評価を得てきたアンソニー・ホプキンスだからこその説得力が、
『ザ・ライト −エクソシストの真実−』にはあった。
最近のアンソニー・ホプキンスは、地味な役柄が多かった。
オオカミになって大暴れしちゃった『ウルフマン』ってのもあったけど、
なんだかあんまりパッとしない感じだった。
しかしながら、本作でのアンソニー・ホプキンスは、
久しぶりに「やっぱりスゲェ〜」と思わせてくれた。
実はアンソニー・ホプキンスは数年前まで鬱病だったんだそうな。
名声を手にした俳優であっても、
やはり世間の評価は気にするようで、
演じることに対して非常にナーバスになっていたらしい。
ところが、3年前に超ウルトラ前向き楽観主義の女性と出会って結婚したら、
鬱が治り、演技への不安もなくなったんだと。
今回の凄まじい演技は、奥さんがもたらしてくれたのかもしれない。
人間、吹っ切れるとやっぱり強いねぇ。
そんなアンソニー・ホプキンスと真っ向からぶつかるのが、
コリン・オドノヒュー演じるマイケルだ。
コリンは本作が劇場映画デビュー作。
いきなりアンソニー・ホプキンスと対峙とは、
悪魔と戦うぐらい凄そうだ。
で、このマイケルの“神を信じられない”という描き方が素敵だ。
伊藤Pは高校時代、世界史が大好きで(90点以下をとったことがなかった)、
大学受験の選択科目も世界史。
世界史を勉強していて気が付いたのが、
多くの戦いや戦争の原因が宗教がらみだということ。
本来、人を救うはずの宗教が、なぜ人を苦しめるのか?
更に、十代の頃はジョン・レノンを崇拝しており、
彼の代表曲の一つである「GOD」という曲にも感化された。
「私は神を信じない。
信じるのは自分とヨーコ(オノヨーコ)だけ。」
単純かつ多感な時期だったってのもあり、
「カッケェ〜」って。
そんなこんなで、完全無宗教、無神論者の出来上がり。
よって、悪魔祓いの最中に何を見せられても「精神疾病でしょ?」と、
全く悪魔の存在を信じようとしないマイケルのスタンスに、結構共鳴。
マイケルと一緒に、「本当に悪魔なんているのかよ」って、
疑心暗鬼になりながら見ることが出来て楽しかった。
まぁ、ラストはねぇ・・・。
オチもこうだろう!って読めちゃうんだけど、
ハリウッド映画ですからね。
本作は、キリスト教の信仰があるとないとでは、
大分捕らえ方が違ってくるように思う。
コメント (1)
ジョンレノンはヨーコに「平和というカルト」まがいな洗脳をされた方ですよ。
ジョンのことをグループ外れたときから素晴らしいと思わないです、
女性に影響されただのきれいごと言う、変な平和思想の唄歌うような方になった人。音楽家として才能があったのにね。
だからジョンのファンもジョンに洗脳されるため
アメリカという国に未然に殺されました。
日本のような神道や自然道ではありませんよ。
投稿者: 注意 | 2012年11月27日 15:14